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2018.7.20

人材のフュージョンが可能にした「アドフュージョンドラマ」、誕生!vol.1

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(左から) 電通 中尾 孝年氏   フジテレビ 明松 功氏  電通  伊藤 三朗氏


明松 功 (かがり いさお)
株式会社フジテレビジョン ローカル営業部企画担当部長

神戸大学工学部卒業後、1995年にフジテレビに入社。バラエティー制作部で「めちゃ×2イケてるッ!」など人気番組を担当。また、番組内の人気企画「ガリタ食堂」では大食いグルメキャラ“ガリタさん”として視聴者に親しまれる。2016年営業局へ異動。

 

中尾 孝年 (なかお たかとし)
株式会社電通 CDC クリエイティブ・ディレクター

1997年に電通入社。主な仕事は江崎グリコ(アイスの実「江口愛実」、ポッキー「デビルニノ」)、塩野義製薬(「もしもブラマヨの吉田がもっと早く皮フ科へ行っていたら…」)など。佐治敬三賞、ACC賞、カンヌ、スパイクスなど国内外で受賞多数。

 

伊藤 三朗 (いとう さぶろう)
株式会社電通 第16BP局 第1アカウントオフィス ディレクション1部 シニア・アカウント・マネージャー

2003年に電通入社。入社以来ずっとテレビ畑で、テレビ局のタイムやスポットを担当。2018年6月まではラジオテレビ局テレビビジネス3部に所属、2018年7月より現職。


今回は、2018年6月20日(水)にフジテレビで放送され、史上初の試みとして注目されたアドフュージョンドラマ『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』をピックアップ! 「アドフュージョン」とは、フジテレビと電通が共同開発した新しい広告の手法で、メインコンテンツと広告をフュージョン(融合)したもの。ここでは、その構想やトータルデザインに携わったフジテレビの明松さん、電通の中尾さん、伊藤さんの3人に登場いただき、前代未聞の取り組みがいかにして実現したかを語っていただきました。

 

20年ぶりの再会がきっかけに

 

―まず、アドフュージョンドラマ『名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~』の企画がどのようにして生まれたのか教えていただけますか?

明松:直接のきっかけは、僕が2016年に『めちゃイケ』の制作現場から営業部に移ってちょうど1年が経った2017年の夏に「何か新しいことができへんかなあ」と食事の席で中尾に相談したのが始まりですかね。

中尾:そうですね。明松さんとは、大学のアメフト部で先輩・後輩の関係で、2015年の夏に、『めちゃイケ』チームが作る27時間テレビの”番組CM”を僕が担当したときに、20年ぶりに再会したんでしたね。

明松:そうそう。そのときの中尾の仕事ぶりが、強く印象に残っていたんだよね。『めちゃイケ』の総監督・片岡飛鳥さんにも、物怖じせずにプレゼンする姿が印象的で(笑)。その2年後に一緒に会う機会があって、「実はこんなことを考えているんだけど」って相談したんだよね。

中尾:僕は、明松さんに憧れて「自分もクリエイティブな仕事がしたい」と、この業界に入った人間なので、『めちゃイケ』のときも、明松さんと一緒に仕事ができることが嬉しくて、死ぬほど頑張りました(笑)。それを評価してもらえたのは、すごくありがたかったですね。

―伊藤さんは、どういった経緯で今回の企画に参加されたのでしょうか?

伊藤:実は、僕も同じ大学のアメフト部出身で、お二人とも大先輩なんです。まあ、それはおいておくとして、僕は電通でもテレビ局を担当する部署に所属していて、しかもフジテレビ担当だったので、明松さんには以前から可愛がっていただいてました。今回の企画が生まれるきっかけとなった食事の場にも同席していて、「あの明松さんと、あの中尾さんが一緒になって、何か新しいことをやろうとしている!」と興奮しながら耳を傾けていました。

 

“番組とCMの新しい関係”を作りだす

 

―明松さんが考えていた「新しいこと」とはどんな企画だったのでしょうか?

明松:制作部から営業部に異動して以降、単に広告をセールスするだけじゃなくて、「営業が起点となった番組」が作れないかずっと模索していました。そこで、いろいろと企画書を書いてみたものの、自分としては自信作なんだけど、どうもスポンサーに刺さらない。なぜだろうって悩んでいたんですよ。そんなとき、中尾と再会して、「広告屋の視点からアドバイスしてくれへんか」と言って、企画書を見てもらったんです。

 

フジテレビ 明松氏

 

中尾:そうでしたね。それで、明松さんの企画書を読んでみて思ったのは、確かにどの企画書も、今すぐに番組にできそうなものでしたが、その面白さは、やはり制作サイドから見た面白さで、広告サイドからの視点が弱いと感じたんですよ、生意気にも(笑)。

明松:そうそう、「明松さん、言いづらいんですけど、これはちょっと違いますね」ってハッキリ言われたのを覚えているよ(笑)。

中尾:し、失礼しました!(笑) けど、僕だけじゃなくて、伊藤君も同じ意見やったよね。

 

電通 中尾氏

 

伊藤:いや、僕も明松さんの企画書を拝見しましたが、バラエティー番組としてはすごく面白くて、「こんな面白い番組ができるからCMを出しませんか」とスポンサーにセールスする分には問題ないと思いました。ただ、「営業発の番組」と言うからには、スポンサーにお金を出してもらって、一緒になって番組を作っていくことになりますよね。そこの視点が弱いという中尾さんの指摘には、「なるほど」と感じました。

中尾:やっぱり、できあがった番組を「面白がる理屈」と、番組制作に「お金を出す理屈」とでは、当然違ってきますからね。

明松:そうやって二人にボロクソ言われて、当時は「何だこいつら。何でこの面白さが分からんのや」って、ちょっと凹んだのよ(笑)。それで、そこまで言うなら「他に何か面白いアイデアはないか」となって、中尾から出てきたのが今回の「アドフュージョンドラマ」につながる発想だったんだよね。

 

「アドフュージョン」という新しい広告手法

 

―そもそも「アドフュージョン」という発想はどのようにして生まれたのですか。

中尾:最近のCMって、録画して見る人にはすぐに飛ばされるじゃないですか。じゃあ、本編部分と広告部分が渾然一体となって融合したコンテンツを作れば、広告だけ飛ばすこともできないし、両方とももっと面白がってくれるんじゃないかと、考えていたんです。

明松:それを聞いてすぐにピンときて、「俺もまったく同じようなことを考えとってん」って調子よく乗っかったんですよ(笑)。それで、以前から考えていたドラマのアイデアをガーってしゃべったよね。

―明松さんのドラマのアイデアはどんな内容だったのですか?

明松:2つあって、1つは「コンプライアンスを気にし過ぎドラマ」。例えば、犯罪ドラマの逃亡犯が急いでいるのに律儀にシートベルトをしたり、黄色信号だからと車を止めたらパトカーが追い抜いていったり…。コンプライアンスを気にするあまり、おかしな展開になるドラマ。もう1つは、「スポンサーを気にし過ぎドラマ」(笑)。

中尾:僕が考えていたアイデアも、スポンサーの都合で、どんどん話が変わっていくドラマで、まったく同じ発想だったんで驚きました。でも、スポンサーの都合でストーリーが展開するときに、話がつまらなくなったらスポンサーにとってはイメージダウンですよね。スポンサーと作り手がWIN×WINになるためには、話がどんどん面白くならないといけない。そんな話をしているなかで、「これはイケるぞ!」となって、今回のアドフュージョンドラマの企画が本格的に動き出したんです。

―新しいアイデアで盛り上がる二人を見て、伊藤さんはどう感じていましたか?

伊藤:明松さんが制作部から営業部に異動されてから、さまざまな企画を仕掛けてはいるものの、なかなか実現しないというのは僕も知っていました。何しろ大先輩ですから、少しでも力になりたいと思っていたので、中尾さんとの対話で突破口が開けたようで嬉しかったですし、いったん方向が見えてくると、すぐに次から次へとアイデアが湧き出てくる二人を見て「スゴイな」と。一生懸命についていけば、僕にとっても面白い仕事ができそうだと、正直ワクワクしていましたね。

電通 伊藤氏

 

「アドフュージョンドラマ」の方向性

 

―どんなドラマにするかはすぐに決まったのでしょうか。

明松:番組としてはバラエティーじゃなくてドラマがいいというのは、すぐに決まりました。というのも、出演者の力量に委ねながら作るバラエティーよりも、ドラマの方がメッセージを込めやすいから。脚本をグリップすれば、全体をコントロールしやすいし。

中尾:そうでしたね。僕は、ドラマが難しければバラエティーでもいいかもと思っていましたが、番組作りのプロ中のプロの明松さんに、「自由度が高いバラエティーよりも、制約の多いドラマの中に入れていったほうが面白いんじゃない」って言われて、「確かに!」と思いました。

明松:バラエティーで面白くしようと思ったら、出演者を面白くしないと駄目で、そうするとついついスポンサーを蔑ろにする方向になっちゃう。それだとアドフュージョンにならないんで、やっぱりドラマがいいんじゃないかと。そして、広告が入ってきて面白いドラマとはって考えていくと、緩急がつけやすいサスペンスや刑事ドラマなんかがいいんじゃないかというところまで、トントン拍子に決まった。

伊藤:確かに、ドラマという方向性を決めるまでは順調でしたが、そこからが大変でしたよね(笑)。

(vol.2)に続く

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