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2017.11.1

ローカル探訪「トコトン・サタデー」の「NCC長崎文化放送」

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※本記事は2014年12月発売のSynapseに掲載されたものです。

 

『トコトン・サタデー』

1990年に開局し、25周年を迎える長崎文化放送。

2007年から放送されている『トコトン・サタデー』は、県内の観光スポットから注目イベントまで、長崎の旬なニュースをとことん紹介する情報番組。

今年の4月から放送時間を85分に拡大。(毎週土曜日9:30〜10:55)

 

長崎の方言では、歩くことを「さるく」と言う。毎週土曜日に放送中の情報番組『トコトン・サタデー』は、まさにぶらりと“さるいて”みたくなる長崎の魅力的な場所と県民を紹介している。丁寧につくり込まれた40分にも及ぶ特集では、スタジオへの切り替えはなく、MCのコメントはワイプのみ。

視聴者はリポーターとゆったりと町散策をしているような気分を味わえる。新リポーターの野上唯子さんは「地元長崎の出身者として魅力を伝えられれば」という。 後半の中継コーナーでは、県内の商業施設の情報やお得な商品など、今すぐ役立つネタを提供。ゆったりとした番組のつくりは、M3・F3 層にも落ち着いて見てもらうためだという。

「『トコサタ』にハラハラはいらないんです。安心して見られることが大事なんです」と、メインMCの高森順子さんは話す。 出演者の年代がバラバラなのも、ファミリーで見る視聴者を意識してのこと。それぞれの立場からコメントすることでバランスを取っている。「常に主婦目線で年相応のコメントを心がけています。

例えば家事をしながらでもパッと顔をあげて見てもらうような、ひっかかりのある言葉を選んだり」(メインMC・上野敏子さん)「若手の“黒(男性)一点”なので、元気さを意識しています」(西山耕平アナウンサー) 地元に密着し、視聴者目線をトコトン意識した番組づくりが愛される理由と言えるだろう。

 

『トコトン・サタデー』プロデューサー
堤 紀明さん

県民の“ 顔”がでる番組づくりを。長崎の魅力は「人」です。番組には多くの県民に出演していただき、一緒になって地元の良さを伝えることを大事にしています。県民の予想だにしないコメントや行動はとても面白いし、故郷の“元気”を感じる瞬間です。事前に考えたことをそのままやってもつまらない。

一般の方と絡むことで、シナリオ通りにいかなくなっても、面白いと思ったことはとりあえずやってみよう! と、ワクワクしながら取り組むことが、番組の雰囲気にも現れていると思っています。

 

“7割は知ってるけど、3割は知らない”県民の情報を拾うべし!

 

報道制作局長
一ノ瀬 俊さん

1990年の開局と同時に入社し、報道制作部に配属。

「同年11月に雲仙普賢岳が噴火し、翌年火砕流が発生。無我夢中で撮影しに行きました。時に大災害を引き起こす自然が、一方で人間に恵みをもたらす。

人と自然の営みに惹かれます」

 

今回は『トコサタ』の生みの親、一ノ瀬局長に突撃! すっかり人気番組に成長した『トコサタ』ですが、ここまで支持されるようになった秘訣って、ズバリ何でしょう?「県民が“7割は知ってるけど3割は知らない”ことを取り上げることだね。例えば、よく知られたお店の新メニューを紹介するとかね。

まったく知らない情報だと興味をもたれないけど、100%知ってることだけだと飽きられる。その案配が大事」 制作力を培ううえで工夫は?「福岡のKBC(九州朝日放送)さんとは積極的に勉強会を開いて刺激をもらってるんだ。テレ朝系のチーム九州って仲がいい。台風が多い地方だから、情報を連携して伝えているからね。

こんなに結束力のあるブロックはないんじゃないかな」 では今後つくりたい番組は?「長崎の風景を撮りたい。長崎といえば海。実は、島の数は日本一なんだよ。

それにやたら猫も坂も多い町。以前つくった『未来に残したい長崎百景』という長崎の自然を映したミニ番組の評判が良かったんだけど、今度は“海・坂・猫”で長崎の良さを表現したいね」 くーっ! トコトン長崎を愛しているんですね!!『菜魚』でのおいしい地魚と長崎焼酎もゴチでした!

 

          25 周年を迎える長崎文化放送の未来へつなげる新たな取り組みとは?

            

             編成業務部 主任      河野愛美さん    /  編成業務部長         川添秀則さん

川添さんは、営業部や事業部などを経て、今年4月に編成業務部へ。

「スマホやイベントなど使える機会は何でも使って、テレビの既成概念を壊したい」と意気込む。

河野さんは、報道制作部を経て2009年から編成業務部へ異動し広報を担当。

「視聴率三冠王を奪還して、もう一度てっぺんの景色を見たい!」

 


 

「開局25周年を機に、あらためて地元に密着した地域ナンバーワン局を目指したいですね」と話す川添秀則部長。同じ25周年を迎える企業や農家などと一緒にPRを行う「25PR」や、マグロ釣りへのチャレンジと共に海洋資源の枯渇に警鐘を鳴らした特番制作など、地元の人々や長崎の風土に根ざしたイベントや番組づくりを展開している。

「テレビ局として後世に伝えるべきことを伝える取り組みもしています。そのひとつが『チャイルド21』。アナウンサーが、幼稚園や小中学校を回って読み聞かせをしているんですが、おかげさまで応募が殺到していて1年先まで予約が埋まっています。子どもたちに残したいものをきちんと伝えるのも私たちの使命です」(河野愛美さん)

番組づくりにおいては、報道制作局と密に連携をとっている。「視聴率を分析して、どこにヤマをつくろうとか、ここを変えたらシェアを伸ばせるんじゃないかとか、よく話しています。各時間帯で目標とする視聴率と占拠率の数値をチーム内で共有しているんです」(河野さん) さらに力をいれていきたい番組があるという。「看板である夕方のニュースです。もっと視聴者との密着度をあげていきます。今は、攻めしかないですね!」(川添さん)

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