HOME メディア 【ラジオレコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】全方位型で何事にもチャレンジ!~OBS大分放送『モーニング・エナジー』村津孝仁アナウンサー他
2021.12.28

【ラジオレコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】全方位型で何事にもチャレンジ!~OBS大分放送『モーニング・エナジー』村津孝仁アナウンサー他

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ラジオ レコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO  第48回

やきそばかおる

ラジオコラムニスト、ライター。山口県出身。小学生の頃からラジオっ子で、ハガキやメールをよく送っていた元“ハガキ職人“。「radiko.jp」をはじめ、雑誌、Web、新聞などでラジオに関するインタビューやコラムを多数執筆。MBSラジオ『福島のぶひろの、金曜でいいんじゃない?』の「やきそばかおるのラジオ旅。上機嫌!」のコーナーに出演中。『別冊TV Bros.全国ラジオ特集』(東京ニュース通信社)、『人気ラジオ番組完全ガイド』(晋遊舎)等関わっている。


 

平日(月曜〜木曜)の朝、OBS大分放送、村津孝仁アナウンサーのツイッターのアカウントに、空に向かって颯爽と立つ村津さんの写真がアップされます。

 

見ていると元気が出てくる写真です。こちらは村津さんが担当している『モーニング・エナジー』(月曜〜金曜 6時55分〜10時 ※村津さんは月曜から木曜を担当)が始まる(始まった)合図でもあります。

村津さんは2020年度のナイターオフの期間に放送された『9ヂカラちゃんとしナイト☆』の木曜パーソナリティーを担当しました。一緒にパーソナリティーを務めたのは現役の大学生。校長と生徒の放課後の会話さながらにトークを展開しつつ、そのコミカルなキャラクターがウケて、SNSでも話題になりました。

 

ニュース、ワイド番組、クラシック音楽番組、トークバラエティーなど、真面目な番組からバラエティー番組まで多面性をもつ村津さんの人となりに迫りました。


 

◯「なんでも美味しい食堂の親父」になりたくて

やきそば 村津さんの多面性は面白いですね。それが以前から気になっていて、是非お話を伺いたいと思っていました。

村津アナ 地方局のアナウンサーということもあり、なんでもできることが求められます。ニュースキャスターもスポーツ実況もラジオのワイド番組もできる人が重宝されますし、僕も「苦手な分野がある」と思われたくありません。いわば、「なんでも美味しい食堂の親父」になりたいんです。

昔はひとつの分野に長けた職人気質の人が多くて、得意なものをひとつ持っておくように言われていました。一方、僕は自分で言うのも変ですが“器用貧乏”でした。どんな仕事をしても一定の評価はしてもらえましたが、言い換えれば全てが中途半端だったから、ある先輩から「器用貧乏はアナウンサーとしては生き残れない。このままだと5年で潰れる」って言われました。

その言葉に反発心が湧いて「なんでもできるようになってやる」と思いまして、今でもその時の延長線上にいます。

 

やきそば なかなかキツい一言ですね。

村津アナ 今思えば激励のつもりで仰ってくれたんだと思うんですけど、当時は僕も若かったので「この人よりなんでも上手くなってやる!」という思いが込み上げました。

 

やきそば 今は通常の業務のほかに、SNSで写真や動画も発信して、人を楽しませるにはどうしたらいいか、ずっと考え続けないといけない世の中になっていますよね。

村津アナ もちろんアナウンサーとして正しい日本語を使うことや、話し方に気を付けるのはもちろんですが「アナウンサーだからこれはやらない」という考えは良くないのではないかと思っています。

ローカルの放送局だからこそ、なんでも挑戦できる楽しさもありますし、地元の皆さんに向けて面白い話題を提供していけたらと思っています。

 

OBS大分放送では、YouTubeの公式チャンネルやTikTok、ツイッターをはじめとするSNSでも発信をしています。2021年2月には大分市議会議員選挙の開票速報をYouTubeで生配信しました。

 

やきそば YouTubeでのライブ配信はまさに第3のメディアだと思います。テレビやラジオ以外で放送局ができることはたくさんありますよね。

村津アナ 開票速報を配信した時は、お茶の間との距離感の近さを感じました。私たちも可能性を感じていて、常に何かできないか探しています!

 

さらに2021年10月には、OBSラジオの公式アカウント+アナウンサー個人のアカウントのフォロワー数を1万人にすることを目標とした新番組『10000 Buzz Machine』(金曜 21時〜21時30分)がスタートしました。番組では村津さんと同局のアナウンサーが出演。さまざまな話を通して「バズるにはどうすれば良いか」を考えていきます。

お笑いトリオ、森三中のメンバーで大のラジオファンの黒沢かずこさんが『10000 Buzz Machine』のことを知り、「中年がひとりで頑張っているけど誰もついてきていない」と面白おかしく紹介したこともありました。

 

村津アナ 黒沢さんにそう言っていただいたのは逆に嬉しかったですね(笑)。ただ、この番組をきっかけにして、ラジオにあまり出演する機会がないアナウンサーにも出てもらおうと思っています。テレビでは真面目そうにニュースを読んでるけど、意外と天然ボケな部分がある、といったギャップを引き出したいです。夜9時の時間帯は、特にラジオが好きな方が聴いてくださっているので楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

やきそば 今は、繋がりたい人とすぐに繋がれるかどうか、思い立ったことをその場ですぐにできるかどうか、ということが面白さを左右しますよね。

村津アナ 僕も『10000 Buzz Machine』では思いついたことをすぐに試すように心掛けています。

 

やきそば 今は写真も動画も消せて、すぐにやり直せるのが良いですよね。若い人はトライアル&エラーの感覚を持っています。特に20代の人は、生まれた頃から撮影されることに慣れているので、自分がどのように写るのがいいかも分かっていますよね。

村津アナ 分かってるから羨ましいです。なぜそんなにいつでも撮影ボタンを押せるんでしょうね。僕だったら、一度気持ちを整えてからでないと撮れませんが、今の若い子はすぐに撮ります(笑)。

音声でいうと、僕はラジオの取材でデンスケ(取材用可搬型テープレコーダー)を使った最後の世代だと思うんです。オープンリールのテープに録音して編集していた時代です。あの頃の時間のかかり方に比べたら、今のデスクトップ編集は神のような存在ですね(笑)。

 

 

 

◯制作志望からアナウンサーとして入社

そんな後輩思いの村津さん。実は音楽一家に生まれ育ち、3歳の頃からヴァイオリンを習っていました。クラシックが大好きで現在も『だいぎんサタデイコンサート』(土曜 9時15分〜9時30分)、『村津孝仁のオルケスタラジオ』(木曜 21時〜21時30分)を担当しています。

 

やきそば まさか“音楽一家”だとは初耳です。

村津アナ 父と母は音楽の学校を出ています。祖母はオペラ歌手を目指していました。そういういきさつもありまして、3歳の時にヴァイオリンを始めて、ずっとクラシックを聴いていました。中学生の頃まではピアノも習っていました。才能がなかったので、好きなもののひとつに収まっていますが、音楽が好きなことがラジオに生かせるので嬉しいです。

 

やきそば さらに34歳からチェロを習い始めたそうですね。

村津アナ アンサンブルのグループにも入りまして、今はコロナ禍でお休みしていますが被災地でコンサートも行っています。小学校の頃からチェロの低い音が好きで、ヴァイオリンをやっていたこともあって両親には言えなかったんですけど、大人になって楽器を買うお金もできて、今がチャンスだと思って習い始めました。

 

やきそば ご両親からは「音楽関係に進んでほしい」と言われませんでしたか?

村津アナ 言われませんでした。僕に才能がないことを早くから分かっていたのかもしれません。あと、プロの苦労を知っていたからだと思います。父はトランペット奏者としてプロを目指していましたが、夢が叶わず家業を継ぎました。

 

やきそば 村津さんは良い声の持ち主でもありますが、血筋と関係がありますか?

村津アナ 確かに「声がデカい」とは言われていて、血筋に感謝するところがありますね(笑)。祖母は声楽家を目指していましたし、祖父もコーラスグループを主宰していました。家族みんなが腹から声を出す人ばっかりだったからボソボソと言ってたら負けるんです(笑)。僕はいわば“素人”のままアナウンサーになりましたけど、「声が小さい」と指導されたことはありません。

 

話を伺っていくうちに、村津さんはアナウンサー志望ではなかったことが分かりました。

村津アナ 僕はもともと制作部を志望していて、偶然にアナウンサーになったんです。各地の放送局を受けましたけど、受験したいくつもの放送局の人に「君はアナウンサーの方がいいと思う」と言われたのと、OBS大分放送ではアナウンサー以外の一般職の採用がなかった年で「アナウンサー試験を受けてみませんか?」と言われて受けてみたら受かっちゃったんです。
てっきり、アナウンス研究会とかに入っていないと受からないものだと思っていたから驚きました。

 

やきそば カメラテストとかもあったんじゃないですか?

村津アナ もちろんありました。「こんなことをするの?」と戸惑いながら受けましたし、鼻濁音の出し方すら分からないから、とにかく大きな声で話していたら拾ってくれました(笑)。なぜこんな私を採用してくれたのかは分かりませんが、後日「お前は顔で採用したわけじゃない」とは言われました(笑)。だからアナウンサー生活がこんなに長く続くと思いませんでした。
人生は何が起こるか分からないから面白いですね。

 

 

◯アナウンサーの仕事は面白い!

やきそば 村津さんはさまざまなジャンルの仕事をされてきましたが、アナウンサーになられていかがでしたか?

村津アナ 僕はかかわったものを好きになるタイプなので、アナウンサーになってからも好きなものがどんどん増えていっています。その点では合っていると思います。

野球部に所属していたわけではないけど、高校野球の取材をしているうちに高校野球が好きになったり、一昨年に豪雨災害に見舞われた温泉地に足を運んで、ラジオのドキュメンタリーを作った時には、何度も被災地に通い続けることでその地域の人々が好きになりました。プライベートでも泊まりに行ったり、地域のお祭りにも呼んでくれるようになりました。マスコミが取材するとなると嫌がられてしまうことがありますが、すごく優しくしてくださっています。

 

被災地の皆さんとは親密なおつきあいをしていて、農家マルシェのお誘いを受けたり、村津さんが所属している音楽の団体にコンサート出演の依頼をしてくれたりしているそうです。

村津アナ いろいろと声をかけていただくうちに「自分は間違ってなかったんだ」と思いました。自分が相手のことが好きであることはきちんと伝わります。だからアナウンサーを目指す人には「良い仕事だよ」と伝えたいです。

好きな人やものに関することを自ら伝えられるのはアナウンサーの醍醐味のひとつです。人は、好きなことを語っている人を見ると嬉しくなりますよね。だから、後輩アナウンサーやパーソナリティーも、好きなことに対する熱量をいっぱい持っていてほしいです。

 

 

◯対話の円が大きくなればラジオはもっと面白くなる!

OBSラジオの人気番組のひとつに『夜のイチスタ☆』(土曜 21時30分〜22時)があります。『モーニング・エナジー』のいわば前身番組『イチスタ☆』で週に一度、村津さんとコンビを組んでいた池田麻衣子さん(通称“まいまい”)が送る、“ちょっと大人なピンクトーク”が楽しめる番組です。

2年前に始まって以来「面白い」という噂が広がり、ラジコを通じて全国から聴かれるようになりました。

 

やきそば 『夜のイチスタ☆』は始まった頃から聴いていて本当に面白いです。村津さんは、池田さんの面白さに早い段階で気付いたひとりですよね。

村津アナ 池田さんは普段からすごく真面目です。ただ、もともとテレビの情報番組に出演していたんですけど、不思議なことに普通の話をしていても、どことなく夜の雰囲気が漂ってたんです(笑)。

 

やきそば 言い方を柔らかくすると「エロかった」わけですね。

村津アナ そうなんです(笑)。しかも、フリートークではそうでもないのに、原稿を読むと普通の言葉であっても夜の雰囲気が漂ってくるところが面白いと思いました。

 

やきそば 池田さんは「何が面白いか」をきちんと分かっていて、初めて『夜のイチスタ☆』を聴いた時は「すごい番組が始まった」と思いました。

村津アナ 弊社は少し堅いところがありますが、池田さんはそこにやってきた“黒船”といった存在です(笑)。大分を代表する喋り手のひとりになってほしいです。

優しい性格なので「絶対にラジオに向いてる!」と思っていたら、まさにその通りでした。ワイド番組でもリスナーさんから「今日は元気が出ません」というメッセージがきた時には「どのように声をかけたらいいか」と真剣に考えています。

それに僕は『イチスタ☆』時代に、番組で紹介できなかったリスナーのラジオネームをエンディングでひとりでも多く読んでいまして、そのスタイルを池田さんは継いでいます。実は手間がかかることなんですけど、池田さんは音楽がかかっている間もラジオネームを読み上げるための作業をしています。

 

やきそば こういう話を聞くと、改めてラジオは“個と個のメディア”だと思いますね。

村津アナ SNSで即座に参加できるようになり、自分が話したことに対するレスポンスが即座に届くようになってから、ますますそう思うようになりました。パーソナリティーとリスナーの一対一の対話を線で繋いでいき、それが円になればいいなと思いながら喋っています。

身内の会話になるとほかの人はついてこないのでは…と思われがちですが、身内の円が大きくなれば身内ではなくなります。ひとりのリスナーの悩みをその場で済ませたら内輪の話になりますが、聴いている人に呼びかけることで身内の話ではなくなります。一対一の関係が放射状に広がれば、ラジオはもっと面白くなります!

 

後半は、アナウンサーが好きなものをテーマにした番組を紹介します。

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