HOME メディア 【 ラジオレコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】〜ラジオ×異ジャンルのユニークな番組〜
2019.2.25

【 ラジオレコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】〜ラジオ×異ジャンルのユニークな番組〜

SHARE ON

このエントリーをはてなブックマークに追加

ラジオ レコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO  第15回

やきそばかおる

ライター・構成作家、そして大のラジオファン。1975年山口県生まれ。
radiko.jp」をはじめ、雑誌やWebなどでラジオに関するインタビューやコラムを執筆中。
10月よりMBSラジオのナイターオフの番組『次は〜新福島!第2章=芽生え=』木曜のコーナー「やきそばかおるの全国ラジオキコウ!」に出演中。


 

突然ですが、「ラジオにハマっている度」チェックです。

  • 毎週聴いているラジオ番組が2本以上ある
  • ラジオ番組にメール(ハガキ、FAXなども含む)を送ったことがある
  • ラジオ局主催の「ラジオまつり」などのイベントに行ったことがある
  • 好きなパーソナリティがいる
  • 出待ちをしたことがある

 

YESが2つ以上あった人は、確実にラジオにハマっています。
そんな人に観てほしいのが、ラジオをテーマにした舞台『みみばしる』です。
開局30周年のJ-WAVEと、旗揚げから10周年を迎えた劇団ゴジゲンがタッグを組んで創った作品です。1年前にスタートしたJ-WAVEの番組『JUMP OVER』(日曜 23時〜23時54分 ※CROSS FMでも放送)から生まれました。ナビゲーターは、ゴジゲンの主宰、松居大悟さんが務めます。

そもそも、ラジオと演劇は相性がいいといいます。
脚本家で『JUMP OVER』の構成を務める、きたむらけんじさんは「ラジオはシンプルな構造でシンプルなメディア。演劇はライブメディアとしてシンプル。シンプルなもの同士は親和性がすごくいい。さらに、観ている(聴いている)人の心にも届きやすい。そのタッグは新しいものを創る可能性がある」と番組のイベントで話しました。

番組のコンセプトは“稽古場ラジオ”。舞台の作品をリスナーと一緒に1年かけて創り上げていきました。リスナーからタイトル案を募集したほか、愚痴、エピソードなども募り、脚本に活かしています。「番組を通じて、脚本作りに半年以上をかけたことを含めても、新しい作品です!」と松居さん。
フライヤーで使用する宣伝コピーを募ったところ、1041本もの作品が寄せられました。

 

ストーリーは…

30歳になった途端会社をクビになった妙子(本仮屋ユイカ)は、なんとなく劇団の手伝いを始める。自分は誰にも必要とされていないのではないかと思う日々の中、妹の影響でラジオを聴き始める。音楽と共に、リスナーから送られてくる愚痴や悲しみを全力で励ましてくれるラジオに妙子はのめり込み、メッセージを投稿するようになるのだが―。
[舞台「みみばしる」オフィシャルサイト(https://mimibashiru.com)より引用]

 

松居さんによると、主役をラジオのナビゲーターにしなかったのは、“選ばれた人”にすると感情移入がしづらいから。
舞台作品ができていく過程を、1年かけてまるごと見せていきました。松居さんは、最初は少し戸惑いがあったものの、リスナーから反応がくるようになって楽しさを覚えたそうです。

番組がスタートした当初は、内容の方向性を考えたり、セリフのヒントを募ったりして、夏頃に主演が本仮屋ユイカさんに決まり、リスナーを対象にしたオーディションも開始。舞台未経験のリスナーからも4名が選出されました。中にはラジオが好きで、どうしてもこの舞台に立ちたいからと、会社を辞めた人もいます。「ラジオ番組から生み出した作品だからこそ、出会えたキャスト」と松居さん。

私は3回観劇しました。ひとつの舞台の作品を2回以上観たのは本作品が初めてです。
ラジオのファンであれば心あたりのある場面がいくつも登場します。ラジオ局での出待ち、なかなかメールを読んでもらえず悶々とする日々を送る場面、同じ番組のリスナーを見つけると親近感を覚えるなど…。一方、ラジオ局内の出来事としては、DJとスタッフとの確執も描かれます。

前半は「うんうん。あるある」と共感しますが、後半になると一変。ドキドキする場面の連続です。人間の心に潜む闇もえぐいくらいに描かれます。
ポイントは、受信者が発信者になるということ。投稿するリスナーも放送で紹介されれば発信者。舞台に出演したリスナーも発信者です。
ラジオに少しでも興味がある人なら確実にハマれて、何かを始めたいと思っている人の背中を押してくれる作品です。とにかく熱量がすごい! 圧倒されます。

東京、福岡公演は大盛況の中、終了。残るは大阪公演(3月1日〜3日 近鉄アート館)のみとなりました。
ラジオ局のJ-WAVEならではの試みとして、劇場ロビーの一角にラジオブースを設置。開演15分前から松居さん自ら登場して、会場に遊びに来ていた著名人をゲストに10分間のミニ番組をお届けします。“館内ラジオ”として、ラジオブース前と客席の“2局ネット”で楽しめます。ぜひ、足を運んでみてください。

 

『JUMP OVER』のようにリスナーと一緒に作品を創っていく番組があれば、演劇の情報を紹介する番組もあります。
例えば『橋詰優子の「劇場に行こう!」』(ABCラジオ 土曜 18時〜19時 ※3月23日までは18時50分まで放送)は、ABCホールで上演される演目を中心に紹介。ゲストを招きます。自由な雰囲気が漂う番組で、ゲストのテンションが毎回、高めなところにも注目。

同じく大阪のMBSラジオでは、演劇人、歌手など、さまざまなエンターテイナーをゲストに迎える『上泉雄一の日夜もええなぁ!』(日曜 24時30分〜25時)を放送。うわちゃんこと上泉アナウンサーがゲストの話を巧みに引き出します。

舞台に関する情報は、テレビではあまり紹介される機会がなく、ネットの情報は膨大すぎて把握しきれないこともあります。ラジオでは出演者からのコメントを聞くことができたり、パーソナリティが観て感じたことを聞くこともできます。ぜひ、参考にしてみてください。

 

もう少し幅を広げてアート・カルチャーを紹介する番組をみていくと、TOKYO FMでは『日曜アートサロン和錆』(日曜 6時〜6時30分)を放送しています。
ある回はアニメ『蟲師』で初監督を務めたアニメーション監督・演出家の長濵博史さんをゲストに「何も足さないし、引かない、ということを第一に」という旨の話が繰り広げられました。映像がないからこそ、想像しながら楽しめるところもポイント。
パーソナリティのバロン山崎さんとSAKIさんが非常に前のめりで、気になることがあると、どんどん質問しているところに注目です。

 

福岡・LOVE FMで放送されている『明治産業 presents「OUR CULTURE, OUR VIEW」』(日曜 10時30分〜11時30分)は、番組スタッフ3名が自ら出演。
おすすめのものを楽しそうに話すため「この展覧会はぜひ見てほしい!」という思いがヒシヒシと伝わってきます。それぞれのスタッフは、美術のほか、音楽や映画などにも詳しく、話したいことが多すぎて、番組収録前の打ち合わせや会議では、あっという間に数時間が過ぎていくとか。とはいえ、話が暴走し過ぎないように、メインの進行役の佐藤ともやすさんが、交通整理をしてくれます。
毎回、ある作品(展覧会)をテーマにリスナーが思っていることを寄せてもらうコーナーもユニーク。何か新しいことに触れたい人におすすめです。

 

先述の『JUMP OVER』はラジオと演劇がコラボした番組でしたが、ほかにもさまざまな分野をテーマにしたユニークなラジオ番組は多く存在します。その一部を紹介します。

 

<ラジオ×イラストレーター>

ラジオ関西『中村佑介の一期一絵』(金曜 23時〜23時20分)の中村さんは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONや、さだまさしさんのオールタイム・ベストアルバムのジャケットなどを手がけている、大人気イラストレーターです。
自身の作品のエピソードはもちろん、イラストの仕事をしていく上で知っておきたいことをあけすけに話します。例えば、お菓子のパッケージのイラストのオファーがきた時に、知っておいたほうがいいこと、などなど。

もともと、SNSやネット配信、講演などでイラストの解説をしていた中村さん。中村さんの話の分かりやすさ、楽しさは、チケットの入手が困難な講演会や、展覧会の人気の高さが表しています。かくいう私も何度か講演会に足を運んで「どこにどの色を塗るか、どのようにして決めていますか?」と質問をしたことがあります。
「イラストの楽しさを伝えたい!」という中村さんの気持ちがほとばしっていて「放送時間が20分なのが、本当にもったいない!」と心から思う番組。講演会では話が止まらなくなって7時間も喋ったことがあるそうです。
『みんなのイラスト教室』(飛鳥新社)などの著書とあわせて聴くと、ますます中村さんの魅力やイラストの楽しさが分かります

 

<ラジオ×アーティスト>

NBCラジオ佐賀『冨永ボンドのRADIOボンドバ』(土曜 19時30分〜20時 ※NBCラジオでも放送)の冨永さんは佐賀県在住のアーティスト。木工用ボンドに水性塗料を混ぜて絵を描いています。世界的に有名で、海外のアートイベントにもブースを出すほどです。
番組ではデザインやアート、医療や地域など様々なジャンルで活動している人をゲストに招きます。「アートに失敗はない!」を合言葉に、もの作りをしている冨永さんならではの視点も含めて、対談を展開します。
おとなり、福岡県のRKBラジオでは『冨永ボンド アートレディオ』(月曜 20時15分〜20時30分)のパーソナリティも務めています。中村佑介さんの番組同様、作家としてアートの世界で活躍したい人にもおすすめです。

 

<ラジオ×将棋>

『女流棋士水町みゆの、まるで将棋だな』(LOVE FM 月2回 日曜 14時45分〜15時)も1月にスタートしました。
水町さんは、福岡の名門校に通う高校2年生。昨年7月にプロデビューを果たしました。福岡県に女流棋士が誕生したのは38年ぶり! 将棋関係者100人で祝賀会が開かれました。“高級将棋駒”をプレゼントされて感激していた水町さん。
番組の内容は、将棋力を高めるために、尊敬する棋士をはじめ、いろいろな人に話を聞く「みゆの将棋力」、駒の名前や将棋に関することわざなどをDJのTOM Gさんがレクチャーする「英語で将棋」のコーナーがあります。
ちなみに、2017年にはポーランド生まれの女流棋士が誕生しました。現在27歳のカロリーナさんは16歳の時に漫画『NARUTO』で将棋をしている場面を見て将棋に興味を持ち、ネットを使って勉強したそうです。
番組では水町さんの初々しさを、ベテランDJのTOM Gさんがカバー。将棋愛好家はもちろん、同世代の人にもおすすめです。

 

さらに、将棋の番組といえばマニアックなラジオファンの間で密かに人気の『ラジオで詰将棋』(YBC山形放送ラジオ 日曜 8時55分〜9時)があります。
3~7手詰め程度の詰将棋を出題し、翌週に解答を解説。問題は日本将棋連盟県支部連合会の会員が考えたオリジナル。先日の放送では10代の女性から届いた「今年は初段になれるように詰将棋を頑張ります!」というメッセージも紹介されていました。
この番組は、将棋ファンやラジオファンの間でジワジワと浸透してきており、昨年10月には30分スペシャルを放送。イオンモール天童で開催された「イオンモール杯2018 こども将棋王決定戦 全国大会」とスタジオを中継で結び、子供たちの対局の様子や将棋の魅力を生放送で伝えました。

 

<ラジオ×トラック>

『トラバラ』(エフエム大分 金曜 19時30分〜19時55分)は、トラックに関するトークバラエティ。
出演はクボタヨシフミさんと、DJジーノ(仮)。クボタさんは大分県で活躍中のDJ、パーソナリティ。一方、謎のオーラを漂わせているのがDJジーノ(仮)。仕事の関係でトラックや物流業界について非常に詳しいのですが、“DJ”と名乗っているものの、この番組でラジオデビューを果たしました。
もともと、エフエム大分のスタジオではなく、音響スタッフの会社の片隅で収録をしており、エフエム大分のスタジオを使わない理由は“立派なスタジオで喋ると緊張するから”でした。
一度、エフエム大分のスタジオから生放送を実施した時は、ガチガチに緊張していたのはいうまでもありません。しかし、そんなDJジーノ(仮)は、物流業界を盛り上げたいとの思いで、ひと肌脱いだのでした。
音響スタッフの会社は埃っぽく、雨漏りもするほどでしたが、年末にめでたくお引越し。その様子もラジオで伝えられました。
番組の締めの言葉は「ご安全に!」。安全運転を願うふたりは、ラジオが好きなトラックドライバーの味方です。

 

<ラジオ×ボカロ>

1月にスタートした番組の中で、早くも話題になっているのが『田口淳之介の電波工作』(ABCラジオ 日曜 16時~17時)。ボカロ(ボーカロイド)を応援する番組です。
とはいえ、この番組が嬉しいのは、ボカロ初心者を置いてきぼりにしないところ。田口さんが専門家をスタジオに招いて、分かりやすく紹介します。初回の放送では『紅白歌合戦』で小林幸子さんが歌ったことでも有名な『千本桜』の聴き比べを行いました。
また、実は米津玄師さんはもともと“ハチ”という名でボカロP(ボーカロイドプロデューサー)をやっていました。ボカロに詳しい人は、米津玄師さんが歌っているのを見て「本人の歌もうまい!」と感心したほどです。
それにしても、この番組は公式サイトの力の入れようが半端ありません。聴き逃した人でも十分に楽しめるようにしてあるほか、放送中はスタッフが常に放送内容に関連したツイートをしているため、Twitterを見ながら聴くと一層楽しめます。

 

<ラジオ×マンション改造>

『アライアンス presents マンション大改造 そこまでやって委員会』(FM FUKUOKA 金曜 12時〜12時30分)はその名の通り、マンションの改造をテーマにした番組。今年の秋で放送開始10年を迎えます。
まずは改造する部屋のマンションの紹介から始まり、その部屋をどのようにして改造するともっと素敵な部屋になるのか、ということについて、斉藤ふみさんと、謎のアジア人がアイデアを出し合います。
マンションを販売している会社「アライアンス」の担当者がその場で「それはできます」「これは難しいかも」といったことを教えてくれるのもポイント。例えば、結露や収納対策に関する相談から、物干し竿を各部屋に設置したいといった要望など、生活のさまざまな疑問や要望に対して親身にアドバイス。マンションの購入や引越しを考えている人にとって参考になります。
さらに、マンション周辺の魅力のあるお店のレポートもあり、アライアンスの方々の「こんなにステキな街と部屋に住んでほしい」という思いが伝わってきます。

 

冒頭で紹介した『JUMP OVER』は“稽古場ラジオ”というコンセプトのほかに、“境界線を越える”をモットーに始まりました。一見、ラジオとはあまり関係のない分野のものでも、ラジオの特性を活かした番組で、境界線を越えたユニークな番組が生まれることが分かります。

 

(了)

関連記事


【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】~レジェンドが奇跡を起こすとき~

PREV

小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第2回 物語とは?

NEXT

人気の記事

RANKING

最新の記事

WHAT'S NEW

MORE