HOME メディア 「FMヨコハマ 深夜の音楽食堂」ほか【ラジオレコメンダー” やきそばかおる “のI love RADIO 】~ やきそばかおる選りすぐり、真夏の深夜ラジオ~
2017.11.21

「FMヨコハマ 深夜の音楽食堂」ほか【ラジオレコメンダー” やきそばかおる “のI love RADIO 】~ やきそばかおる選りすぐり、真夏の深夜ラジオ~

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ラジオレコメンダー”やきそばかおる”のI love RADIO  第2回

やきそばかおる

ライター・構成作家、そして大のラジオファン。1975年山口県生まれ
radiko.jp」をはじめ、雑誌やWebなどでラジオに関するインタビューやコラムを執筆中。
全国のユニークなラジオ番組を紹介するツイキャス『週刊ラジオ情報センター』は毎週火曜21時~生放送中。


梅雨が明けたら夏はもうすぐそこ。夏休みに入れば、翌日の仕事も気にせず、夜更かしだって思う存分できる! そんな時こそ、深夜ラジオに聴き入ってみては? 夏の夜更かしのお供にぴったりな番組をラジオライターのやきそばかおるさんに教えてもらった。

まさかのスピンオフ!?と、勘違いして面白がっても良し

今、ラジオ番組が密かなブームになっているという。きっかけは、パソコンやスマホでラジオが聴けるIPサイマルラジオの配信サービス、『radiko』の登場だ。昨年末には、タイムフリーサービスが開始され、自分の住んでいるエリアのラジオ放送を1週間さかのぼって聴けるようになった。

さらに、『radikoプレミアム』に加入すればエリアフリーで全国のラジオ放送を聴くことも可能になったことで、いつでもどこでもラジオを聴けるようになった。
その影響だろうか、ラジオを愛して止まないラジオレコメンダーのやきそばかおるさんは、全国のラジオ放送局で昨秋頃から、番組編成に異変が起きていると話す。その中から今号では、やきそばさん選りすぐりの〝真夏の深夜ラジオ〟を紹介してもらった。

まず、最初にご紹介するのは、FMヨコハマで火曜深夜0時半~1時に放送している『深夜の音楽食堂』。
「この番組は、テレビ東京の人気ドラマ『孤独のグルメ』の松重豊さんがパーソナリティを務め、昨秋にスタートしたばかり。隠れファンの多い番組です。

設定は火曜の深夜にだけオープンする〝音楽食堂〟。昔、TOKYO FMで放送していた『サタデー・ウェイティング・バー』みたいな設定で、松重さんはマスター役。実際、松重さんは大変な音楽好きなのだそうです。イメージないですよねぇ。しかも、すごいのが第1回目のゲスト。

ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトさんが登場して、ラジオファンの間で大きな話題になりました。さらにビックリしたのが、若い頃、二人が下北沢の中華店でバイト仲間だったという事実です。役者である松重さんとミュージシャンの甲本さんに付き合いがあるのも知らなかったし、松重さんが音楽好きだということも知らなかったので、二重の驚きでした。

2回目以降も、松重さんの好きな人が2週続けて登場するというスタイルなのですが、若い人に人気のポップバンドceroさんとか、ZAZEN BOYSの向井秀徳さんといったコアなファンが多いミュージシャンが登場しています。また、あるときは、役者仲間の六角精児さんがゲストにやってきて、気の合う話をしたり。

20年来のファンだというスチャダラパーのANIさんを招いたときは、『ずっとファンですっ!』と言っているのを聴いて、松重さんがすごく興奮しているのが伝わってきました。この、本人の素の要素が知られていない役者と音楽番組をリンクさせるあたり、FMヨコハマの人選がニクイ。音楽好きのイメージはないけれど、実は音楽ファンという人をホストに迎えると面白い音楽番組になるのではないか、という試みが見事に当たった、知る人ぞ知る名番組です。

松重さんがいいのは、音楽に対する尊敬の念が強いところ。ミュージシャンに対するリスペクトがすごいから、いちファンとして恭しくゲストをお迎えする。この一般リスナー目線に近い感じがたまりません。松重さんは異業種の人だから、〝いつも聴かせていただいています〟という接し方で、決して上手くやろうとしていないところが、逆にいい。

音楽番組のパーソナリティとはまた違った距離感で相手の話を引き出すことができるため、ほどよい緊張感があったりして、新鮮な空気で会話が進んでいくのもいいですね。あと、オープニングで食堂や食べ物の話も出るので、そちらもお聴き逃しなく。この前どこどこの食堂に行きましたとか、定食が美味かったとか。

この番組自体は、ドラマとは全然関係ないと思うけれど、ちょっとしたスピンオフ感覚で聴いても面白いと思います」

 

次に紹介するのは、年上の人との会話のとっかかりになる情報が入手できる番組だ。
「『斉藤雪乃のイチバンセン!』(ラジオ日本 木曜 23時~23時半)を担当している斉藤さんは、大の鉄道ファンで、関西を中心に活動しています。

熱烈な鉄道ファンになったのは、鉄道好きの弟の影響だとか。普段から色々な列車に乗ったり、鉄道に関するイベントの司会をしたりと、活発に動いています。斉藤さんの関西弁が実に聴き心地が良く、夜に鉄道の話や沿線グルメの話を聴いていると、旅に出たくなります。

リスナーから届いた旅にまつわるお便りも紹介していて、さながら、旅と鉄道の夜の報告会のようです。

 

『福島のぶひろの、どうぞお構いなく。』(MBSラジオ 金曜1時10分~2時)の福島アナウンサーは、30歳ながら、東海林太郎、藤山一郎などの昭和初期の歌謡曲が大好き。昭和歌謡の紹介はもちろん、伝統芸能に関わる職人をレポートしたり、大学のものまね研究会のメンバーを招いて話を伺ったり、フォントの製作会社を訪ねたりと、金曜の夜長にじっくり聴きたい話が満載です。数回聴いていると、福島アナウンサーの妙な部分が見えてくると思います。

今まで参加してくれていた常連のリスナーが参加しなくなると『そういえば、◯◯さんは最近、ご無沙汰ですね』とスネることも。そんな、福島さんの特徴が見えてきたら、ハマった証拠です」

 

 

涼をとるのに最適な1本と究極の音楽三昧番組

次にご紹介するのは、ラジオ関西の『怪談ラヂオ?怖い水曜日』。放送時間は水曜23時30分~24時。まさに夏の夜に、涼しくなりたい人にうってつけだ。「この番組、タイトルからして怖そうでしょ(笑)。

怪談をテーマにした番組で、パーソナリティは〝歌う怪談女〟と呼ばれているシンガーソングライターのひづきようこさんと、〝怪談好きなプロレスラー〟の松山勘十郎さん。あと『新耳袋』という、怖い作品シリーズで有名な小説家の木原浩勝さんです。

怪談もありつつ、不思議話とか身の回りで起こった恐怖の話などをテーマにトークをする番組で、木原さんが怖い話を淡々と語っているのを深夜に聴いていると本当に怖くて。僕は怪談好きじゃないから余計にね。ネットでも、番組中に怪音が聴こえたと話題になっています」

 

怪奇番組のあとは、明るい番組を1本ご紹介しよう。MBSラジオの『Till Dawn MUSIC』。この番組は、曜日によって始まる時間が違い、月曜日は深夜3時、火・水・木が深夜2時で、金曜日は2時半~5時くらいまでやっている。Till Dawn MUSICとは〝夜明けまでの音楽〟という意味だ。

「約2時間半から3時間をぶち抜きで音楽だけを湯水のようにかけまくる、斬新な番組です。MBSは昨年春に、深夜の時間帯に放送していた様々な番組を全部移動させたり終わらせたりして、この時間帯を丸々音楽番組にしてしまったという、超大改編を行ったのです。しかも、通常の音楽番組とは異なり、毎日1テーマに絞った音楽のみ。

例えば、『ジュリーはアイドル、ジュリーはライバル、やっぱ沢田研二はカッケー特集』というテーマの時は、3時間延々と沢田研二だけをかけていました。僕が聴いた回は全45曲。しかも、パーソナリティはおらず、最初にアナウンサーが今日のテーマを紹介して、あとは要所要所で『曲のリストがホームページで見られるようになっておりますので、そちらをご覧ください』と案内が入るくらい。かなり、ぶっ飛んだ感じの番組です。

しかも嬉しいのは、再放送があることです。聴き逃してもう1回やってくれないかな、と思っていると、1~2カ月後くらいに再放送されるので、こまめにチェックをしていれば、好きなミュージシャンの曲にどっぷり浸ることができます。
この番組はとにかくテーマが面白くて、『70年代クィーンナイト 朝までクィーン特集』とか、『スティービー・ワンダー特集』、あと民放なのに、NHKで放送されている『みんなのうた特集』をやるところも面白いです。

みんなのうたの名曲、59曲流していました(笑)。他にも、『吉幾三特集』とか『北島三郎特集』、紅白に2回出場した人気の若手演歌歌手『山内惠介特集』で3時間とか、『浜村淳が選んだ昭和歌謡特集』などなど、テーマはかなり幅広いので、しっかり聴くというよりBGM感覚で流しておきたい番組です。

『阪神タイガース、選手テーマコレクション36曲』というテーマでは、現役選手と昔活躍した選手のテーマ曲を織り交ぜながらかけていて、よく考えると準備が結構大変そうな番組でもあります。2015年には『長渕剛特集』も放送していました。富士山麓で、オールナイトライブが行われる数日前に、ライブを応援しようと言って、本人は登場しませんが。

いずれにしても、ラジオとしては挑戦ですよね。いままでも、放送休止後にランダムに曲を流す放送局はありますが、ひとりのアーティストの曲だけを3時間も流し続ける、ということはありませんでしたから。この今までにない番組作りというか、新規開拓といったチャレンジ感がビシバシ伝わってくるので、もっと知られてほしいと思っています」

 

 

 

未知の世界を覗いたり、巧みなトークに癒されたり

次も、ちょっと不思議な音楽番組だ。昨秋スタートした、J-WAVEの『ORIENTAL MUSIC SHOW』。金曜日の深夜2時からの30分番組だ。
この番組では、普通の番組ではまず聴くことのない音楽ばかりかけるんです。サラーム海上さんという、ワールドミュージックの専門家がナビゲーターで、トルコ特集の日はトルコの音楽ばかり30分。

サラームさんは、中東やインドに定期的にフィールドワークに出かけていて、その時にレコードやCDを買い漁ってくるらしいんです。目についたものをどんどん買って、帰国後に聴いてみて良かったものをどんどん番組で紹介してくれるんです。しかも紹介の仕方が秀逸で、『こちら、トルコの中島みゆき!』とか『次は、トルコのユーミンです』といった感じで、曲の雰囲気をつかみやすい。

詳細な説明はないので聴いて勝手にイメージを膨らませることができるのもおすすめポイントです。曲を流すだけじゃなくて、サラームさんならではの音楽情報や、中東の街の状況やトリビアルな話も紹介してくれて、番組の空気感が自由ですごくいい。

こういう元々しゃべりのプロではない方々が、今ラジオを面白くしているような気がします。『怪談ラヂオ~怖い水曜日』や『深夜の音楽食堂』もアナウンサーは出てきません。深夜にトークを噛んだり歌詞がとんだりすると、生っぽくて応援したくなるんですよね」

 

最後は、雑談が面白い番組をご紹介する。やきそばさんによると、月1回の放送ながら、そのトークテクニックは必聴とのこと。
まずタイトルからして、ゆるい。『オールナイトKBC マントル宮本の××祭りだよ! カーニバロー!』、九州のKBCラジオで月に一度、深夜1時35分から3時までの放送だ。

「この番組がなぜ始まったのかというと、月に一回放送される『中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ』の前が、1時間半、空いちゃうからというローカル局ならではの事情から。いっそのこと自社制作で前座的な番組をやっちゃおう、ということで立ち上がった番組です。

パーソナリティを務める宮本啓丞さんというベテランのアナウンサーが、どうでもいい小さなことを、面白おかしくしゃべる天才なんです。昔、宮本さんが担当していた『びっくり!パワーシャベル』という番組が、日本民間放送連盟賞ラジオ番組生ワイド部門賞を受賞したこともある、実力のあるアナウンサーなのですが、とにかく面白い。

先日の放送では、大先輩のフリーアナウンサーの川上政行さんをゲストに呼んで雑談していたのですが、最近立て続けにインフルエンザにかかった2人が、なぜかかってしまったのかという感染経路に関する話題を30分もしていました。昼間に収録している番組ですが、収録中に〝暇な人は中に入ってください〟って書いた紙が、扉に貼ってあるんです。だから、番組に出たいフリーのキャスターが、フラリとやってきてしゃべって帰ったりすることもあります。

宮本さんはふくよかな方なので、先日なんかウォーキングをしたら80㎏を切ったから、『福岡、良い坂やせる坂』という本を出したら売れるはずとか、どうでもいいようなゆるい話題が面白くて、ついつい聴き入ってしまうんです。宮本さんのウッドペッカーみたいな笑い声と、絶品のトークテクニックで癒されること間違いなしです」

 

 

 

ツイッターの活用でダイレクトにつながればもっとラジオは面白くなる!

最後に、ラジオとツイッターのコラボで、もっとラジオを盛り上げる方法について語ってくれた。
「深夜の録音放送の場合、パーソナリティが放送時間に起きていて、自分のラジオでの発言にリアクションをしたり、ツイッターにリスナーが番組のハッシュタグをつけてコメントをすると、オンタイムで反応するパーソナリティもいます。

リスナーもハッシュタグをつけてツイートをすることで、『自分も聴いてますよ』というアピールをすることができます。いわば、出席届のようなものです。ちょっとしたことで、番組に参加している満足感を得ることができるし、オンタイムで聴くことに意味が生まれます。

このように、ツイッターを活用した、新しいラジオの楽しみ方が生まれてきています。ここで取り上げたものはほんの一例にすぎず、SNSなどとのコラボや活用で、ラジオの可能性はまだまだ広がると思っています。

(了)

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