【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】〜高校放送部の舞台はラジオ!「#放送部の夏」企画に込められた思いとは。そしてラジオで人生が変わったパーソナリティーも〜ラジオ関西『PUSH!』津田明日香アナウンサー他

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ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO 第33回

2020年8月9日。『放送部の夏 高校アナウンスフェス』(以下『高校アナウンスフェス』)がラジオ関西でおよそ4時間にわたって放送されました。

ナビゲーターを務めた津田明日香アナウンサー(入社3年目・兵庫県三木市出身)は小野高校時代に「NHK杯全国高校放送コンテスト」(通称「Nコン」)に出場。朗読部門で準優勝に輝きました。

2020年のNコンは新型コロナウイルスの感染拡大防止にともない中止されることが春に発表されました。やむを得ないことながら、頑張ってきたことを発揮する場がなくなってしまうことの辛さが痛いほど分かる津田アナ。自身がパーソナリティーを務めるワイド番組『PUSH!』(月曜〜木曜 15時〜16時、16時30分〜17時35分 ※津田アナは水曜日を担当)で「なんとかしてあげたい」と訴えかけたことを機に『高校アナウンスフェス』の企画が立ち上がりました(『I love RADIO 第31回』参照)。

『高校アナウンスフェス』はアナウンス部門、朗読部門、番組部門、ラジオCM部門の4つの部門で作品を募集。兵庫県内を中心に全国各地の高校49校から244もの作品が寄せられました。番組では、コンテスト形式ではなく事前に選考された作品を部門ごとに発表。ゲストには津田アナと同じく兵庫県内の高校放送部出身で「NHK杯全国高校放送コンテスト」に出場経験のあるぶんけいさん(企画・映像クリエイター、淡路島出身)、さらに、ラジオパーソナリティーで、放送部に所属していた上原伊代さんを迎えました。

今回は放送を終えたばかりの津田アナと、番組を担当した山本洋帆ディレクターに話を訊きました。



やきそば:4時間の生放送、お疲れ様でした。心に響く作品ばかりでした。

津田アナ:高校生の皆さんはまっすぐな気持ちでひとつの原稿に向き合い、自分たちが伝えたい内容を軸に考えて作品作りに取り組んでいましたので、私もまっすぐな気持ちを取り戻した気がしました。
番組では選考で選ばれた作品を紹介していきました。山本さんによると、あえてコンテスト形式にしなかったことで、作品が集まるのか、不安に感じていたそうです。

山本さん:兵庫県は強豪校が多いイメージがあり、競い合いたいからという思いでコンテストに参加する人が多いと思っていたので、競わないことをコンセプトにしたこの企画で作品が集まるのかという不安はありました。最初は作品があまり送られてこなくて心配でしたが、蓋を開けると244もの作品が集まりました。「誰かに聞いて欲しい」という純粋な気持ちで応募してくれた人が多かったことを感じました。

やり抜くことの大切さ

応募するためにはハードルが高く、エントリーシートを書いたり、原稿を書いたり、インタビューに行って収録したり、編集したり...と手間がかかります。学校ではなく家で収録したケースも多いため、音質の違いの問題もあります。

津田アナ:作品を募集していることは知ったものの、面倒くさいと思って取り組まなかった人もたくさんいるのではないでしょうか。一歩を踏み出すためには勇気も必要だったと思います。そこをやり抜いてくれたと思うと嬉しいです。

山本さん:放送中に「私も応募すればよかった」というコメントが寄せられたのも嬉しかったです。実は声は良くても録音状態は別の人の方が良い...といったケースもあって選考は相当悩みましたが、良い形で録音をすることも制作だと割り切って、音源を聴いた印象で選びました。苦心しながら部屋で録音していることが分かる作品も多かったです。

さらに「フリー素材をどうするか」という問題もあります。作品に使われるフリー素材はとてもよくかぶるんです。そうしたことに学生の頃から直面して考えることは良い経験になるんですよね。

津田アナ:確かに音質が悪かったり、音声が途切れていたりした人もいましたが、作品を作って送ろうという熱意が伝わってきて嬉しかったです。

やきそば:番組部門は自分でテーマを見つけて取材、レポート、編集などをして作品にしますが、高校生の皆さんが選んだテーマはいずれも新鮮でした。

山本さん:昔はマスメディアが今よりも"マス"の力を持っていた時代で、みんなが応援しているミュージシャンがかなり共通していたと思うんです。そんな、みんなで1つの画面を観る時代から、今はひとりひとりがポケットに入っているスマホの画面で好きなものを選んで好きなだけ観る時代になりました。みんなが人と違う視点を持っているから、着眼点もバラバラなのではないかと思います。

寄せられた番組作品やアナウンス原稿で取り上げていたテーマもひとりひとりの視点が違っていて、決してありがちなものでもなく「今の時代っぽいな」と思いました。

頼もしい上司とともに

津田アナはワイド番組『PUSH!』(月曜〜木曜 15時〜17時35分)の水曜日のパーソナリティーを務めています。

やきそば:『PUSH!』は津田さんが自分で見つけて取材してきた街の話題が多いですよね。

津田アナ:ひとりで見つけてくるため、自分では「面白いと感じていただけるだろうか?」と悩むこともありますが、自分が面白いと思ったことを自分の足で取材に行くのは続けていきたいです。

やきそば:番組を聴いていると、日頃の準備が大変そうだなと思います。

津田アナ:一言でアナウンス業務といっても、ネタ探しも取材も編集もネット用の記事も書きますし、やらないといけないことは多岐にわたります。高校生の皆さんは、今はアナウンサーになりたいという素直な気持ちを持って、どんな番組で何を伝えたいかを考えて、自分の思いを伝えられる練習をしておけば夢を掴み取れると思います。

やきそば:では、ラジオ関西の良いところを教えてください。

津田アナ:頼もしい先輩がいるところです。上司のディレクターと相談して『PUSH!』で放送部の話をしたことが発端で『高校アナウンスフェス』が動き始めたのですが、全スタッフが全力で関わってくれたからこそ実現できた企画です。弊社だからこそ形にできたのではないかと思います。

私は弊社の就職試験の面接で「放送を通じて頑張っている人を応援できるようなアナウンサーになりたい」という旨を伝えました。『高校アナウンスフェス』が実現して私の思いを形にすることができました。高校生の皆さんは漠然としていてもいいから、やりたいことがあると願いが叶うと思います。

ラジオ関西を支える"地元の人々からの信頼"

やきそば:先ほど『PUSH!』の話をしましたが、ラジオ関西の番組を聴いていると兵庫県の街の話題が出てくる番組が多いですよね。

山本さん:ありがたいことに、弊社は地元の方からの信頼を得ているラジオ局だと思います。個人的には阪神・淡路大震災の時に築いた地域との繋がりが今に生きているんだと思っています。

決して昔のことだけではなく新しいことにもスポットを当てていて、中でも神戸は港から発展したこともあり、新しいものが次々生まれる街なので、我々も歩きながら、楽しみながら取材をしています。会社の風土は地域の風土からきているところはあります。

津田アナ:放送部の皆さんが自分たちで取材して番組を作る時も、自分の感性や独自の視点を大事にして、身の回りの小さなことに何かを感じて言葉にして伝えると深みを持つと思います。

『高校アナウンスフェス』のエンディングでは津田アナが次のように締めくくりました。

「放送部で活動していた時代があったからこそ、今ここにいることを感じました。高校時代は堂々とキラキラ話すアナウンサーになるのが夢でした。あの時に描いていた理想のアナウンサーにはまだほど遠いですが、今、アナウンサーとして過ごす毎日は学生時代に想像した時の何倍も奥が深くてとても楽しいです。

うまくいかない事の方が多いですが、悩んだり迷ったり辛い時に思い出すのは放送部時代のこと。『まだまだ頑張れるぞ』と勇気をもらっています。できない言い訳を探すのはとても簡単です。やりたい事や挑戦したい事はなんとしてでもあきらめずに周りの人と協力して実現させてください。

本日は全ての作品を流す事は叶いませんでしたが、大変な状況の中で送ってくれた皆さんは等しく素晴らしいと思います。本当にありがとうございました。私にとっても、忘れられない永遠の夏になりました。放送部の夏は終わらない!」

4時間はあっという間に過ぎてゆき、放送直後のスタジオは温かい拍手に包まれました。

また、「I love RADIO 第31回」で紹介した、静岡のSBSラジオ『テキトーナイト!!』では、7月に「テキトーナイト杯 高校生アナウンスコンクール」を開催。日大三島高(三島市)放送部の山下恵里佳さん(3年)が優勝し、8月22日には『山下恵里佳のテキトーナイト!!」を放送しました。

堂々と喋る雰囲気に鬼頭さんは感心しっぱなし。山陰のBSSラジオ『森谷佳奈のはきださNihgt!』では鳥取・島根の高校生の放送部員から寄せられた作品を紹介する企画「耳で聴く文化祭」を9月7日に放送しました。朗読、ラジオドラマ・オリジナル番組を紹介。参加した高校生とも電話をつなぎ、「いずれもレベルが高い!」「1年生でここまで創り上げられるなんてすごい!」と森谷アナもリスナーも感激の声をあげていました。

「ラジオがきっかけで人生が変わった」

社会人になってからラジオに大いにハマり、パーソナリティーになった人も数多くいます。JOY FM(エフエム宮崎)のワイド番組『Radio Paradise 耳が恋した』(月曜〜木曜 17時15分〜19時55分)の月曜に出演しているコレナガカオリさんが2016年に自身のブログに次のように綴りました。

引きこもりにとって、ラジオというものは人生の伴侶そのもの。時に笑い、時に涙し。。
恋人でもあり、親友でもある、それがラジオというものです。
......ということで、今回はラジオ好きなコレナガが宮崎のラジオについて勝手に暑苦しく語りたいと思います。


『耳恋』の愛称で呼ばれているこちらの番組は放送開始20年以上を誇る人気長寿番組です。メインパーソナリティーのDJ SHIROさんは番組開始時から出演しています。

コレナガさんは社会人になってから『耳恋』にどハマりし、気がつけばメールを投稿したり、サテライトスタジオに足を運んだりするほどになります。オーディションに合格したのをきっかけに2018年4月からは月曜アシスタントとして出演する側に。「今、『耳恋』でラジオのお仕事ができていることが人生で一番幸せ」と心から思っています。

「ラジオがきっかけで人生が変わった」というコレナガさんに話を伺いました。


コレナガさんは学生時代にCDプレイヤーについていたラジオで聴いていたことはあるものの、そこまでハマっていたわけではないそうです。ところが、ラジオの世界に一気にハマる出来事がありました。

コレナガさん:6年ほど前、事務の仕事をしていて、帰り道は車内で音楽を聴いていたんですけど、ある日なんとなくラジオをつけてみたらとてつもなく面白くて、それが『耳恋』だったんです。すぐにファンになりました。
その頃はJOY FMはradikoによる配信を行っていなかったため、ラジオや「ドコデモFM」のアプリで聴いていたそうです。いつしか投稿したり、番組の魅力をSNSやブログで綴ったりするまでになりました。

やきそば:本当にどハマりしたんですね!

コレナガさん:こんなに夢中になれるものは、ラジオが初めてだったかもしれません。自分が好きなものをSNSで発信するのは、最初はすごく勇気がいることでした。でも「こんなに面白い番組があるよ!」とラジオの面白さを発信する気持ちの方が勝ってしまいました。

やきそば:リスナー時代は番組に出演したことはありましたか?

コレナガさん:2017年6月までイオンモール宮崎にサテライトスタジオがあって、友達が『耳恋』に出ることになりました。私が番組の大ファンだということを知っていたから「一緒に行かない?」と誘ってくれて一緒に行ったところ、私も出演することになりました。

私は付き添いだったのでほとんど喋りませんでしたが、大好きな耳恋パーソナリティーのお二人が目の前にいてすごくドキドキして、泣きそうになるくらい嬉しかったのを今でも覚えています。それまでもリスナーとしてはちょくちょく観に行ってましたが、人見知りなので、放送が終わったあとに出演者の皆さんに声をかけることはありませんでした。

「いつかラジオの世界に入りたい。できれば『耳恋』だと嬉しい」と思う日々が続きます。そんな中、オーディションが行われることになりコレナガさんも挑戦しました。

コレナガさん:子どもの頃は女優に憧れていたこともありましたし、声に特徴があるので「声優になったら」と言われたこともありました。ただ、子どもの頃に父を亡くして母一人で育ててもらい、正直あまり裕福な家庭ではなかったので、早く大人になって就職して母を安心させたいと思っていました。 自分がやりたいことを言うことを遠慮していたため、女優の夢はぼんやりと考えるだけで行動に移さずに終わっていました。

大人になって自分で働いて生活していて、そんな時にラジオに出会って、初めて自分のやりたいことを主張するようになりました。ラジオの世界は本気で憧れたし、何かを叶える人は自ら一歩を踏み出して行動するじゃないですか。初めて自ら「なりたい自分になりたい」と行動を起こしました。

「普段は普通です」

やきそば:SHIROさんもコレナガさんも、オープニングからずっとテンションが高いですよね。

コレナガさん:SHIROさんがテンションを上げてくれるんです。一緒に話しているだけで自然とテンションが高くなるんですよ。それに初めて『耳恋』を聴く人がいるかもしれないので「面白い」と思ってもらえるよう、毎回全力です。絶対に手を抜かないようにしています。

私は『耳恋』で喋っているだけでとにかく幸せで、3時間があっという間です。1年目は「どうしたらいいんだろう」と悩んでいましたが、今は本当に楽しいです。ただし、普段は私もSHIROさんもあんなにテンションは高くはないです(笑)。本当に普通です。

やきそば:他の曜日も聴いていますか?

コレナガさん:全曜日聴いて、全て録音しています。他の曜日で話題になったことに関するメッセージも届くので、できるだけ自分でも把握しておいてリアクションできるようにしています。それに他の曜日もそれぞれ個性があるから面白いです。日替わりで出演している黒木梨澄さん(火曜)、小野一絵さん(水曜)、加藤亮作さん(木曜)、皆さんトークや切り返しが面白いからさすがだなと思ったり、自分自身の実力不足を感じて落ち込んだりもします。

やきそば:今日、ここまでくると、コレナガさんのラジオをめぐる"冒険"ですね。

コレナガさん:毎週「もっと頑張らなきゃ」って思うんです。今、『耳恋』でラジオのお仕事ができていることが人生で一番幸せです。

このまま宮崎でラジオの仕事をし続けたいというコレナガさん。さらに言えば、宮崎の魅力をもっと発信したり、大好きなアニメにまつわる番組もできたら...と思っているそうです。

尊敬するDJ SHIROさんに学んだこと

メインパーソナリティーのDJ SHIROさんはミュージシャンとしても活動しています。元「NIHIL TENTION」のメンバーで、1995年にはメジャーデビューを果たしました。 ラジオで喋るまではバンドのライブでもほとんどMCをしたことがなく、ラジオDJをやらないかと誘われた時はまったく乗り気はしなかったそうです。番組の制作スタッフに「一度遊びにおいでよ」と言われてスタジオに行きますが、実はそれがオーディション。渡された原稿をうまく読むことはできませんでしたが、趣味の話を交えながら自己紹介をしたところ見事"採用"になりました。 DJ SHIROさんはもともとラジオが好きだったこともあり、必死で取り組めば取り組むほど喋る仕事にハマっていったそうです。

やきそば :ぜひ、SHIROさんの良いところを教えてください。

コレナガさん 学ぶことがたくさんある点です。SHIROさんは「全力でふざけることが大事」と言っていて常に全力。中途半端に放送していると聴いている皆さんに伝わってしまうことを学びました。

日頃からの準備も大事。放送中は全てアドリブなので、自分の引き出しを常にいっぱいにしておかないとトークができません。SHIROさんはメモをする量がすごく多いので私もたくさんメモをしています。準備していて無駄なことはありません。

また、パーソナリティーになって最初にSHIROさんに教わったのが、リスナーさんからリクエストされたら「できない」と言っちゃダメということ。どんな無茶ぶりだとしても、とにかく一回やってみる。スベるかもしれないし上手くできないかもしれない、でもそこから生まれるものがあるかもしれない。度胸も鍛えられましたし、実際、私もリスナーさんからのリクエストに応えて、新しい自分も発見できました。

やきそば:なるほど! 『耳恋』を聴いていると、トークのラリーのスピードが速くて、お二人の反射神経の良さが伝わってきます。

ラジオの面白さを伝えたくて

コレナガさんはYouTubeの動画を作成して公開しています。2020年4月1日からJOY FMがradikoで配信されることになった時はradikoの魅力を紹介する動画を自ら作成しました。それもラジオを聴く人口を増やしたいという思いからだそうです。

コレナガさん:ラジオというメディアはハマっている人がいる一方、聴かない人は全然聴かないんです。私もあの時、仕事の帰りにラジオのスイッチをつけてなかったらラジオにハマっていなかったと思います。こんなに面白くて"ながら聴き"もできるのに、なぜみんな聴かないんだろう、もっと聴いてほしいと思う気持ちが大きくなって、自分で動画を作って発信することにしました。

私はラジオの話ができるだけですごく嬉しいんです。若い人も絶対にラジオにハマると思うので、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいです。そして、ラジオパーソナリティーが憧れの存在になって「ラジオパーソナリティーになりたい」という人が増えたらいいなと思います。


最後に、ラジオが好きなコレナガさんに、おすすめの番組を教えていただきました。
・『夜のイチスタ☆』(OBSラジオ 土曜 21時30分〜22時) 大分のフリーパーソナリティー"まいまい"(池田麻衣子さん)が、ある時は真面目に、またある時はエロティックな話を交えつつ、魅力的なトークを展開。まいまいさんのモットーは、下ネタの話をする時は"ピンクを濁らせないこと"。

コレナガさん:まいまいさんはひとりで話せる力を持っていて、声も綺麗で素晴らしいです。下ネタは女性が聴いていても下品さを感じないところもいいですね。
・『ラジオBar 南国の夜』(RBCiラジオ 土曜 22時〜23時)、『2次元SWAMP』(RBCiラジオ 土曜 24時〜24時30分)

『ラジオBar 南国の夜』は沖縄県宜野湾市に実在する「Bar 南国の夜」のマスター、與古田忠さん(よこちゃん)と琉球放送の嘉大雅アナウンサーが"ハイレベルなどうでもいい話"を展開。『2次元SWAMP』はアニメが大好きな嘉アナウンサーがリスナーからのお便りを交えながらアニメ語りをします。

コレナガさん:よこちゃんも嘉さんも根本的にすごく真面目な方だと思います。『南国の夜』は、単純に面白い! 聴いていて1時間が本当にあっという間です。こんなことを私が言っていいのか分かりませんが、お二人とも相手の良い所を立てつつ、一緒に笑いに変えていく。リスナーさんも巻き込んで、番組を作っていくスタイルも好きです。本当にラジオを楽しんでるのが、すごく伝わってきます。

私はアニメや漫画が好きなので『2次元SWAMP』も聴いていて、嘉さんは日頃から努力をされていると私は勝手に思っています。情報を丁寧に調べた上で話をされているし、喋りのテンポも良いですよね。私もいつかアニメに関するラジオ番組をやりたいです。

注目のラジオ好きイラストレーター

ラジオが好きなことがきっかけで、ラジオに関するグッズやアイコンなどのイラストの仕事を始めた人もいます。

一度見ると忘れられない、明るくてポップなイラスト。最近、イラストレーターのサンノさんが描くイラストに注目が集まっています。ラジオが大好きで『人気ラジオ番組完全ガイド』(晋遊舎)の挿絵のほか、広島FMの人気番組『大窪シゲキの9ジラジ』のパーソナリティー、大窪シゲキさんの公式LINEスタンプのイラスト、KBS京都ラジオ『ファミリーレストランのめちゃうま!』のステッカーのデザインなども担当。

YouTubeチャンネル・ラジオ・テレビ番組用のイラスト、フライヤー、ノベルティのデザイン、SNSのアイコンも制作しており、2019年に仕事を初めて以来、依頼は続々と増えています。


▲『ラジびと~ラジオのある生活~』(林冴香 自費出版)
ロゴ・表紙・裏表紙・挿絵イラスト約200点を担当。


▲KBS京都ラジオ『ファミリーレストランのめちゃうま!』ステッカー

オードリーのラジオの面白さに衝撃

サンノさんがラジオにハマったのは中学2年生の時でした。きっかけは芸人のオードリーだったそうです。

サンノさん:私の叔母はオードリーの大ファンで、私も好きで漫才を観てたんです。ある日、叔母が「最近、オードリーがラジオ始めて、面白いよ」って言っていて、それで聴き始めてハマりました。

やきそば:印象はいかがでしたか?

サンノさん:テレビの時とは逆だと思いました。テレビでは春日さんのキャラクターのイメージが強くて若林さんは「じゃないほう芸人」と言われていた頃でしたが、ラジオでは若林さんが本音を入れながらノビノビと喋っていました。それで「オードリーってラジオでは2人の役割が逆なんだ」と気付いたんです。テレビでは見られない部分を垣間見ることができて面白いと思いました。

高校に入ると声優がパーソナリティーを務める"アニラジ"も聴くようになります。

サンノさん:きっかけはあまり覚えてないんですけど、『神谷浩史・小野大輔のDear Girl~Stories~』(文化放送)や、ネットラジオの『さよなら絶望放送』や『リボラジ!』を聴いてました。アニメのことは詳しくないんですけど、ラジオにハマったことがきっかけで声優さんには詳しくなるという状況でした(笑)。『神谷浩史・小野大輔のDear Girl~Stories~』は話が面白くてテンポも良くて、声が良いから聴いていましたね。

その後、同志社大学に入学してradikoのタイムフリーを使うようになると、FMのラジオ局の番組をたくさん聴くようになりました。

サンノさん:家族がα-STATION(FM京都)が好きで私もよく聴いてました。中でもDJのキヨピー(谷口キヨコ)とかスター(しもぐち☆雅充)とかあっくん(後藤晃宏)が好きですね。キヨピーは底抜けに明るくて綺麗で、よく通る声もずっと変わりません。テンションも高くて「体力がすごい」と思います。あと、お亡くなりになりましたが『α-MORNING KYOTO』の佐藤弘樹さんも大好きでした。

大学卒業後、イラストにガッツリとハマる

サンノさんは小学生時代をカリフォルニアで過ごしました。その影響を受けているのかどうかは分かりませんが、人からは「アメリカンテイスト」と言われることがあるそうです。

やきそば:現在はイラストやグラフィックデザインの仕事をしていますが、子どもの頃から現在のような仕事に就きたいと思っていましたか?

サンノさん:小学生の頃からデザイナー職に興味があり、大学を卒業してデザインの専門学校(創造社デザイン専門学校)に通ったんですけど、イラストレーターになりたいと思うようになったのは専門学校に通い始めてからです。それまではイラストをガッツリと描こうとは思っていなくて、グラフィックデザインをしたいと思ってました。課題をやっていくうちに自分でイラストを描いて提出するのが楽しいと思うようになり、成績もイラストの方が良かったから、仕事にできたらいいなと思うようになりました。

やきそば:絵のタッチの方向性が決まるまでにどのくらい時間がかかりましたか?

サンノさん:実はそんなにかかりませんでした(笑)。絵を描くのが好きだったのでいろいろなタッチで落書きをしていましたが、仕事でイラストを描くことになってからは、しっかりとした線で、スマホなどで小さく表示されても見えやすいようにと意識するようになりました。似顔絵の場合は似ているかどうか、どの部分を誇張するか、というよりは雰囲気をイラスト化してご本人が嬉しくなるような絵を心がけています。

やきそば:以前、サンノさんはいつも仕事をしているスペースの写真をSNSにアップしていましたが、好きなものに囲まれているという印象でした。

サンノさん:本当に好きなものばかりです(笑)。特に好きなのがリンゴ・スター。高校時代にビートルズを聴き始めてから色々なエピソードを調べていくうちにポップで明るくて可愛く思えてきて、めちゃくちゃ好きになりました。もちろんドラムを演奏している姿もかっこいいけど、リンゴ・スターが人と仲良くしている姿を見ていると、人から愛されていることがよくわかります。

好きだから、ついつい描いてしまう

さらに、サンノさんのお気に入りの番組を紹介していただきました。

サンノさん:好きな番組はたくさんありますが、中でも『THE ALFEE 終わらない夢』(NHK-FM)は3人の雰囲気が朗らかで、優しい雰囲気が伝わってきます。大学生の時に聴き始めて、聴けない時期もありましたが、最近再び聴くようになりました。

やきそば:THE ALFEEはサンノさんのご両親の世代がハマるミュージシャンですよね。

サンノさん:「この番組、いいな」と思ったらパーソナリティーの年代は関係なく聴きます。あとは『藤原竜也のラジオ』(ABCラジオ)。俳優の藤原さんがリラックスしている雰囲気が伝わってきて面白いです。人当たりも良くてスタッフさんとも仲がいいんだろうなと思って聴いてます。その上、ちょっとやさぐれた感じがしていて、そこがまた良いんです(笑)。いつか藤原竜也さんのイラストを描きたいです。

芸人さんでいえば四千頭身。ネタが面白くて、以前放送されていた『四千頭身のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)も面白かったです。現在、FM FUJIで『四千ミルク』が放送されています。

やきそば:ほかに好きな芸人はいますか?

サンノさん:ラブレターズや銀シャリのほか、たくさんいます。銀シャリはKBS京都ラジオの『銀シャリの炊きたてふっくらじお』も聴いていました。

やきそば:7月に「ABCお笑いグランプリ」が開催された時は優勝したコウテイのイラストを描いていましたよね。

サンノさん:「おめでとう」の気持ちを込めて描きました。芸人さんのファンアートを描いている方はたくさんいますけど、気持ちが高ぶると描きたくなっちゃうんですよね(笑)。


今後もさまざまなイラストを描いていきたいというサンノさん。ラジオに関する書籍の挿絵を描くのも大好きだそうです。また、最近はSNSを使ってトークの配信も行なっています。サンノさんの作品や実績にまつわる詳細はサイト(https://sannocreations.com)をご覧ください。

ここからはサンノさんにまつわるラジオ番組、おすすめのラジオ番組を改めて紹介します。

サンノさんが以前からどハマりしているのが『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)。

昨年放送開始10年を突破。2018年から2019年にかけて「オードリーのオールナイトニッポン 10周年全国ツアー」を東京・青森・愛知・福岡で開催しました。サンノさんの話にも出てきたように、テレビでは春日さんが目立っているイメージですが、ラジオでは若林さんの狂気が顔を出します。この番組はフリートークに90分以上もの時間を割いており、毎回のトークを通じて若林さんの狂気ぶりが浸透し始めるようになりました。

2012年からは南海キャンディーズの山里亮太さんと『たりないふたり』(日本テレビ)が開始され、お互いのストイックな部分に面白おかしくスポットが当たり始めると、若林さんに注目する女性も増えてきました。若林さんの魅力について、『オードリーのオールナイトニッポン』の立ち上げに関わったスタッフによると「若林さんがひとつのことに対してさまざまなアングルから語ること、"クドイ"ところがラジオ向き」と仰っていました。

この関係はハライチにも似ています。

ハライチは澤部佑さんのキャラクターが目立っていますが、『ハライチのターン!』(TBSラジオ)がスタートして以来、岩井勇気さんの狂気っぷりが注目されるようになりました。アニメと猫が大好きでアニメをテーマにした冠番組もスタート。自身のエッセイ『僕の人生には事件が起きない』(新潮社)は5万部のヒットを記録しました。

若林さんにも岩井さんにも言えることですが、その人が持っている"他の人とは少し異なる視点の面白おかしさ"に気付いて面白がってくれる人の存在は非常に大事。本人は自分の面白さに気付かなくても、その魅力に気付いた人(ラジオの場合はスタッフとリスナー)が勝手に広めてくれて、「若林さん(岩井さん)のトークが面白い」というイメージが一人歩きし始めます。ラジオ発の大ブレイクの入口です。

サンノさんがステッカーのデザインを担当した番組が、KBS京都ラジオ『ファミリーレストランのめちゃうま!』(月曜 10時〜14時)です。

「滋賀に住みます芸人」として活躍するお笑いコンビ「ファミリーレストラン」が京都にも進出。2012年スタートの長寿番組でもあります。京都・滋賀地域の地元の話題、ゲストが多いのが特徴。

広島FM『大窪シゲキの9ジラジ』(月曜〜木曜 20時〜22時)では大窪シゲキさん(オオクボックス)の公式LINEスタンプのイラストをデザインしました。大窪さんが『ラジびと』を読んでSNSで紹介したことがきっかけでご縁ができました。こちらも2007年スタートの長寿番組で、10代の学生を応援し続けています。

圧巻はオオクボックスさんのフットワークの軽さと学生をポジティブに応援し続ける姿。

2020年3月24日(火)には「9ジラジ卒業式 生放送スペシャル」を放送しました。中高生リスナーの卒業をみんなでお祝いする企画で、例年はショッピングモールで公開で行っていましたが、今年は新型コロナウィルス感染拡大予防の観点からスタジオから放送する形に変更。卒業するリスナーと電話を繋いだり、番組のDJ陣がスタジオライブを開きエールを送りました。終盤には高校1年の時に脳腫瘍を患い『9ジラジ』を励みに闘病生活を送った高校3年生リスナーが答辞を読み、熱い120分となりました。

文化放送『神谷浩史・小野大輔のDear Girl~Stories~』(土曜 25時〜25時30分)は2020年夏で放送開始700回。
お互いの邪魔をしないトークが光る30分。ベテランだからこそできる技です。アニメには詳しくなくてもトークの雰囲気が面白いので楽しめます。

『THE ALFEE 終わらない夢』(NHK-FM 水曜 23時〜23時50分 ※再放送あり)は文字通りTHE ALFEEの世界が全開。
デビューした頃のお話もおぼろげながらも覚えています。メンバーはラジオを大切にしていて、他にもさまざまな番組が放送されています。
・坂崎幸之助『「坂崎さんの番組」という番組』(全国JFN系でネット)
・『K's TRANSMISSION』(FM NACK5 金曜 21時〜23時)
・高見沢俊彦『高見沢俊彦のロックばん』(TBSラジオ 日曜 24時30分〜25時 ほか各地で放送)

ABCラジオ『藤原竜也のラジオ』(金曜 24時30分〜25時)は当連載でも既に紹介したことがありますが、藤原さんは"俳優"という鎧を脱いでマイペースに日常生活を語ります。男子校の部室トークはファンにとってはたまらない内容。仲良しの溝端淳平さんをゲストに迎えたことも。トークが止まりませんでした。

FM FUJI『四千ミルク』(水曜 21時〜23時)は、ボケ続ける後藤さんに、ほかの二人が振り回され続けるおかしさが魅力。後藤さんひとりだけの番組も聴いてみたくなります。

<了>

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