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2019.8.1

【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】ドラマに「色」をつけるための挑戦

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【 鈴木おさむ のWHAT’S ON TV ? 】  第15回

 

テレビドラマの「枠」には特色がある。というか、特色がつけられたところが、勝っている。

まずはフジテレビ「月9」。恋愛ドラマが多数誕生したこの枠だが、裏となるTBSの2時間ドラマの終了と共に、職業ドラマが増え、それで世帯視聴率の結果を出しているので、この枠も、そう変化していくのだろう。
テレビ朝日水曜9時は刑事もの、木曜9時は、医者などの職業ものという色がある。日本テレビ水曜10時は女性に向けた作品を数々送り出してきたイメージが強いが、それはTBS火曜10時の色となっている。
TBSと言えば、日曜9時は『半沢直樹』以降、完全に男が熱くなれる企業ものの色がついた。

僕が今、一番好きな枠は日本テレビ日曜10時半である。現在は『あなたの番です』を2クール放送するという勇気を持ち、1クール目でじわじわ話題にして、2クール目でネットを巻き込み大成功している。
この枠、個人的には福士蒼汰主演の『愛してたって、秘密はある。』の終盤でかなりネットをざわつかせたのがヒントになったんじゃないかと思っている。『トドメの接吻』も話題にしている人が多かった。

そして『今日から俺は!!』で完全に中高生をあの時間に見させる!というすごい技をやってのけ、『3年A組』、『あなたの番です』と、連続して当ててくる。Huluとの連動もあるからこそ、最近のテレビドラマだと捨てがちな若い層をターゲットにしたドラマに振り切れるのだろう。

若い層をターゲットにしたものって、結局、10代、20代だけだと本当のブームにならず、そこから、30代以上に対して「見なきゃいけない感」にさせた時に、弾ける。日本テレビ日曜ドラマ枠は、見事、3作品連続、成功している。

評価対象が視聴率だけではないからこその作品の振り切りと、結果、それが視聴率の成功、そして世の中のムーブメントを作れているのだと思う。

 

で、ネットからのムーブメントも多数生まれているのは事実。海外のテレビドラマの今のブームは、ネットで色んな作品を見られることになったからこそだろうし、もっと加速するだろう。
だが、思う。ネットの日本のオリジナルドラマで、大成功と言える作品っていくつあるのだろうか?『深夜食堂』なんかは、Netflixで楽しみに見ている方も多いと思うのだが、やはり地上波放送された時に目にしている人も多いのか?

僕の中では作品の中身だけじゃなく、その視聴数も含めて、「大成功」と言えるネットの日本のオリジナルドラマがまだ出てない気がするのです。

今年の夏、AbemaTVで『奪い愛、夏』という作品の脚本をします。これはもともと『奪い愛、冬』というドラマがテレビ朝日で放送されまして、SNSで結構話題になったのです。水野美紀さんの怪演が特に!

前回、放送前のテレビ誌の期待値とかはかなり低かったのですが、もちろん僕は脚本を書く時からSNSで話題にするべく、作戦を立てていました。

そして、今回はAbemaオリジナルで、水野美紀さん主演、小池徹平さん、松本まりかさんの“怪人”を演じられる役者さんで固めて挑みます。
僕は「テレビで出来ない!」という言葉が好きではないのですが、今回は、テレビのことを相当知っている僕だからこそ、テレビで出来ない表現とストーリーに挑んだものになっています。

なにより、この作品により、ネットのオリジナルドラマの見え方や、重い扉が開かないかなと本気で思っています。

ネットドラマには「枠」の色がないけど、日本のネットオリジナルドラマの「色」が見えてくるころなんじゃないかと勝手に思っている。

 

<了>

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