HOME メディア 【 ラジオレコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】~鉄道ファンにはたまらない番組~FM NACK5『スギテツのGRAND NACK RAILROAD』
2019.9.4

【 ラジオレコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】~鉄道ファンにはたまらない番組~FM NACK5『スギテツのGRAND NACK RAILROAD』

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ラジオ レコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO  第21回

やきそばかおる

ライター・構成作家、そして大のラジオファン。1975年山口県生まれ。
radiko.jp」をはじめ、雑誌やWebなどでラジオに関するインタビューやコラムを執筆中。
MBSラジオのナイターオフの番組『次は~新福島!第2章=芽生え=』木曜のコーナー「やきそばかおるの全国ラジオキコウ!」に出演中。

「#名刺代わりのラジオ番組10選」をご存知でしょうか。
ツイッターに、このハッシュタグを付けて投稿するのが、一時期流行しました。相手のことは知らなくても、好きな番組が10本書かれてあるだけで、その人の人となりが分かるから不思議です。「この人は、深夜番組が多いな〜」「北海道から沖縄までのローカル番組を網羅してるな」「マニアックな番組をたくさん知ってるな〜」などなど。

相手が初対面の人でも、好きなラジオ番組やハマった漫画や映画、ドラマが同じだと分かった瞬間に打ち解けることがあります。私の場合は、相手もラジオファンだと分かった時の嬉しさのほかに「青春18きっぷを使ったことがある」と知った時に、一気に距離が縮まります。私は鉄道に詳しいわけではありませんが“乗り鉄”で、学生時代には青春18きっぷを使って10日間で日本縦断をしたことがあります。

「青春18きっぷ」。名前は聞いたことがある、という人は多いかもしれません。発売開始からおよそ36年。簡単にいえば「JR全線の普通・快速列車、1日乗り放題5回分」が1枚のきっぷになったもの。現在(2019年9月)の発売金額は11,850円。春、夏、冬に発売され、発売時期が近づくとJRの駅にポスターが貼り出されます。それを見る度に、学生時代を思い出します。“青春”とついていますが、年齢制限はありません。青春18きっぷを楽しみたい大人のためのガイドブックも発売されています。

 

最近、私の友人が、よくラジオに出演しています。名前は蜂谷あす美さん。1988年福井生まれの大の鉄道ファン。出版社勤務を経て“旅の文筆家”に転身。雑誌『鉄道ジャーナル』をはじめ、さまざまなメディアで鉄道に関するコラムを執筆。2019年7月には初の著書『女性のための鉄道旅行入門』(天夢人)を出版しました。

お祖父様は元国鉄職員で車掌を担当。家には鉄道に関する本がたくさんあったそうです。蜂谷さん自身は高校時代に鉄道にハマるようになり、大学入学後は85年の歴史を誇る慶應義塾大学の鉄道研究会に入部。慶應の鉄研史上、初の女性の会長に選ばれました。
私は蜂谷さんと10年前に知り合いました。鉄道に関して、1を聞けば10返ってくるほどで話が尽きません。少しでも質問すると「待ってました」といわんばかりに、分かりやすくニコニコしながら教えてくれます。

そんな彼女なので、ラジオにゲスト出演して鉄道トークを繰り広げると番組は大いに跳ねます。初めてラジオに出演したのはbayfm『金つぶ』(金曜19~21時)。ベテランDJの小島嵩弘さんと乃木坂46の山崎怜奈さん。二人とも鉄道に関して詳しい訳ではありませんが、JRを完乗(全ての路線を乗ること)した蜂谷さんは二人の思い出の路線の話を糸口に、「あの路線はですね…」と、どんどん話を膨らませていきます。
この感覚は、ラジコプレミアムで全国のローカル番組を聴いている人にとっては、ラジオファンが相手の出身地を聞いただけで「北海道といえば◯◯の番組!」(一例「北海道といえばSTVラジオの『洋二と明石の無口な二人』(月曜~金曜12時~12時15分)」とか「沖縄といえば◯◯に出ている◯◯アナウンサー!」(一例「沖縄といえばRBCiラジオの『民謡で今日拝なびら』(月曜~金曜16時~16時54分)の上原直彦と八木政男コンビ!」)と大いに盛り上がることに似ています。相手との距離感が一気に縮まります。

蜂谷さんはほかにも、あまり知られていない鉄道の話を次々に話しました。
「鉄道にも“鉄研早慶戦(線)”があるんですよ」
「鉄道研究会の合宿は現地集合、現地解散です。報告会があって、自分がどんなルートでここまで来たかを報告します。要するに、いかに遠回りで変わったルートを通ってきたかという“自慢”です。なかには一度海外に行って、国内に戻ってからやってくる人もいます」
「特急しらさぎは途中で進行方向が変わるため、米原駅で座席を回転させるんです。知らない人との共同作業もいいものですよ」
「宗谷本線の音威子府(おといねっぷ)駅の黒いそばは絶対おすすめ。だけど、バイクで食べに来る人もいるから、売り切れの可能性もあります」
「東海道線豊橋駅の“あんまき”はおやつに最適。通ると必ず買います」
「出雲市駅のパン屋で販売している“木次(きすき)牛乳”は、西日本の牛乳界の横綱です!」

「好きな特急の“顔”は?」という質問に「特急雷鳥の485系」「横須賀線、総武線快速のE217系です」と即答。まさに蜂谷ワールド全開でした。リスナーもウキウキしたようで、大量のメールが届いていました。

 

 

静岡のSBSラジオの情報番組『IPPO』(月曜~金曜6時30分~9時55分)などでも、「時間が足りない」と言わんばかりに鉄道トークを炸裂。地元のテレビ番組で特集が組まれたほか、北陸のラジオ番組にも出演する予定です。

蜂谷さんは、今でも書店で売っている時刻表を使っています。「アプリを使えば最短距離は分かるものの、敢えて遠回りをしたり、途中下車をしたりすることを考えると紙の時刻表が便利だから」と常に持ち歩いています。「“鉄道ファンだから大きな時刻表を持っている”と思う人もいますが、あれは重くて持ち歩けないのでJTBの『小さな時刻表』を使ってます。内容は大きな時刻表と同じです。ただし、当たり前だけど、字が小さいです」と笑いながら話していました。

そんな蜂谷さん、旅の文筆家としての仕事は始まったばかりですが、文章とトークの面白さに早くも脚光を浴びつつあります。実はラジオっ子で、学生時代は『福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル魂のラジオ』(ニッポン放送/現在は終了)で福山雅治と電話で話したこともあるほどです。ラジオにもたくさん出てほしい蜂谷さん。今後の活躍が楽しみです。

 

実はラジオと鉄道は相性がよく、鉄道をテーマにした番組は各地で放送されています。鉄道が好きなパーソナリティが多いこともあり、鉄道が好きなリスナーが集まるコミュニティと化しているところもあります。

 

FMヨコハマの夕方の人気番組『Tresen』(月曜〜金曜 15時〜19時)では、木曜16時から「ワンマン車掌の鉄分乗々↑↑」を放送。鉄道に詳しいラジオ DJ、山川智也さんが鉄道に詳しくない人でも楽しめる話を披露しています。例えば、紫陽花が楽しめる鉄道として、箱根登山電車を紹介。沿線には、約1万株の紫陽花が植えられていますが、ただ植えているのではなく、紫陽花は地中深くまで根を張るため、土砂崩れ防止の役割になっているとのこと。そのほか、スイッチバックの話や引退する車両の話など、「なるほど!」と思う話が満載でした。

そんな山川さん、7月に行われたイベントでは、鉄道の先生として2回目の授業を行いました。せっかくなので、山川先生の1回目の授業のなかからクイズを1問。
「東海道新幹線の車内放送チャイム。TOKIOの『AMBITIOUS JAPAN!』の時と、山口百恵さんの『いい日旅立ち』の場合があります。この違いは?」
正解は「その車両を、どこの会社が所有しているか」の違い。そのため、同じところを走っていても、乗った列車によってメロディーが違う場合がある、というわけなのですが、話はこれでは終わらない。「正確には『いい日旅立ち』は鬼束ちひろさんバージョン(タイトル『いい日旅立ち・西へ』)」なのだそうだ。知らなかった!参りました!

番組では毎年秋に「鉄道王決定戦」を実施しています。今年はどうなる?

 

 

FM NACK5『スギテツのGRAND NACK RAILROAD』(日曜 6時〜6時55分)は1時間まるまる鉄道と音楽の話。ピアノとヴァイオリンのデュオ「スギテツ」。2006年、お互いにお笑い好きだったことから意気投合。「杉ちゃん&鉄平」(杉浦哲郎&岡田鉄平)という名のクラシックユニットを、半ば冗談で結成。『ハトヤのカルメン幻想曲』『犬のおまわりさんの運命』といった作品を生み出し、ライブ活動をスタート。ピアノ担当の杉浦さんは鉄道が大好きなこともあり、2007年には「鉄道」をテーマにしたアルバム『電クラ』(電車+クラシック)をリリースしました。

『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ 日曜10時~11時55分)の安住アナウンサーは早くから注目していたそうで、スギテツはゲストとして呼ばれるようになり、脚光を浴びます。2019年5月の時点で、9回出演しています。
鉄道をモチーフに、人を楽しませる音楽ネタが豊富。番組で披露すると百発百中でウケます。特に、踏み切りの音を再現して、鉄道会社によって音が異なることを気付かせるネタは圧巻。
ちなみに杉浦さんは、同じく鉄道が大好きな東海ラジオの源石和輝アナウンサーの番組『源石和輝 ひるカフェ』(月曜〜金曜 12時〜13時) のコメンテーターとして、月に一度出演。

 

そんな『スギテツのGRAND NACK RAILROAD』には、ユニークな人もゲストに登場します。例えば、“座り鉄”という一岡伶奈さんは、デビューしたばかりのアイドルグループ「BEYOOOOONDS(ビヨーンズ)」の一員。お父さまの影響を受けて「鉄道ファン」になったといいます。列車の座席の硬さに特化した「座席鉄」という新しいジャンルの女子鉄です。自分が乗った列車の座席を5段階評価で点をつけて、スマホのメモに記録しているそうです。「BEYOOOOONDS」の3曲入りデビューシングルの1曲め『眼鏡の男の子』は、駅のプラットホームが舞台の楽曲です。

鉄道アナウンサーとしておなじみ、久能知美さんのコーナー「つれづれTRAIN」(『スギテツのGRAND NACK RAILROAD』内のコーナー)もあります。久能さんは子どもの頃から大の鉄道ファン。京都の名門、立命館大学にも大好きな鉄道で通っていました。このコーナーは、鉄道情報という枠にとらわれないところがポイント。例えば「最寄り駅と、駅近と言われる施設との距離」の話では、「最寄り駅とはいうものの、歩いてみるとかなり遠い例」を挙げて紹介。遠いのが悪いわけではないという久能さん。「遠くても“旅”だと思って楽しめたら…」と愛を込めて提案しました。

 

福岡のRKBラジオ 『旅ラジ 出発進行!』(土曜 5時30分〜5時45分)は、鉄道ファンの茅野正昌アナウンサーが、ガタゴトと走る鈍行列車のごとく、鉄道の話をのんびりと展開。番組内のコーナーは「1号車『今週の特別情報』」、続いて300番まであるという鉄道唱歌を2曲ずつ放送する「2号車『鉄道唱歌はいかがでショーカ?』」、鉄道や旅にまつわるお便りを紹介する「3号車『こ~んなにテッチャン』」のコーナーで構成。茅野アナがどことなく車掌っぽい話し方をしているのと、ところどころで、車内放送風に進行するところがポイント。本当に楽しそう。

8月には元ソフトバンクホークスの摂津正さんを迎えて、九州鉄道記念館で55分間の公開生放送を行いました。摂津さんは鉄道会社に勤務していたことがあります。
余談ですが、摂津さんは大の釣りファンでもあります。同学年の三好ジェームスアナウンサーと共に、釣りの豆知識や魚の調理法などを紹介する『摂津正のつりごはん』(RKBラジオ 日曜 6時10分〜6時40分)も春にスタート。マイルドな語り口で、さやわかさが漂う30分です。

 

石川にあるMROラジオ『有限会社 タニカワ旅行社』(月曜 21時〜21時30分)は、時刻表検定2級の持ち主、谷川恵一アナウンサーと、大手旅行代理店に勤めていた森川和重さんが、旅に関する四方山話を展開。旅のルートを提唱するというよりは、喫茶店で話すような雰囲気で、旅で見つけたとっておきのトークをお互いが披露。「吹奏楽部の学生が合宿で山を目指す理由」「越前蟹を使った開高丼のうまさとネーミングの由来」「福岡の宮地嶽神社の豪華な福みくじの内容」などなど、聴いていてためになります。

 

鉄道や旅に関する番組ではありませんが、2019年6月30日に福岡のKBCラジオで放送された『オールナイトKBC マントル宮本の××祭りだよ! カーニバロー』(25時45分〜27時)も傑作でした。この番組はトークに定評があり博学、乗り物にも詳しい宮本啓丞アナが、KBCで活躍しているパーソナリティをゲストに、ひたすら喋る。宮本アナの素敵なところは、日頃の会話から、相手がもっているユニークな特徴を見つけ出し、それを放送で伸ばして面白いほうに導いている点です。

6月30日の放送ではKBCテレビ『アサデス。』などで活躍しているレポーター、野下史織さんが2度目の登場。実は“路線図マニア”なのです。宮本さんも詳しいこともあり、「好きなナンバリングのデザイン」「JRの切符は枠囲みがしてあり、駅名が書かれているが、あのスペースの中に『高輪ゲートウェイ』の文字は収まるのか」「横浜駅のおすすめのロッカー」の話など、トークは尽きませんでした。再びゲストに出演してほしいほどです。ちなみに、宮本アナウンサーは『世界の美しい地下鉄マップ 166都市の路線図を愉しむ』(日経ナショナルジオグラフィック社)を紹介。現在使用されている路線図のほか、初期の路線図やデザインの変遷などを紹介しているところがニクい。ただし、デザインされた路線図は眺めるだけなら楽しいものの、実際の距離感で作成された路線図も見たいという意見が出たところに、路線図ファンの本音が垣間見られた。

 

さて、ここまで“鉄道”の話をしてきましたが、同じ乗り物つながりで、トラックにまつわるラジオ番組に動きがありましたので紹介します。

 

以前エフエム大分で放送されているトラック情報バラエティ『トラバラ』(金曜 19時30分〜19時55分)の話を書きました。2018年の春にスタート。出演は大分で活躍しているラジオパーソナリティ、クボタヨシフミさんと“トラック業界に精通している”以外は全く情報のない、謎のDJジーノ(仮)さん。番組開始当初は珍しがられながらも、「果たしてトラックをテーマにした番組でネタがもつのだろうか」と、一部リスナーをざわつかせていました。クボタさんはプロの喋り手だからいいものの、DJジーノ(仮)さんは“DJ”と名のつくものの、ラジオで喋るのは今回が初めて。収録を制作会社で行なっているのも「本物のスタジオだと緊張するから」という理由でした。

ところが、いざ始まって時間が経つと、そんな心配を吹き飛ばすように、リスナーからのお便りに対する二人のツンデレなリアクション、美味しいドライブインの話、事務所の引越しの様子の実況放送、男二人のわちゃわちゃしたトークなどがリスナーの心を惹きつけ、各地にファンをもつ番組になりました。2019年の夏には新しいデザインのステッカーも完成。車に貼っても大丈夫なように、きちんと加工してあります。

 

 

番組がスクスクと育ってきたところ、なんと熊本のRKKラジオでは『トラパラ』(土曜 18時30分〜19時)が8月にスタートしました。『トラバラ』が「トラックバラエティ」なら『トラパラ』は「トラックパラダイス」。小さな文字で表示すると「トラバラ」か「トラパラ」か、分からないようなそっくりぶり。出演は2019 ミス日本酒 熊本であり、RKKラジオのラジオカーのレポーターの仕事も行なっていた草野遥さん。トラックとは全く関係がありません。その草野さんを支えるのがDJジーノ(仮) さん。そう、大分の番組に続いて熊本の番組にも登板しています。さすがに『トラバラ』のことは(初回の放送では)具体的には言っていませんでしたが、注目の番組です。

ちなみに、『トラバラ』は出演者もスタッフも全て男性、『トラパラ』は女性のディレクターが担当。AMとFMの違いはあるものの、どちらも“わちゃわちゃ”した楽しい雰囲気は変わりません。このままいけば、DJジーノ(仮)さんが、九州各地でトラックバラエティを担当する日も近いかも?!

 

<了>

 

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