HOME メディア 【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】先行投資でリードを築いた動画配信の“覇者” Netflix
2021.1.29

【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】先行投資でリードを築いた動画配信の“覇者” Netflix

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小西 未来(こにし みらい)

ロサンゼルス在住の映画ライター&映画監督。1971年東京生まれ。
ゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会所属。ドキュメンタリー映画「カンパイ!世界が恋する日本酒」に続き、最新作「カンパイ!日本酒に恋した女たち」が現在、劇場公開中。

 


 

米動画配信最大手Netflixの有料会員がついに2億人の大台を突破した。
先日行われた決算発表において、2020年10~12月期に850万人の新規会員を獲得し、全世界の有料会員数が2億370万人に到達したと発表した。

会員増の原動力は、新型コロナウイルス感染予防による巣ごもり需要の追い風に加えて、豊富で魅力的なオリジナルコンテンツにあるといえるだろう。

 

この期間(2020年10~12月)にもっとも多く視聴されたのは、シーズン4が配信開始となった英国王室ドラマ「ザ・クラウン」で、シリーズ通算では約1億世帯が視聴。他にも「クイーンズ・ギャンビット」、「ブリジャートン家」と次々と話題作を送り出している。

 

映画では、昨年末に配信開始となったジョージ・クルーニー監督・主演のSF映画「ミッドナイト・スカイ」が、配信開始後4週間で7200万世帯が視聴しトップ。2020年は、デビッド・フィンチャー監督の「Mank/マンク」や、アーロン・ソーキン監督の「シカゴ7裁判」といった芸術性の高い映画から、配信開始後4週間で9900万世帯が視聴したというNetflix史上最高記録を樹立した「タイラー・レイク -命の奪還-」、シャーリーズ・セロン主演のアクション映画「オールド・ガード」といったエンタメ大作などを放っている。

 

オリジナル映画は2021年に更に増えて、ガル・ガドット、ドウェイン・ジョンソン、ライアン・レイノルズという3大スター共演のアクション大作「Red Notice(原題)」をはじめ、ザック・スナイダー監督のゾンビ映画「アーミー・オブ・ザ・デッド」、レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、ティモシー・シャラメ、ケイト・ブランシェット、クリス・エヴァンス、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒルと豪華キャスト共演の「Don’t Look Up(原題)」など計71本を用意。毎週1本以上の新作映画が配信されていくことになる。

 

動画配信の覇者としての貫禄を見せつけたNetflixの決算発表だが、投資家向けのレターで注目すべきは「日々の事業活動のための資金調達はもはや必要ない」と記されていることだろう。

実は、過去にNetflixは、オリジナルコンテンツを製作するために巨額の資金を借り入れてきた。

 

2011年、Neflixは「ハウス・オブ・カード 野望の階段」と「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の製作を発注。それまではライセンス料と引き換えに他社作品を配信していた同社が、多額の製作費と引き換えにオリジナル作品を獲得することになったのだ。この2作は2013年に配信され、“安っぽい”という従来のネットドラマの概念を破壊することに成功。多くの人気クリエイターの勧誘に成功する。

 

2013年、Netflixはマーベル・テレビジョンと、マーベルコミック原作ドラマ計60話の製作を発注する大型契約を締結。

2015年から「デアデビル」「ジェシカ・ジョーンズ」「ルーク・ケイジ」「アイアン・フィスト」「ザ・ディフェンダーズ」といったマーベルドラマの配信を開始し、大人気を博すことになる。

2014年、 Netflixは人気コメディ俳優アダム・サンドラーの制作会社ハッピー・マディソン・プロダクションズと製作契約を交わし、コメディ映画を複数本発注。

2016年にはオリジナルドラマの「ストレンジャー・シングス 未知の世界」と「ザ・クラウン」が配信され、いずれも社会現象を巻き起こすことになる。

 

オリジナルコンテンツの増加とともに、2013年には23億ドルだったNetflixの予算も、2015年に49億ドル、2017年に89億ドル、2020年には173億ドルと膨れあがっていった。そして、コンテンツ予算を支えていたのが、外部資金だったのである。

 

本来であれば、会員増に伴う売上増に比例して、コンテンツ予算を増やしていくのがセオリーだろう。だが、Netflixは売上増をはるかに上回るペースで、外部から資金を借り入れ、湯水のごとくコンテンツ拡充に注いできた。

 

それは、いずれ動画配信に大手が参入することが分かっていたからだ。豊富なライブラリーとコネクションを誇るメジャースタジオが動画配信に本格参入したら、DVD配送レンタルサービスとしてスタートしたベンチャー企業のNetflixに勝ち目はない。だから、彼らが参入する前に、できるだけリードを広げておく必要があったのだ。

業界こそ違うが、壮大なビジョンを掲げ、借金経営をつづけながらも、事業を拡大していく手法は、電気自動車会社のテスラと似ているかもしれない。

 

Netflixにとって幸運だったのは、巨大メディア企業の腰が予想以上に重かったことだ。たとえば、ディズニーが独自の動画配信サービスの立ち上げに取りかかったのは、なんと2017年のことである。

ディズニーは「Disney+」を2019年にローンチ。2020年にワーナーメディアが「HBO Max」、NBCユニバーサルは「Peacock」を発足。2021年にはバイアコムCBSが「Paramount+」をスタートさせる予定だ。

 

このなかで、Netflixの脅威となりそうなのは、わずか1年あまりで8680万人もの会員を獲得したDisney+だろう。社会現象を巻き起こした「スター・ウォーズ」の実写ドラマ「マンダロリアン」に加えて、複数のマーベルドラマを用意している。

 

だが、Netflixも次のフェーズに移っている。2億人もの会員を獲得したおかげで、外部からの資金調達の必要がなくなった。総額160億ドルと言われる借入額の返済もはじまっているという。

動画配信をめぐる覇権争いは、今後もNetflixを中心に展開していくことになりそうだ。

 

<了>

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