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2018.6.6

「総合チャートで音楽界に変化を!」阪神コンテンツリンク 礒崎 誠二さん vol.1

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阪神コンテンツリンク 礒崎 誠二さん


日本音楽業界では長い間、CDの売り上げがヒットの指標となっていた。
ところがビルボードジャパンが発表する総合チャートはこの状況に一石を投じ、ヒットソングの概念を変えつつある。その仕掛け人に聞いた。

—ビルボードジャパンのチャートの歴史を教えてください。

スタートは2008年。当初はフィジカル(CDの売り上げ)とラジオのオンエア回数データを合算していました。弊社が2006年にビルボードのマスターライセンスの契約をしたときから日本特有のチャートをつくりたいと思っていました。

本国であるアメリカ側に、オリジナルのメインチャート、HOT100の日本版をつくりたいと伝えたところ、〝HOT”と付ける以上、複数の要素を足さないといけないと指摘されたのです。ちなみにアメリカのHOT100は1958年にスタートしていて、当時はシングルのセールスとラジオとジュークボックスの再生回数から得るポイントの合算値でした。

チャートもビルボード独自のルールがあって、一般的に公開されているデータを使って数値化、ポイント化する。誰でもすぐに調べられて計算できる、その計算公式をつくりなさいというお題もありました。

—礒崎さんは日本のビルボードチャートに最初からかかわっていたのでしょうか?

私は90年代の始めにレコード会社『キティ・レコード』に入社し、ずっと音楽業界に携わっていました。そして阪神コンテンツリンクがビルボードの事業を始めることになり、声をかけてもらったんです。

以前から総合チャートに興味はありました。レコード会社にいた当時から様々なデータを見ていて、これらのデータを合算したらどうなるか、と思っていたのです。日本にも、80年代は『ザ・ベストテン』、90年代は『HEY! HEY! HEY! MUSIC CHAMP』といったテレビ番組に独自の総合チャートがありました。

それを一般的な指標として使うことができたらいいなと感じていました。アーティストと契約するにあたり、そのアーティストのサイトのビュー数やライブの集客数、販売枚数、それ以外にも、アーティストにどんな可能性があるのか推し量れるようなデータがないか、と常々思っていました。

 

 

—指標の制作に、どれくらいの期間を要しましたか。

当初は係数をつくり、テストチャートをつくり、アメリカとやりとりをして……の繰り返しで予想以上に時間がかかりました。アメリカからは何度も『つくるべきものはランキングでなく、チャートだ』と言われました。チャートというのは、その中に過去と現在と未来が入っている。だからチャートと言うんだよ、と。そこから、未来が見えるようなチャートをつくらなくてはいけない、と意識するようになりました。

—現在のランキングは、7つもの要素を使ってチャートをつくり出しています。これまでの流れは、どんなものだったのでしょうか。

ラジオとフィジカルセールスだけの場合、ラジオで全国的なパワープレイがかかると、ランキングが必要以上に高くなります。フィジカルのシングル盤に基づいたヒットチャートでなく、歌単独のソングチャートをつくりたかったとはいえ、一方の指標にだけ引っ張られるのはユーザー目線ではないし、バランスも良くないと思いました。

まず10年にはiTunes のデータをアメリカ経由でもらうことが可能となり、そのデータを活用することにしたんです。iTunesの合算は業界内外にとっても大きな影響力があって、阪神コンテンツリンクという会社が、これまでとは違うチャートをつくろうとしているらしい、との認知が広まったんです。

そこから『これとこれを足してみたら?』というアイディアをいろいろといただく機会が増え、13年にはTwitter(アーティスト名と楽曲名の両方がつぶやかれた回数)とルックアップ(PCでCDを読み込んだ際の盤面情報取得回数)を合算することにしました。このあたりからレコード会社や放送局の方々から、興味を持っていただけることが多くなり、そこでこのデータをサービスとして展開できないか、と考えるようになったんです。

—チャートにはさらにYouTube GYAO!  でのMVの再生回数、ストリーミングサービスの歌詞の表示回数も使用されていると伺いました。Webではどのようなサービスを行っているのでしょうか。

ビルボードジャパンのサイトで展開している『CHART insight』というサービスでは、複数指標の各20位までは無料で見ることができます。月額300円の会員(CHART insight PRO)の皆さんは、我々が発表している各チャートを100位まで見ることができます。また例えば2016年の1月から現在までというように期間を設定して、自分の好きな期間のランキングをつくれるなどのサービスも行っています。キャプチャーしていただくことも認めているので推移グラフをツイートされる方もいますし、チャートマニアやライターの方で会員になる方も多いです。

—法人向けのサービス「CHART insight BIZ」(月額20万円)のシステムなどをお聞かせください。

社外秘のデータですので、社内限定で使っていただけるWebのアカウントを5つお出ししています。『CHART insight PRO』で提供しているデータに加えて、全順位を閲覧可能。各指標のポイントも閲覧できます。さらにエクセルでの各チャート、アーティストランキング(HOT100とHot Albums全順位のポイント合計(アルバムは1.5倍))とメーカーシェア(HOT100ベース)を提供しています。

—「CHART insight BIZ」はチャートを100位以下も公開しているのをはじめ、音楽業界にかかわる方にとっては〝宝の山〟だと思います。具体的には、どのような方々が会員なのでしょうか。

メジャーレコード会社さんや在京在阪の放送局などです。音楽出版社、アーティストのマネージメント、小売店さんなどでも会員が増えています。

小売店さんは、例えばルックアップのみのデータを見るとします。中には、シングルのセールスランキングは下がっているけれど、ルックアップで上位という曲もあります。要はPCに読み込ませるユーザーの興味自体は5位に入るくらいあるので、これからまたシングルの売り上げが盛り返す可能性がある、という未来が分かります。

ここで、追加発注の判断ができるわけです。私たちが提供しているチャートデータを使って、より精度の高い新規や追加の発注が可能になり、力を入れたい分野のバイラルデータが分かるので、店の個性を出すのに役立てていただけると思っています。

—一方、放送局さんはやはり音楽番組づくりに反映をされているのでしょうか? (vol.2)に続く

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