太田上田を「Chuun」で全エピソード&未公開シーン配信中!「配信で地元ならではの情報をデリバリーする」中京テレビ 林 義人さん vol.3

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太田上田を「Chuun」で全エピソード&未公開シーン配信中!「配信で地元ならではの情報をデリバリーする」中京テレビ 林 義人さん vol.3

中京テレビ 編成局インターネット事業部 林 義人氏

前回の記事はこちら (vol.2)


開発時に特に留意されたことやローンチするまでにご苦労された点、工夫された点などを教えてください。

権利処理関係ですね。見逃し配信の場合、過去の番組を配信したくても当時は配信前提で制作していませんから、プロデューサーから事務所に許可を取ったり、配信NGの楽曲は制作で使わないようにお願いしたりとか、要するに配信するための前提知識として新しく頭に入れておかないといけないことがたくさんあったので、それを社内に理解してもらうのも大変でした。

制作に対しても、何度も説明を繰り返していく中で、次第に出演交渉のときは事務所に対して事前にご説明し、ご理解いただいて、事後交渉の必要がないようになっていきました。今思えば、時間がない中で開発も遅れ気味で、サービス名も決めないといけないし、精神的にも肉体的にも相当きつくて、もう一度、同じことをやれと言われても、絶対に嫌です(笑)


『太田上田』 毎週火曜日深夜0:29 から放送されている爆笑問題の太田光とくりぃむしちゅーの上田晋也によるトークバラエティ。『Chuun』にて全エピソード&未公開シーンを配信中


Twitter のタイムラインを見ながら視聴できる中京テレビのネット配信

動画配信系のプラットフォームが数多くある中で『Chuun』の独自性とはどんなところにあるのでしょうか?

中京テレビの総合プラットフォームづくりをする上で心掛けたのは、コミュニケーションが取りやすいプラットフォームにすることです。Twitterを見ながら、あるいは自分でツイートしながら動画を観るというスタイルにこだわりたいなと考えていました。横の全画面表示で配信している先行事例が多く、だいぶ葛藤はありました。当時の副社長にも、〝トレンドは横画面ですが迷っています〟と相談したら〝お前が縦でやりたいなら縦でやってみればいいじゃないか〟と言われて。

日本テレビはトレンドのやり方でやって、中京テレビは僕がやってみたいやり方でやってみて、その知見を系列同士で持ち寄って、次のやり方に変えていけばいいんじゃないかと。その言葉が背中を押してくれました。

動画配信サービスがスタートして1年以上経ちますが、手ごたえや反響はいかがでしょうか?

まず、作り手の人たちには配信を前提に制作をする意識が根付きましたし、そのためのスキルが格段に上がってきています。放送と配信を通じていかに表現するかを楽しんでくれるクリエーターが出てきてくれているのがすごく嬉しいですね。

反応のところでは、再生数だけでなく『いいね』が付けられるようにしてありますから、一つ一つのコンテンツへの反応がすぐに分かります。例えば、ボイメン(名古屋発祥のエンターテインメント集団)の番組『PPBM(ピーピービーエム)』をオリジナル動画も付けてインターネット配信することで、これまで地上波では地元エリアでしか観られなかった番組が、全国のファンが観られるようになってファン同士がソーシャル視聴しながら交流している。それが『いいね』の数を見ていたりTwitterのタイムラインを見ているとすごくよく分かるんです。

次に業界内からの反応ですが、世の中に配信サービスが浸透してきたせいか、問い合わせは多くなっています。僕は基本的に、包み隠さず話すことにしているんです。今はローカル局が生き残る道を必死に模索している最中で、その中には良いことも悪いこともあるし、もちろん失敗もある。それらはみんなで共有していくべきだと思っているんです。なので、系列局に限らず情報はできる限りオープンにするようにしています。『儲かりませんよ!』って言ってますけど(笑)。

地元エリアの役に立つプラットフォーム作りをしていきたい

制作の効率化はまだまだこれからです。今までは知見を貯めるために何でもやってみようという感じでしたが、そろそろ方向性を収れんさせていく必要があるとは感じています。元々、テレビ離れが進む若者向けにやっていくサービスであり、若者のスマホの接触時間はどんどん増えています。

どんなデバイスでも、HuluやAmazon、Netflix、YouTubeとか、ゲームもあるし、いろいろな選択肢があり、いつでもどこでもコンテンツに触れられる時代になってきている。これからはテレビ局側が、人の行動に合わせてコンテンツや情報をデリバリーするという考え方に切り替えていく必要があるのかなと。その時の理想は、我々も大変苦労していますが、すべての場面でマネタイズしていくことですね。

現在、『Chuun』にかかわっておられるメンバーは何人くらいなのでしょうか?


(vol.4)に続く


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