ローカル探訪 富山一の長寿番組「ハッピータイム」の「チューリップテレビ」

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ローカル探訪 富山一の長寿番組「ハッピータイム」の「チューリップテレビ」

1990年に開局したチューリップテレビ。社名は県花であるチューリップから。開局時から毎日放送している『ハッピータイム』は阪神大震災と東日本大震災の2度の震災以外で休んだ日はない。(平日18:53~19:00 土曜17:23~17:30 日曜17:53~18:00)

※本記事は2015年3月発売のSynapse vol.5「ドラマ」に掲載されたものです



昨年、G帯で万年最下位から脱却。今後の野望を語る、語る!

編成技術局

新田 巌さん

薬会社勤務を経て、開局と共にチューリップテレビに入社。14年4月から現職。富山県民放3局目として開局して以来、視聴率万年最下位だったが、14年はゴールデンタイムで初の民放2位を獲得。自他ともに認めるチューリップのMr.やんちゃ。



今回、シナプス編集部がお邪魔したのは、ちょっとやんちゃな放送局を目指すチューリップテレビ。まずは"Mr.やんちゃ"こと、編成・新田巌さんに話を伺 った。

「実は10年ほど前にも編成やって、今回が2度目の編成。10年前は全日帯が他局の半分くらいでした。どこが悪いって、ノンプライムがもう酷くて(苦笑)。朝も昼も3%くらい。分析する価値もないほど低い。それでも当時、3年間でノンプライムを6?9%くらいまでは上げたんですよ。まあ、また編成やるとは思いませんでしたが(笑)」


視聴率を上げる秘訣は?

「私は、常識にとらわれない大胆な編成を心がけています。例えば、『リンカーン』の数字が悪かったので、朝の『はなまるマーケット』の直後の枠で再放送してみたり。『新田さん、朝からリンカーンですか?』とか言われながらね(笑)。でも、とにかくどんどん試していこうと。万年最下位なんだから恐れるものなんてありませんよ」

富山では後発局ゆえの自由度を生かし、やんちゃなトライをすることをチューリップテレビのカラーにしていくという。

「私の考え方は、数字が獲れるかどうかよりも勝ったか負けたか。その方が分かりやすいでしょ? よく、TBSが悪いからウチも悪いっていう話を聞くのですが、でもそれは言い訳で、東京と富山は違う。

ウチが悪いのはやっぱりウチが悪いんですよ。例えば『ブレバト!!』なんて他地区で苦戦してるなかでウチは15%を超えてきます。ネット番組の数字が上げられないって、言い訳なんですよね。編成経験2回目の今回はそういうG帯のネット番組を上げるところにこだわっていきたいと考えています」

実際に去年、結果が出た。

「去年は、全日は捨ててゴールデンだけを獲りにいこうと。ウチみたいな万年最下位の局が、全番組の数字を獲りにいく必要なんかないんですよ。だからゴールデン以外を"捨て球"に使って、G帯を上げていく一点突破。普通の編成の考え方とはちょっと違うのかもしれませんが、私はそうやって勝負事をしているのが、単純に楽しいんですよね。

勝負じゃなかったら、ワクワクしない"ただのお仕事"になってしまう。極論すれば、負けたっていいから、ワクワク感は失わないように、やんちゃに仕事していきたいです」



25年間毎日、富山でもっとも長く続いているローカル制作番組。

これまでにお祝いされた人数はなんとのべ50万人超!

今回の番組『ハッピータイム』


元々は夕方のニュース番組の一部のコーナーから始まった。「ニュース番組って事件などの暗い話が多いじゃないですか。でも、最後は楽しい気分で終えたいね、という思いから始まりました」(編成・新田さん)

誕生日を迎える県民へのお祝いメッセージをアナウンサーが読み上げていく『ハッピータイム』。開局以来、お祝いメッセージを受けた人数、のべ50万人超。富山県の人口約110万人を考えると驚異的だ。

「お誕生日には家族そろってこの番組を見るのが富山の習慣になっていると思います。25年続いている長寿番組なので、昔、親に祝ってもらった子供が、今度は自分が親になって、自身の子供向けにお祝いメッセージの応募をしてきたりと様々なドラマがあるんですよ!」(新田さん)。7分という短い放送時間だからといって収録はまとめたりせず毎日行う。誕生日ギリギリまで応募を受け付けるためだ。

「ナレーションは、お昼のニュースを担当したアナウンサーが、放送終了後に別スタジオへ移動して収録しています。一人ひとりに寄せられるメッセージの分量も結構多いので、どこで切るかも含めた調整も必要。大変ですねと言われますが、でも慣れですね(笑)」(日比アナウンサー)




悲願の北陸新幹線、ついに開業!

報道制作局の中村Pに迫る!


「日本一いいとこやちゃ」を合言葉に。

報道制作局 プロデューサー

中村成寿さん

1990年4月、開局組新卒一期生として入社。東京営業、報道記者、編成などを経て、現在は報道制作局プロデューサー。ニュースおよび報道番組担当。




「富山の現状についてもっと教えて?!」。『ニュース6』の放送終了後、中村Pと居酒屋「静月」に同行。報道制作局で考えてること、色々聞いてきました!

「まずはとにかく、3月14日の北陸新幹線開業の特番だね! このSynapseが発行される直前にオンエアされるんだけど、3月14日当日は、富山出身の女優、柴田理恵さんと共に生中継しつつ、今までの歴史をドラマ仕立てで伝えるエンタテインメント番組や活気づく街を伝える情報番組も盛り込んでいくべく鋭意準備中なんだよ」

チューリップさんも富山県も盛り上がりそうですね!

「一方で、富山の人口減にますます拍車がかかるのではないかという恐れもあるんだ。富山は北陸を代表するものづくり県だけど、都市間競争の時代に、それだけでは生き残れない。謙虚な富山人はよく『富山には何もないちゃ』と言うけど、謙遜している場合じゃない。むしろ、一歩前に出て、『日本一いいとこやちゃ』と堂々と発信して、来訪者に富山に住みたいと思わせてもらいたい。そして新幹線時代を乗り切る。その目的意識を常にスタッフと共有しながら、『ニュース6』を中心に様々な番組で、富山の良さを問いかけ続けていくつもりだよ!」


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