ローカル探訪「石川さん情報live リフレッシュ」の「石川テレビ放送」

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ローカル探訪「石川さん情報live リフレッシュ」の「石川テレビ放送」

※本記事は2014年9月発売のSynapseに掲載されたものです。



1969年に石川県内の民放で2番目に開局した石川テレビ放送。局のマスコットキャラである「石川さん」を冠に持つ、「石川さん情報Live リフレッシュ」は、〝午後から使える情報を満載〞をテーマに、2008年から放送されている情報番組だ(月曜日〜木曜日9:55〜10:50、金曜日9:55〜11:20)。


石川テレビ放送が毎週月曜日〜金曜日の午前中に生放送している人気番組が「石川さん情報Liveリフレッシュ」だ。実はフジテレビの系列局では、同時間帯に「ノンストップ!」やドラマの再放送を流す局が多いなか、石川テレビ放送は自社制作のローカルワイド番組を放映している。それだけ同局が力を入れる看板番組なのだ。

ちなみに番組タイトルにある「石川さん」とは、みうらじゅんの著作でも〝ゆるキャラ〞として紹介された、石川テレビ放送のマスコットキャラ。地元では知らない人がいないほどの認知度で、3年前には「石川さんかふぇ」もオープン。この石川さんや石川さんカフェを番組と連動させることで、立体的に局のPR戦略が行われているのだ。

番組は日替わりで出演者やコーナーがかわり、生放送のメリットを生かして、じっくりと地元の良さをアピールしているのが特徴。たとえば、「街かどライブラリー」では、地元の新店や話題のイベントなどをリポートして、放送中にクイズを行う。県内の旬の食材を探す「じわもん」では、ご当地ならではのおいしい野菜や魚介などの地ものを紹介。

視聴者が電話で県内のお店にいるリポーターに買い物を指示する「電話で買いまshow」は、ライブ感たっぷり。出演者のトークやかけ合い、アドリブが多く、視聴者に〝親しみやすさ〞を感じさせる。MCのふたりに話を聞いてみた。「実はメンバー同士がありえないほど仲がいいんですよ。

いつも雑談ばかりしていて、みんなでやっているLINEを見せたいくらい(笑)。その仲のいい感じが視聴者のみなさんに受け入れられているのかもしれないですね」と、MCの越村江莉さん。 メインMCの稲垣真一さんはこう話す。「毎日、出演者が代わるから新鮮味があるのかも。僕はみなさん一人ひとりの持ち味が出るように心掛けています。

ただ、隣の方(越村さん)が突飛な発言ばかりするので、僕は猛獣使いのようなものですよ(笑)」 チームワークの良さが人気の秘密のひとつといえそう。「今後の目標は、『笑っていいとも!』が32年間続いたように、『リフレッシュ』もみなさんに末永く愛される番組にしていきたいです。番組と一緒にいい感じに、僕たちにもシワがついてくるといいですね(笑)」(稲垣さん)


「編集せずにゆったり流す」。リアリティの追求が人気の秘密


「石川さん情報Live リフレッシュ」プロデューサー

竹内 章さん


ある収録日の夜に「石川さん情報Live リフレッシュ」プロデューサーの竹内さんから飲みのお誘いが。アザース! 竹内さんはアナウンサーですよね?「そうだよ。アナウンサーをしているうちに『なんでこう編集するんだ?』って、つくる方にも興味をもってね。30歳を過ぎてから、編集やディレクター業務をやるようになったんだ」

アナウンサーの目線が番組づくりに生かされていることは?「しゃべり手自身が楽しむこと。MCがね、初見で素直な感想を本番で話したいから、VTRを事前に見たくないって言うんだよ。本当は事前に見てほしいんだけど(苦笑)。ただ、MCは常に新鮮な気持ちで話す方が楽しめるし、それが視聴者にも伝わるんだよね」

なるほど! 他にも気を遣ってることはありますか?「〝ゆったり〞見せること。しゃべりもゆったりでVTRも長く見せる。編集的には間延びするからカットしたくなるんだけど、そこを編集せずに我慢!(笑)。つくり込まず、できるだけ自然なかたちでそのまま見せるんだよ。たとえば、お店の情報なら編集してカタログ的に見せるんじゃなくて、ゆったり流してお店の方の人間味とかを見せる。そりゃ生だから変な部分も出てくるけど、それが面白いじゃない」


石川さんグッズはすべて私たちがつくってます!


執行役員・編成業務局長

須田善文さん

1979年入社。放送部に5年、報道部に21年所属した後に制作部などを経て、

現在の編成業務局に。その傍ら、石川さんグッズの商品開発や関連イベントなどを積極的に手掛ける。




社長の肝入りで「石川さんかふぇ」を立ち上げ、多角的なイメージ戦略に力を注ぐ石川テレビ放送。現在、グッズは140点以上あるが、驚くことに企画から生産管理まで、すべて社内編成部権利開発課で行っているのだという。「たとえば、石川さんのメモなら、大きさや種類、ロットや仕入れ価格の決定まで、一から全部自分たちで行っています。

先日は石川さんの珠洲の塩を販売するために、片道2時間以上かけて奥能登の塩田に行って製法の勉強と仕入値の交渉をしてきました(笑)」 グッズの制作は放送事業とはまったく違う慣れない仕事だが、多角的に石川さんをプッシュすることで、視聴者との距離を縮めたいと須田さんは言う。

「電波とは国民の共有の財産、つまり〝公共財〞です。借りているのだからお返ししないといけない。そのために我々ができることは〝地域にどれだけ近づけるか〞。自社制作の番組も、石川さんグッズやカフェも、『ありがとう』の感謝のかたちなんです」


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