【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】音楽番組のアップデート

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【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】音楽番組のアップデート

【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第31回

近年、各局、世帯視聴率以上に個人視聴率を重視している中、ネットニュースなどではいまだに世帯視聴率でのデータが出ている。

個人視聴率についての説明が面倒臭いからなのか?テレビ局が個人視聴率を重視していることに気づいていないのか?後者だとしたら、テレビ局全体でそういう媒体に教育が必要なんじゃないかと思ったりします。ネットニュースを見ている人は記事に書かれている評価を信じてしまうので。

テレビ局が重視している「視聴率」と世の中に届けられる「視聴率」の乖離が激しいなと思った2020年。いきなり視聴率の話をしてみましたが、今回は「乖離」について。

今、テレビでは色んな「乖離」があるなと思うのだが、大きな「乖離」、音楽について。

ある記事で「買われている音楽」と「聴かれている音楽」の違いについて書かれていた。年間のCDランキングと、サブスクなどの配信ランキングがかなり違うことについて。ここに大きな「乖離」がある。

昨年は、本格的に音楽の聴かれ方が変わってきた年だったなと思っている。YouTubeやTikTokなどから本格的なヒット曲が出てきた。

YOASOBIの「夜に駆ける」や瑛人の「香水」なんかは、知ってる人も多いとは思うが、サブスクのチャートで上位の曲を知っているテレビ局の人が結構少ないことに驚く。

優里、オレンジスパイニクラブ、もさを。、川崎鷹也、Eve、今挙げたアーティストたちの曲名が浮かぶ人、何人いるだろうか?

どれもネットを中心に話題になり、サブスクなどでかなり聴かれている曲だ。

今、テレビの音楽番組も大きく変わってきていると思う。世帯視聴率じゃない勝負になってくると、僕は音楽番組ってテレビにとっては大きな肝になってくると思っている。

が、テレビの音楽番組と世間とでは、「聴かれているアーティスト」の乖離が起きている気がする。

紅白でYOASOBIの出場が決まった時「CD発売してないアーティストで初!」みたいな記事があったが、今どき、若い人たちが、「CD発売してないのにすごい!!」と本気で思うだろうか?

サブスクなどのチャートであれだけ上位にいて、若い世代にとっては大ヒットアーティストなのに、CD発売のことをキャッチにしてしまうのが、僕的には「?」だったりする。

「ネットから出た曲!」と書いてる記事も多いが、今、世の中の情報のメインはネットじゃないのか?

音楽番組というのは、広い世代に支持されるヒット曲を聴ける番組である一方、"情報番組"でもあると思っている。だからこそ、今、若い世代に聴かれている曲を情報とともに届けて、さらにヒットさせる、というのもテレビの音楽番組の大きな役目になってくるのだと思う。

2020年、SNSをきっかけにヒットしたアーティストの中には、その突然のヒットに戸惑っている人も多い。そういう人とラジオで話すととても面白い。つい最近までバイトしていたとか、YouTubeで凄い再生になってることに気づいてなかったとか。

これって、若い人たちにとっては大きな夢である。そういう戸惑いも含めて、音楽界ではおもしろい状況になっていると僕は思う。

だからこそ、テレビの音楽番組がこういう状況を広く届けることによって、若い世代のテレビの見方が変わってくるんじゃないかなと思う。

今後、テレビで"見たいもの"と"届けられるもの"の乖離はもっと広がってくる気がするので、ここをまず、埋めていけるのって音楽なんじゃないかと思う。

テレビの力ってすごいんだなと伝えるチャンスでもある。だから音楽番組に期待したい。

<了>

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