【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】番組が終わること

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【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】番組が終わること

【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第42回


テレビ番組には必ず終わりが来る。

日本テレビ「人生が変わる1分間の深イイ話(以下、「深イイ話」)」。

2008年1月8日に特番として放送されたあとにレギュラー化されたので、番組開始から14年が経った。当初、司会は羽鳥慎一さん&島田紳助さんのコンビだったが、紳助さんが芸能界を引退したことにより、彼のいたポジションに今田耕司さんが入った。

「深イイ話」は様々な人の名言とか行動のVTRを見て、スタジオの芸能人が「深イイ」(深くてイイ話)か「う~ん」(そうでもない)かを判定する番組だ。

番組開始当初はVTRも今よりもっと短く、紳助さんの判定と喋りを面白がる番組だったが、どんどん進化していき、特に今田さんになってからは密着VTR色が強くなり、今となっては、「深イイ」=密着のイメージに変わったと思う。


番組というのは、始まってからうまく進化出来る番組が生き残っていく。

「ロンドンハーツ」なんて、まさにその最たるもの。途中で「格付けしあう女たち」という企画を見つけて、女性同士が戦いあうような番組に進化していき、さらにヒットしていった。

とんねるずさんの「みなさんのおかげです(みなさんのおかげでした)」も最初はコント番組として大ヒットしていったが、長い歴史の中で「食わず嫌い王決定戦」を見つけ生き返り、再びの大ヒット。

長寿番組というのは、一度ではなく、最低二回ヒットしないと生き延びることが出来ないものが多い。


今年の春に「深イイ話」は終了する。

番組の立ち上げから2014年まで番組の構成に関わっていただけに、寂しい気持ちもするが、仕方ない。

僕も沢山の長寿番組をやらせてもらっているが、どんなにヒットしても番組はいつか終わる。人気番組の視聴率が落ちる理由としては、裏番組の存在が大きい。裏番組が変わり、その番組がヒットしたことにより、自分の番組の視聴率が落ちて終焉を迎える。これが一番多いパターンなのではないかと思う。

ただそれ以外にもある。「SMAP×SMAP」や「ほこ×たて」は違う理由で終わった。

非常に残念な終わり方ではあったが、もし続いてたとしてもどこかで終わるのだ。


僕は色々と経験させてもらっているので、番組がヒットしても少し冷静な気持ちでいられるが、中心に立っている人は「いつか終わる」と知ってはいても、「終わる」ということを分かってはいないと思う。

視聴率が下がってきて、その現実に直面する。

番組の視聴率が落ちてくると、その番組は終わり新番組になる。これは今までのテレビでは当たり前のことなのだが、僕は個人的には本当に今、「これが正しいのか?」と思っていたりする。


2021年、年末恒例「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」 の「笑ってはいけない」シリーズが放送されず、一方、紅白歌合戦(以下、「紅白」)の視聴率は前年に比べるとかなり落ちていた。僕は決して「紅白」のせいだけではないと思っている。

毎年「笑ってはいけない」を見てる人って、「紅白」とザッピングして見ている人も少なくないはずだ。今回の結果を見て僕が思うのは、「笑ってはいけない」を見ながら「紅白」を見ていた人が結構いたんじゃないかと思う。

毎年楽しみにしていた「笑ってはいけない」がやらないからといって、みんなが地上波で見たい番組を探す時代じゃないのだと思う。家にはいても、毎年楽しみにしていた番組を地上波でやらないなら、地上波以外を見ればいいのだ。


だから思う。長年やってきた番組を終わらせて新番組にするというのは、今までの番組を見てくれていた人たちが、必ずしも新しい番組や他の地上波の番組に流れるというわけではなく、「今まで見てた番組がこの時間にないから、他を見る」人もどんどん増えていく。

この「他」というのは、YouTubeだったりNetflixだったりだ。なので、今、番組を終わらせて新番組に変えるということは、地上波の横並びだけがライバルになるのではないということを意識して作らなければいけない。

大変な時代。だけどそれが現実。受け止めて行こう。


<了>

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