【ふかわりょうの「魔法が解けたなら」】〜第4回 芸能人ってなんだろう?〜

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【ふかわりょうの「魔法が解けたなら」】〜第4回 芸能人ってなんだろう?〜

【ふかわりょうの「魔法が解けたなら」】 第4回 <毎週金曜更新>

「芸能人」と聞いて、どのようなものを想像するでしょう。ライブや舞台を中心に活動している方、最近ではYouTuberなど、広義では果てしないですが、ここでは「テレビに出ている人」という括りで進めたいと思います。

これに近いのが「タレント」でしょうか。「ママタレ」「お笑いタレント」、定義は曖昧ですが、「女子アナのタレント化」ということから、アナウンサーはタレントではないという見方もできます。何をしているかというと、良くも悪くも「定か」ではありませんが、その「わからなさ」は魅力でもあります。タレントは日本語で「才能」という意味ですが、視聴者にとっては、なんでテレビに出ているのだろうかと思うこともあるかもしれません。「芸能人」の「芸」や「才能」がわかりにくいのは、イメージこそが「商品」だからです。


相変わらず、「不倫」の文字が踊っている昨今。最近では、「夫婦の問題だから」「周囲がとやかくいう資格はない」という見解もありますが、それは違います。視聴者はとやかく言っていいのです。なぜなら前述のとおり、芸能人はイメージが商品。そういう商売なのです。

夫婦間の認識や、不倫に対する社会の空気も一つの判断材料ではありますが、そこはあまり重要ではありません。テレビタレントは、イメージがすべて。ましてやクリーンな棚に置かれた商品ならば、視聴者はその商品を手にとった消費者。その商品が「不倫」したとなると、返品したくなるのは当然です。

商品説明欄に「不倫しています」と書いてあるならまだしも、「いいイメージ」コーナーに並んでいた商品なので、「不倫しなそう」というイメージに視聴者は価値を見出しています。無意識に。だからいざ不倫の報道がされたら、「話が違うじゃないか!」と、タレントの消費者として、視聴者は怒っていいのです。

「イメージ」が商品であるのなら、それを構築するのが「芸」や「才能」です。しかし、せっかく築き上げたイメージも、その価値が高ければ高いほど、崩壊すれば大きな衝撃を消費者に与えます。かつてのように、清純な女優が突然ヌード写真集を出し新たなステージに上がるケースもあれば、不祥事系のイメージ崩壊は、消費者による返品が相次ぎ、しばらく見かけなくなることも。問題は、返品の後。

元の棚に戻ろうとする商品もありますが、それはあまりに都合が良すぎます。返品されたタレントは、同じ棚に置かれると無理や違和感が生じて「扱いにくく」なり、周りの商品も戸惑うので、新たな取り扱い説明書が必要になります。


芸能人は実態よりも、「イメージ」が商品。「芸や才能」で「イメージ」を構築するのがテレビの中の「芸能人」。本来、私生活は関係ない筈ですが、それが世に出てしまったのであれば、イメージの再構築は必要でしょう。そのための「芸」と「才能」。それができなければ、「イメージ」だけだったということ。

視聴者は私生活が知りたいのではありません。構築された「イメージ」越しに「人間」を想像します。

芸能人。芝居が上手い人はテレビの外にもいます。漫才が上手な人も同様です。「テレビ映え」という、上手い下手ではない尺度がテレビの中にはあります。だから、「芸能人」は、テレビという大きなテーマパークのキャストのようなもの。世の中が求めているキャラクターがテレビの中に存在していると、私は信じています。

<了>

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