HOME テレビ 調査人 「朝ドラ」は放送時間変更が成功!今のドラマはコンテンツやフォーマット的に時代を反映できているのか? Synapse編集部
2017.11.7

調査人 「朝ドラ」は放送時間変更が成功!今のドラマはコンテンツやフォーマット的に時代を反映できているのか? Synapse編集部

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世の中の気になる事象をデータから考察してみる。

 

ドラマはいつの時代にあっても「最強コンテンツ」と言われてきた。一大ムーブメントを起こすこともあれば、時にたたかれることもある。良くも悪くも視聴者の興味・関心の強いコンテンツであることは間違いない。

 

そしてドラマは長らく「時代を映し出す」とも言われてきたが、今のドラマはどうだろうか。時代を反映できているのだろうか。今の時代・生活者に向き合った時、ドラマには何が必要なのだろうか。今回のインタビューで得られた「匠」たちの知恵を借りながら、探っていく。

※本記事は2015年3月に発売したSynapseに掲載されたものです。

 

今の時代に合ったドラマの内容とは?

ここに25年前と今の日本人の意識の差を示す調査結果がある(DATA01)。25年前と比べると「努力しても報われない」と感じる人が全世代で増えている。また特に若者に顕著に表れているのがDATA02で、20年前と比べて「わずらわしいことは避けて平穏無事に暮らしたい」という意識が大幅に上昇した。

 

日本ではこの10年の間にリーマンショックがあり、東日本大震災が起きた。多くの人が喪失を経験し、そこから徐々に回復しつつあるのが今である。「安心・安定」の大切さをより感じると共に、消えるときは一瞬で消えるはかなさ、ひいては努力しても無駄という無力感・閉塞感が漂っている時代といえよう。山田良明氏は「今は格差が広がり、若い人たちがどう生きていくかを迷ってる時代です。ドラマが生き方を提示できるのは、むしろ今の方なんじゃないか」と語っている。

 

2011年に大ヒットした『家政婦のミタ』(最終回の視聴率40・0%)。ドラマ制作の契機には同年に起きた震災が影響しているそうだ。ドラマでは母を失った阿須田家、家族を失ったミタが互いに助け合いながら立ち直っていく姿、家族の絆を取り戻していく姿が丁寧に描かれており、当時の世相を反映したドラマとして多くの人に受け入れられたのだろう。

 

『半沢直樹』(最終回の視聴率42・2%)では、「上の言うことは絶対。言ってもどうせ変わらない。」と組織に漂う閉塞感を、「おかしいと思ったら相手が誰であれ戦う」と半沢直樹が打ち破る。両番組に共通するのはその時代の人が抱える悩みや課題を映し出し、それを主人公が払拭するという爽快感を併せ持っている点である。これらの番組によって、現代にあっても時代を捉えるドラマは視聴者に受け入れられることは証明された。

 

ただし、その「時代を捉える」こと自体が以前より非常に難しくなってきているのは確かだ。現在は、モノ・情報があふれ、草食系という言葉が一般化するほど恋愛も大きなテーマになりにくく、また、いろんなモノをシェアしながら生きていける時代だ。日本社会が、過去にないほどの繁栄を極め、根源的なテーマがないようにも思える。どうやって今の時代・生活者の実態を捉えればいいのだろうか。

 

岡田惠和氏は、SNSの出現により「生の声を聞いていろんなことが分かるようになった。ノーマークのところがウケているとか、こういうのが意外と許せないのか、とか。反応を瞬時に分かるようになったことはつくり手にとってプラス」と生活者の声を容易に聞けるようになった時代の利点を語った。時代を捉えにくくなった今だからこそ、生活者の生の声の重要性がより高まったといえよう。

 

今の時代に合うドラマのフォーマットとは?

 

2010年「朝ドラ」は放送時間を15分早めて8時からのスタートに切り替えた。生活者の行動時間の変化を受けての変更である。ここ数年の朝ドラブームは内容面の充実ももちろんあるが、開始時間の変更も大きな要因であろう。また毎日15分、BSも含めて1日に何回も放送し、今の生活者が接触しやすいよう、工夫されている。また、テレビ東京は深夜に「ドラマ24」という、通常のドラマより尺の短い枠を作り、数々の印象的な作品を生み出した。

 

テレビ東京の岡部氏は「視聴者がドラマから離れていく理由が『見て疲れる』『体力がいる』ということなら、とりあえずは『見やすさ』を徹底的にケアしてもいいかな」と語る。

 

岡田氏は今の視聴者からは「次回を心待ちしているようなムードが感じられない」という。生活者の変化と共に、ドラマの枠や尺にもっと多様性が求められているのだろう。もちろんフォーマットを変更するのはたやすいことではない。だが、生活者がドラマにハマるために10~12回は適当なのか? 1回1時間は長すぎないのか? 今、改めて検証が必要な時期に来ているのかもしれない。

 

この4月から日本テレビで日曜22時30分に「ちょっと大人のエンターテインメント」としてドラマ枠が新設される。既存の概念にとらわれない試みが今後さらに求められるであろう。

 

 

生活者の声を生かすために。

これからのドラマ作りにおいて生活者からの情報をもっと生かすことはできないだろうか。現状のドラマは、初回の視聴率が出る頃には、3~4話目の撮影に入っており、初回の結果を受けて残りの放送回の内容を変えていくのは難しい。例えば放送回数を多くし、視聴者からフィードバックを得る仕組みを構築できないだろうか。初回放送分の完パケモノをもっと早いタイミングでつくり、オンエア前に視聴者の意見を聞く仕組みをつくれないだろうか。

 

一定水準の共感ポイントをつくり出し、さらにその先、視聴者がその物語をどのように楽しんでいきたいのか? について、より深い意見を聞けるような仕組みがあればドラマはさらに成熟していくのではないだろうか。ドラマが誕生する初期にプロデューサーと演出家、脚本家らで雑談などしながら生まれてくる面白いネタの良さを殺さずに、更にその面白さを多くの視聴者に共感してもらい、増幅してもらうような視聴者フィードバックのサイクルが出来たら、今後のドラマも「時代を映し出す」コンテンツとしてより発展していくだろう。

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