HOME テレビ 「これからのニュースは、時間の枠を超えて新たな空間を作り届ける役割を担う」フジテレビ 清水俊宏さん vol.1
2018.5.2

「これからのニュースは、時間の枠を超えて新たな空間を作り届ける役割を担う」フジテレビ 清水俊宏さん vol.1

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 フジテレビ ニュースコンテンツ プロジェクトリーダー 清水 俊宏氏 


入社以来、報道畑を歩み、現在は『ホウドウキョク』などニュースメディア戦略の構築を手がける清水俊宏氏。テレビと報道のこれからについて話を伺った。

 

—清水さんの経歴をお聞かせいただけますか?

入社後は報道に配属され、内勤記者という業務からスタートしました。内勤記者というのは、バラエティ番組でいうADに近い立場なのですが、一番の違いは〝記者〟だという点です。普通の記者はそれぞれ担当する分野やエリアを持っているため、担当がいないエリアで災害や事故が起きた時にすぐ現場に駆けつけられないこともあります。

そういった時に内勤記者が電話取材をしたり、いち早く現場入りして聞き取り取材などをします。そのような業務をこなしながら先輩記者のやり方を見て勉強して、一人前の記者になっていきます。とはいえ、ADのようにデスクの弁当を取るような仕事もあります。そういった内勤記者の仕事を2年間やりました。

—清水さんは入社以来ずっと報道畑ですよね。

そうなんですが、実は僕、入社当初はダメ社員で(笑)。先輩のニュース原稿を勝手に直してしまったり、とにかく取材に行きたくて体裁の整っていない企画書をデスクに出したりなんかもして……。当時はやる気が空回りしていたのかもしれません(苦笑)。

3年目からは政治部に配属され、当時の小泉(純一郎)総理の担当になりました。小泉さんの横に朝から晩までついている、いわゆる番記者ですね。政治の知識はほぼゼロだったのですが、必死でついていきました。当時の官邸クラブのキャップの下で学べたのが本当に恵まれていたと思っています。

というのも、当時小泉さんは1日2回、昼と夕方に会見をしていたのですが、もちろんそれが毎日原稿になることはありません。それでもキャップは『お前は、小泉純一郎についてはフジテレビの中で誰よりも詳しくなれ』と指針を示してくれたんです。加えて、『小泉さんが言ったことを毎日原稿に書け。

放送されてもされなくても原稿を書いて、ここがニュースだと思ったポイントを俺にメールで送ってこい』とも。そういう先輩から言われたことは、僕は意外と(笑)真面目に聞くタイプなので、一日もサボらずに原稿を書いて送っていたんです。

—ここがニュースだ!というポイントはどうやって見つけるのでしょうか。

例えば小泉さんが靖国神社に参拝するかどうかの会見の場合、記者が『靖国神社参拝はどうしますか?』と聞くと、いつも『適切に判断します』と返ってくる。普通の記者の原稿は【小泉総理は靖国神社参拝について、適切に判断しますと述べました】と書く。これは正しい原稿ですよね。でも、そのキャップは言うんです。

『この原稿はお前じゃなくても書ける。正しい政治部の記者は、発言のニュアンスや周囲への取材情報から【小泉総理は靖国神社参拝について、適切に判断しますと述べ、慎重な姿勢を見せました】って書くんだ、と。その2カ月後くらいに小泉さんに同じことを聞いたら、また『適切に判断します』と答えたんです。

でも、その時は【小泉総理は靖国神社参拝について、適切に判断しますと述べ、参拝に前向きな姿勢を示しました】と書きました。そうすると伝わり方が全然違いますよね。【適切に判断しますと述べた】は誰でも書ける。でも、そのあとの一行を書けるかどうか、それが記者かどうかの差だと言われ続けました。

確かに毎日小泉さんにインタビューをしていると、同じ『適切に判断します』でもニュアンスが違うし、秘書官や周辺の取材をして、警備体制とかを見る中でも『これは行くんだな』ということが分かってくる。そういうことが積み重なって、記者の仕事とはどういうものなのかというのが分かってきたんです。

 

24時間という時間枠が枷になり伝えられないというジレンマ

当時は、郵政民営化がすごく注目されていた時代でもありました。僕も来る日も来る日も取材をしましたが、原稿は連日、郵政民営化に反対していた綿貫さんと亀井さんが自民党を出ていくかどうかということばかり。二人の離党というのは、法案が成立するかどうかに関わっていたので、しょうがない面はあるのですが、視聴者からは『郵政民営化をしたら、結局、私たちの暮らしは良くなるの?悪くなるの?分からないことがあるのに、テレビはそれを教えてくれない』という声を聞くようになってきたんです。

実際には、テレビで全くやっていないかというと、そんなことはなくて、お昼のニュースなどでは放送していたのです。ただ、そのタイミングでニュースを見ていなかった人にとっては、やっていないのと一緒なんですよね。これは、すごく不幸なことだと感じました。僕らには伝えられるものがたくさんあるのに、テレビには時間枠があるために伝え切れない。

視聴者としては知りたい情報があるのに、一度見逃したらもう知ることができない。テレビ自体は、ものすごく面白いプラットフォームなのに、時間枠だけのためにこの視聴者ニーズを満たせない。ここをなんとかしたいというのが報道記者時代の原体験として、今も自分の中に強くあります。

—その後、『新報道2001』のディレクターを担当、2011年3月からは『スーパーニュース』の演出、『ニュースJAPAN』のプロデューサーを歴任されますが、今のようなデジタルメディアに関わるきっかけは何だったのでしょうか?(vol.2に続く

 

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