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2018.5.29

「リアリティショーは、まだまだ面白くできる」NHKエンタープライズ 松井 修平さん vol.3

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NHK エンタープライズ エグゼクティブプロデューサー 松井 修平さん


前回の記事はこちら(vol.2)

―お笑いとドキュメンタリーを融合させる番組をつくっておられますが、視聴者がドキュメンタリータッチなものを求めるようになってきたと感じますか?

「たぶん〝これはうそじゃないんだ〟というものを視聴者は求めているんだと思います。だからリアリティショーはこれからもまだ十分通用するコンテンツだと思います。要はステージ上でやっていることの裏側、生活すらも見せてしまうのもリアリティショー。『笑けずり』は頂点を目指している人が普通に頂点を目指すストレートなリアリティショーだったので、これは新しいなって思ったんです。

この手法はたぶん昔からあるもので、そのメインテーマを笑いにしたことで、ふたりがケンカをしながらも、漫才やコントをつくりあげていくプロセスが新しいと思いました。またリアリティショーでもただ事実を映すだけではなく、そこにひとつ、ふたつ味付けをすることができますよね。『笑けずり』でいえば、ネタが面白くなければけずられるという、うそのない激辛スパイスを振りかけました。

こういう自然な味付けをすることができれば面白くなると思います。番組に出ることでネタそのものが良くなっていくので、出演者のためにもなる。ずっと考え続けているからこそ、迷走し始めたりと、合宿中にはいろいろなハプニングが起こります。考えすぎて、見せるべきモノをはき違えて、有力な芸人が落ちていくのも、リアリティショーならではの醍醐味ですよね」

―視聴者の反応や意見をどのように拾っていますか。

「みんなに楽しんでもらう番組を目指してつくっているので、視聴者がどのように感じたのか、投稿やツイートなどを見ちゃいますね。幸いにして、『笑けずり』にはファンが付いたので好意的な内容が多かったですね。中にはこうした方がいいのではという提案もあったりします。そういった意見はきちんと聞かないと、独りよがりになります。オンエア時にはすでに収録した合宿が終わっていたので、途中で路線変更をすることはできませんでしたが、Twitterなどはよくチェックして、反応を見るようにしていました」

―この数年間、ブームのリアリティショーについては、どのようにお考えですか?

「リアリティショーといっても、いろいろなパターンがあります。『NHKのど自慢』『スター誕生!』『ザ!鉄腕!DASH!!』『テラスハウス』もそうですし、数々のドッキリ番組もあります。もちろん新しいパターンをつくることも可能でしょう。今後、まだまだ既存のパターンを変化させたものも出てくると思います。リアリティショーは制作者が〝前提〟を考えて仕掛けるドキュメンタリー。相手にうそをつくことが〝前提〟なのがドッキリ番組。〝前提〟の中に芸人を放りこんで、黙って見ているのが『笑けずり』です。

『逃走中』の場合はそのものを撮影すればいいという話ですし、〝前提〟を置いた仕掛けるリアリティはやり方によってまだまだ新しいものが生み出せると思います。海外でも多くのリアリティショーが放送され、多くの男女を一軒家に入れて争奪戦をするとか、男女をジャングルで1週間サバイバルさせるとか、スゴイ番組があります。中でもオランダやイスラエルの番組はスゴイですね。

とはいえ荒っぽいものは、日本には向かない。『笑けずり』でいうと、仕掛けられたことで奮闘して努力して、より高度な笑いになってと、芸人の素の状態が見られるので、そこが面白い。その潮流はずっと続いています。僕がリアリティショーの企画を考え始めてまだ3~4年。模索しつつも、新しい企画を考えつき、オンエアにもつながっています。

ドキュメンタリー番組そのものは仕掛けたら基本的にダメですが、リアリティショーは仕掛けられるドキュメンタリーです。リアリティショーは、昔からある手法でありながら、まだまだ面白くする可能性はあると思います」

(了)

 


NHK エンタープライズ エグゼクティブプロデューサー

松井 修平(まつい しゅうへい)

1965年、大阪生まれ。1994年NHK 入局。制作局エンターテインメント番組部で、『欽ちゃんのしゃべって笑って』『ドキュメント松本人志の本当』など、多くの番組を演出。
広島局ではドラマプロデューサーも経験し、現職。

 

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