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2019.10.9

【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】ヤラセの背景にあるもの

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【 鈴木おさむ のWHAT’S ON TV ? 】第17回

 

最近、またヤラセ問題で色々と騒がれている。ヤラセと演出。非常にその線引きは難しい。

僕がチーフで構成に関わっていた『ほこ×たて』は、ヤラセ発覚で終了した。詳しくはネットで調べて貰ったらいいが、個人的には、ラジコンカーと猿の対決で、猿の首を釣り糸で引っ張るという行為。あれを知った時はとても悲しかった。
ちなみに、僕はヤラセをしていたことを知らなかったのだが、だからと言って、責任逃れしようなんて思ってない。チーフで構成をしていたので、罪は大きい。

番組が始まり、毎週繰り出される意外な真剣勝負に視聴者の反応はどんどん良くなっていく。
何と何を対決させたらおもしろくなるかも大事だが、やはり、一番のポイントは勝負の中身。
結果、それがどれだけ人を興奮させられるかだと思う。想像を超えたものが撮影できると、当然、みんな喜ぶし、結果につながる。

企画自体がかなりエッジがあるので、毎週毎週、あの『ほこ×たて』の対決を、実際に現場で作っていくスタッフはとてつもなく大変だったと思う。撮影し、編集し、放送する。僕の立場からすると、会議で対決のアイデアなどは出すが、それ以外に、放送の感想を述べるというものもある。そこで、「あの対決は、盛り上がりがイマイチだったかな」という発言は当然してしまう。

例えば、自分のそういう発言ひとつで「もっとおもしろいものを撮影しなきゃ」と焦るスタッフもいる。そして、番組内で力を持つ人ほど、その発言に威力はあるわけで。
僕が思うに、過去、ヤラセや捏造をしていた番組は、沢山の人が出席する会議で「よし!もうヤラセするしかない!」と会議して決めるわけはなく。番組内でのプレッシャー、それにより、なんとかおもしろいものを作らなくてはと背負いすぎた故に、起こしてしまうことが多い気がする。
だからこそ、その行為を現場でした人だけの問題ではない。その番組をおもしろく作り続けることのリスクを想定しなければならない。これは作家も、プロデユーサーも、そして番組を編成する人たちもそうだ。色々な番組で僕が会議で何気なく言ってしまった感想で、現場に行くスタッフに「なんとかしなきゃ」と思わせてしまったこともきっとある。その時点で作家にも大きな罪はあると考えなくてはならない。

正直、ヤラセと騒がれたものを色々見ていて、「それは演出という考え方でいいでしょ」というものも当然ある。だが、「それはヤラセだな」と思うものもある。

日本のバラエティー番組に終わりはない。終わるとしたら視聴率の低下で打ち切り。

そこで思うのだが。日本でもネットでやっているバラエティー番組・リアリティー番組はシーズン制を取っているものも増えてきた。僕もそういう番組に参加していて思うのだが、今、配信されているものが人気でも「次は出演者が整ったら」とか無理なく、よりおもしろい物が作れそうな状況が出来たら作る。これはとてもいいことだなと思っている。

バラエティー番組は放送が始まったら終われない。そろそろこの考え方を変える時かもしれない。おもしろいものが出来たら、それを長続きさせるためにも、半年、一年休んで次のシーズンを作る。是非、こういう形が増えてほしい。

<了>

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