HOME テレビ 【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】~映画の“いま”を追い求め、世界中を巡る取材の旅へ~
2018.12.10

【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】~映画の“いま”を追い求め、世界中を巡る取材の旅へ~

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ハリウッド外国人記者協会の仕事とは

 

―お聞きしていますと、取材で世界中を飛び回っている感じですね。

そうですね。ちなみに最近個人的に最も印象に残ったのは、取材のための移動で乗った飛行機が2週間のうちに立て続けに2回も緊急着陸したこと。本当に怖い思いをしました。映画と全然関係ない話ですけど(笑)。

 

―それだけ移動で飛行機に乗る機会が多いということですよね。ちなみに移動にかかる費用などはどうされているのですか?

映画会社とハリウッド外国人記者協会が折半します。協会が各所属記者の活動費を出してくれているカタチですね。

 

―なるほど。そもそもハリウッド外国人記者協会とはどんな団体なのですか?

私が所属しているハリウッド外国人記者協会(The Hollywood Foreign Press Association)は、通称「HFPA」と言うのですが、その名の通りハリウッドで活動する外国人記者(外国メディアのために働いている記者であればアメリカ人でも所属できる)が集まった団体で、1940年代に誕生しました。

現在、一般的にはアカデミー賞の前哨戦となる「ゴールデングローブ賞」の選考を行う団体として認知されていて、映画会社や監督、俳優からも一目置かれるジャーナリスト集団となっています。私も入会して初めてわかりましたが、HFPAは他の一般の記者よりもかなり厚遇されていて、記者会見の時間も他の記者よりも長く設けてもらえますし、監督やキャストとの距離も近く、とても取材しやすい環境を作ってくれています。

 

―現在、日本人は何人いらっしゃるのですか?

私以外に2人います。HFPAの取材は年間200~300本程あり、基本的に全員が参加しているので、お互いしょっちゅう顔を合わせていますよ。

ちなみに、現在は映画よりもテレビドラマの取材がすごく増えています。アメリカではいまは年間500本以上のテレビドラマが作られていて、ほっといても視聴率が取れる人気作以外の作品の場合、ゴールデングローブ賞を取ることで箔をつけたいという制作者側の思惑もあるため、HFPAにおけるテレビドラマ取材の数はどんどん増えています。

 

―先ほどお話しいただいたトロント国際映画祭以外に、HFPA所属の記者として、毎年決まって参加される映画祭やイベントはありますか?

そうですね、まず挙げられるのが7月に開催される「サンディエゴ・コミコン」です。コミコンの正式名称はコミック・コンベンションと言い、漫画や映画、ドラマ、ゲームなどのエンターテインメントの熱心なファンが集うイベントです。サンディエゴで行われるコミコンは、その中でも世界最初で最大のものです。

コミコンが映画のプロモーションの場として注目を集めるようになったのは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズからで、それ以来、「X-MEN」シリーズや「アベンジャーズ」シリーズなどのアメコミ原作の映画、「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」といったSFやファンタジーなどのジャンル映画のプロモーションの場として、大きなポジションを占めるようになりました。

 

―なるほど。映画祭とは違った客層が集まるイベントなんですね。

ほかにも、1月に行われるインディペンデント作品を対象とする「サンダンス映画祭」にも毎年参加していますし、少し毛色は違いますが、4月に開催される「シネマコン」にも必ず参加します。

毎年ラスベガスで開催される「シネマコン」は、全米劇場所有者協会(NATO)が主催するコンベンションで、ここでは各映画会社によるラインアップ発表会が開かれています。このプレゼンテーションによって劇場公開館数が決まるので、映画会社にとって非常に重要な場所です。
まあ、これは映画祭とは違って、映画をビジネスとして扱う人々の集まりです。会場もラスベガスなので、なんとなくお金の匂いが強いイベントです(笑)。

 

ゴールデングローブ賞の選考と発表

 

―1年を通じてさまざまな映画祭やイベントに参加されている小西さんですが、やはり最大のイベントは「ゴールデングローブ賞」でしょうか。

そうですね。やはり個人的にも、HFPAとしても、最大の山場は「ゴールデングローブ賞」ということになりますね。HFPAの会員の投票によって選ばれますので。

いまの時期になると、12月初頭に締め切られるノミネート候補を絞り込む作業に入ります。これがなかなか大変で、分厚い選考リストを眺めては、あれこれと考える日々が続きます。ゴールデングローブ賞は映画部門とテレビ部門(ドラマ)の2つあって、各賞の数も多いのでノミネート作品を選ぶだけでもひと苦労なんです。

その後、12月の10日前後にノミネート作品が正式に決まると、いよいよ賞の発表会に向けての準備に入ります。

 

―発表会の準備までHFPAのメンバーがするのですか?

そうです。当日のテレビ放映に関する技術的なことなどは別ですが、チケットの印刷の手配から当日のプレゼンターの人選、受賞者の誘導、当日のお土産用のギフトバッグ選びまで、全部自分たちで運営しています。まさに手作り感満載で、まるで派手な学園祭みたいですよ(笑)。

 

―それは大変ですね。

ゴールデングローブ賞の発表会は、アカデミー賞のようなシアター形式ではなく、結婚披露宴のように丸テーブルを囲んでカジュアルな雰囲気でやるのですが、誰をどこに座らせるかなどの配置を考えるだけでも大変です。誰と誰は元カレ、元カノなのでNGだとか、あの2人はマネージャーが同じだから仲がいいだろうとか、そんなことまで気を回さないといけないんですよ(笑)。

 

―もうそろそろ準備に入る頃ですか?

そうですね、本格的な準備はクリスマスが終わってからですが、メンバーもだんだんと本番に向けてソワソワし始める頃ですね。

運営には希望者を募って20~30人のメンバーが関わっていますが、毎年本番が終わるとみんな緊張が解けてホッとしているようです。

 

―2019年のゴールデングローブ賞の発表が楽しみになりました!

貴重なお話、ありがとうございました。

 

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