【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】テレビの「発明」は普遍

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【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】テレビの「発明」は普遍

【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第34回


こないだ、YouTube関連の仕事をしてる人と話した時に、その人は「いや~、おさむさんの作って来た番組の企画、結構パクらせてもらってます」と笑顔で言っていました。


最近、強く思うことがある。

僕は以前テレビ朝日の「お試しかっ!」という番組をずっとやっていて、その中の「帰れま10」というコーナーはいまだに特番でやっています。

企画の柱である「○○しないと帰れない!」というのは、会議で当時若手作家だった子が出したワードです。発明です。この「○○しないと帰れない!」というのって、簡単な言葉に見えて、それまでバラエティーでは多分あまり使われてなかった言葉なんですよね。

こういう言葉って、すごく大事なことなんです。

例えば、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の年末特番「笑ってはいけない」シリーズってすごいですよね。にらめっこ的な企画とか、笑っちゃダメなものってそれまでもあったんでしょうけど、「笑ってはいけない」という言葉とともに企画化されて、大きく流行る。


この"言葉"を考えることってめちゃくちゃ大変なんです。会議で大の大人が何人も集まって、何日も考えて出る時もある。

自分が参加してない番組で、「笑ってはいけない」のように、言葉や企画の大きな発明が出た時は、嫉妬の気持ちとともに尊敬します。

例えば、「ぐるナイ」の「ゴチになります!」のコーナーの「自腹」って言葉。もちろん、「自腹」なんて日本語は昔からあるんですが、「ゲームで負けたら自腹で払う」という企画があの番組で当たったから、僕はやはり "ごち発"の言葉だと思っています。

あと、「水曜日のダウンタウン」の「○○説」というのも、そうです。「説」という日本語は前からありますが、くだらないことの発想に「説」とつけることによって、「説」の違う使い方をしてるわけです。これも凄い発明だと思うんですよね。


YouTubeの中で「○○しないと帰れない!」とか、名前だけじゃなく、企画の内容まで近いことをやっていたりとか、「笑ってはいけない」もそうだし、やたら「説」を使ってる人もいる。

例えば、テレビの中で「笑ってはいけない○○」と他の番組がやったらパクリになりますよね。

前までは全然気にならなかったんです。だけどね、最近、受けた取材のいくつかが、「テレビとネット」についての話で、要は取材の趣旨としては「テレビを叩きたい」んですよね。古いメディアとして。

だけどね、そうなってくると、ネットで簡単に、テレビ発のそういう言葉やフォーマットまで使っているのが気になります。学生ノリでやってるのとかは全然いいんですが、そういう「発明」である言葉や企画を簡単に使ってたりして、その動画が結構見られていると、それで結構な利益を得ているとなる。

それってどうなんだろう、と思ってしまう自分が最近います。パロディーですと言われたらそれまでなのかもしれないが・・・。


ネットは音楽の使用、めちゃくちゃ厳しいですよね。だから今度は、バラエティー界の発明や言葉、フォーマットがネットで使われることに対して、そろそろみんな叫ばないのかなって思ったりします。

でも、それをすると、「最近のテレビはネットで話題の人ばっかり出してるじゃないか」と言われる気もして。それも、まさにそうで・・・。

でも、個人的には、ネットの中でも色々規制やルールが新たに出てくるからこそ、今度はネットの中でもっととんでもない発明も出てくる気がするし、自ら新しい言葉や企画を考え出すYouTuberも沢山いるはずだ。そういう人は心から尊敬します。


<了>

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