【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】ラジオパーソナリティーたちのwithコロナ〜KBCラジオ『ドォーモ×ラジオ』長岡大雅アナウンサー等

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ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO 第32回

「福岡県の感染者の数がゼロになるまで、ノートに書いている手書きの記録をし続けます」

と自身のツイッターに綴ったのはKBC九州朝日放送の長岡大雅アナウンサー。


▲長岡大雅アナウンサー

長岡さんはKBC九州朝日放送テレビの報道番組『シリタカ!』(平日 18時15分〜19時)のメインMCを務めています。

福岡市、北九州市、久留米市の各自治体及び、福岡県が発表する福岡市、北九州市、久留米市以外の地域に関する新型コロナウイルスに関する情報をノートに書き、時には自身のツイッターのアカウント(@road2tiger)で公開しています。PCR検査数と新たな感染者数、感染経路不明者の数、居住地、入院者、退院者、入院中の人数などを手書きで記録。3月30日以来毎日記録していて、ビッシリと書かれたノートは、ツイッターで見かけると自然に目に留まります。

そこで、長岡さんが手書きの記録をつけ始めた理由や、ご自身が大好きな音楽に関連してコロナ禍の音楽について思うことをお訊きしました。


▲ある日のメモ

長岡さんが記録を付け始めたきっかけは、感染者の数が増加傾向にある中で頭の整理ができなくなることを防ぐためでした。

長岡さん:判明している感染経路や感染者が住んでいる地域などをきちんと把握した上で、夕方の番組で伝えたいと思ったんです。それに、新型コロナを"本気"で抑え込む情報を届けていく上で、自分自身に対する緊張感と負担を課したかったという側面もありました。

日々記録を続けていく中で、感染者が急増した時など、苦しい事もありますが、そのしんどさを"意地でもコロナを収束させたい"という感情に変えてA4用紙に向かっています。自分自身の心を引き締める意味合いもあると思います。

無論、新型コロナの影響を受けている皆さんが快方に向かって欲しいと願いながら、医療従事者の皆さんへの感謝の気持ちを噛みしめながら、書いています。

やきそば:そもそも記録したノートをSNSに公開しようとしたきっかけは?

長岡さん:感染者が増えている時は意識が高くなりますが、減少すると薄くなる危険があります。記録を公開することで、対策についてなど何かを考えるきっかけになってくれればいいなと思ったからです。

あとは、コロナ禍において"テレビが不必要に不安を煽っているのではないか"、ともすれば"マスゴミ"と一部のSNSで発信されているのを見かける中で、そのマスコミにいる自分が、テレビでは勿論、少しでも正確な情報を届け続けたいとSNSの発信に至りました。シンプルにものすごく悔しかったんです。自分もマスコミの一端なので。

更には、自分の大好きな、お世話になり続けているライブハウスが、何だか"悪い場所"と受け取られてしまうような報道を見かけて、そこに関わっている人たちへの配慮を感じられなくて、本当に心苦しかったんです。その感情も間接的に、SNSでの発信に繋がっているかもしれません。

SNS上では当時、これも印象論ですが、ネガティブな発信が飛び交っていて、自分にとっては負のパワーが強すぎて「SNSを離れようかなぁ」なんて時期もありました。でも、出来る限り前向きに、感染が収まるよう願う情報の発信に触れてほしいと公開を続けています。それが何か身近な対策に繋がってもらえれば本望です。おこがましいですが。

ノートは100日以上にわたり毎日公開していました。そんな中、令和2年7月豪雨が襲い、今度は新型コロナウイルスに関するニュースに加えて、豪雨被害にまつわるニュースを連日伝えました。長岡さんはボランティア活動に加わりますます多忙に。新型コロナウイルスについて記録したノートの連日の公開こそ途切れてしまいましたが、ノートへの記録は続けています。

経済を回していくために

長岡さんが手書きの記録を始めて4ヶ月。3月頃はコロナウイルスは収束するものだと思われていましたが、そのうち、"withコロナ"の生活が謳われるようになりました。 やきそば 長岡さんご自身、考えが変わった部分はありますか?

長岡さん:数字で一喜一憂しないようにしました。それに、行動記録や感染経路を見つめた上で、しっかりと経済を回していかないといけないと思いました。自分に何ができるだろう、と自粛期間に自分の出来ることを見つめ直して、3ヶ月ほど3食全てをテイクアウトにし、SNSでの紹介を通じて、お客さんがひとりでも増えてくれたらとの思いで発信しました。

手書きの理由

手書きということもあり、ツイッターでもよく目立ちます。余談ですが、長岡さんご自身も手で文字を書くのが大好きなのだそうです。

長岡さん:年賀状も全て手書きで書くほど字を書くことが好きです。

やきそば:しかも文字が大きいですよね。

長岡さん:自分でもなぜか分からないんですけど、大きく書いてしまう癖があって、罫線の間に文字が入り切らないんです。習字も半紙に入らなくて絶対にはみ出ます(笑)。手書きのメモも罫線が入っていないA4のコピー用紙に書いています。

やきそば:筆記用具はいつも同じものを使っていますか?

長岡さん:SARASA(ゼブラ)の0.5ミリを使っています。文房具に対してこだわりがあるわけではなかったんですけど、一度使い始めてからはSARASAの0.5ミリ以外は受け付けなくなっちゃいました。一度だけ0.4ミリを使ったことがあるんですけど、文字の迫力に物足りなさを感じて0.5ミリに戻しました(笑)。

0.5ミリを気に入っていることをSNSでさりげなく発信したら、それを知った方々からとっってもありがたい事に、合計で20本もそのペンを送っていただきました。本当にありがたいです。余談ですが、SARASAはクリップに書かれてある「SARASA」の文字が白抜きで書かれてあるんですけど、なぜか0.4ミリの文字だけエメラルドグリーンなんです。"特別感"があって羨ましさを感じます(笑)。

ゲストに楽しんでもらいたい

長岡さんは音楽が大好きで、音楽番組『ドォーモ×ラジオ』(金曜 24時5分〜25時)のパーソナリティーも務めています。ミュージシャンを迎えて音楽から日常生活の話まで、他の音楽番組では語らないような話を引き出します。ゲストとの距離感が絶妙で、複数回登場しているミュージシャンもいます。ここからは番組の魅力とコロナ禍の音楽についてお訊きしました。


▲『ドォーモ×ラジオ』収録風景 長岡アナとこの回のパートナー、小雪さん

やきそば:長岡さんはゲストのミュージシャンから音楽の話を訊いたかと思えば、音楽と全く関係のない話も引き出します。その楽しい駆け引きが好きです。

長岡さん:ゲストさんとの心の距離の詰め方は、自分の中でも大事にしています。収録に入る前に挨拶をさせていただく時の短い時間で、いかに、少しでも気を許してもらえるか。収録に入ってからでは距離を詰めるアイドリング時間がないので、最初から熱量をトップギアにもっていきたいんです。

やきそば:長岡さんが作品について質問をしているのを聴く度に、かなり聴き込んでいることが分かります。

長岡さん:当然、すべての音源はきちんと聴かせてもらいますし、歌詞もすべて読みこませていただいて、事前に頂いた(歌詞などが書いてある)資料に、色々(思ったコトや気になったコト、勝手な考察、制作への想像、歌詞の世界への妄想、etc...)ニヤニヤしながら書きこみます。

そもそも新曲を聴かせてもらうワクワク感が大好物なので、こんな贅沢なことはないですよね。本当にありがたい職業です。ほんでもって出来た長岡の独断と偏見にまみれた、決してアーティストご本人には見せられないメモが質問のきっかけになります。気付けばこれも手書きです(笑)。自分勝手に想像をめぐらせて、作詞をされた時の心情を妄想することが趣味です。

さらに濃度を高くするために、過去の1年ほどのSNSやブログ等も確認します。ほぼストーカーです。僕はこういう準備をするのがすごく好きなんです。まだお会いしていない状態で、様々な情報をかき集めて、相手の人物像を脳内に描き、ひたすらにシミュレーションをする過程が。その妄想が。

つまりは自分にとって収録は答え合わせをする場のような感覚があって、音楽のプロに音楽のコトを訊けること自体が贅沢なので、収録が楽しくてしょうがないです(笑)。自分の妄想と、本人の意図が一致したときには、頭の中で「カチッ」と音がして、脳汁が溢れますね。ゲストさんに「そこまでやる人はなかなかいない」なんて身に余るようなお言葉を頂くことがありますが、僕の中では必然的な、というか愛おしくてしょうがない作業なのです。

これまでに頂いた資料や自分で書いたメモは、自分にとっても足跡のようで(作ってないクセに...)、捨てられなくて全部取ってあります(笑)。僕はジャンルに関係なく、音楽でご飯を食べている人を、音楽を奏で続けてくれている人を、心の底から尊敬しています。

やきそば:確かに番組を聴いていると、長岡さんが楽しんでいるのがすごくよく伝わってきます。

長岡さん:リスナーの皆さんには、番組側が楽しんでいる姿を楽しんでもらいたいというイメージで喋らせてもらっています。「何様だよ」って感じですが(笑)、裏を返せばマイクの前にいる僕らが楽しんでいなければ、聴いてても楽しくないでしょうし、というか僕がラジオを聴いているときに一番にそれを感じるので、その感覚は大事にしています。それがラジオの魅力だと信じています。

喋りに関しては、出来る限り「僕と一緒だと楽しく話せる」と相方さんに思ってもらえるような空気が作れたらと意識しています。まぁ、結局僕がベラベラと喋ってしまうことも多々ありますが...(汗)。ただ、僕自身が喋って面白くなるよりも、ゲストの喋りで面白くなってくれた方が気持ちが良いんです。そうして盛り上がったら、僕は心の中でガッツポーズをしてます(笑)。


▲長岡さんが書いた資料のファイルの山

大切なのは不安を取り除くこと

やきそば:長岡さんがミュージシャンと接してきて、コロナ禍と音楽に関して思うことを教えてください。

長岡さん:6月にゲスト出演してくれた G-FREAK FACTORY の茂木さんが、ライブはオンラインで配信できるけど"絶対にオフラインは負けない"と仰ってました。とことんシビれました。僕も現場が大好きで、人と触れ合うことも好きなので、オンラインでは得られないものが沢山あると信じています。だから新型コロナウイルスによって生の体験が奪われていることが歯がゆくて仕方ありません。

オンラインライブは魅力的ではあるけれど、それだけが当たり前になってしまうことには抵抗があります。だからミュージシャンもライブハウスもその関係者の皆さんも、どうか堪えてもらえるように、少しでも自分たちができることを考え続けたいです。以前のような日常が戻ってくるまで、戻ってきても、一生応援しています。

やきそば:既に感染対策をした上でライブを再開したミュージシャンもいますが、まだごく一部ですね。

長岡さん:ミュージシャン側からしても、復活ライブは雰囲気を探りながら行うことになるのではないか、という思いがあるとインタビューで聞きました。「かなり久しぶりに彼女に会う感覚」と表現していたバンドマンもいました。久しぶりに彼女に会ったとして、すぐに「愛してる」と言えるかどうかという迷いに近い感覚。

実は僕の父親(ポール岡田)もミュージシャンでアコースティックライブを再開したんですけど、ステージには透明な幕を用意したり、お客さんも着席スタイルを徹底していました。

これからのテーマは"いかに心を解放できるか"。飲食店の自粛の解除は広まるものの、心の部分が開かれない限り以前のようには戻れないと思います。そのためには不安をいかに取り除くかが大切。ワクチンが開発されて薬ができようが、この期間に抱いた悔しさや寂しさが報われない限り、コロナ禍は終わらないと思います。完全に元に戻る事はなくても、それが求められていなかったとしても、戻せる部分はなんとかして戻すべき。そのために引き続き重要なのは、情報収集と心の再開だと思います。


ところで「Zoom飲み会」「Uber Eatsを使ったオーダー」など、コロナ禍で広まった文化はたくさんあります。パーソナリティーの中にはラジオに関する曲をアーティストと一緒に作ったパーソナリティーや、リスナーとZoomを使った飲み会を開いたパーソナリティーもいます。今回は私が気になった方に話を伺いました。

◯ラジオに関するオリジナルソングを制作:くまきもえさん

IBS 茨城放送『HAPPY パンチ!』(月曜〜金曜 9時〜12時55分)の水曜アシスタントを務めているくまきもえさんは、コロナ禍でアーティスト(Anly)とコラボをしてラジオをテーマにした曲『Listen to the radio』を作りました。

くまきさんは埼玉から県境をまたいで茨城放送に通っていることもあり、4月の最終週よりおよそ2ヶ月間、リモート出演することになりました。その間、くまきさんはインスタグラムやツイッターを使って配信も行うことにしました。

これまでに静岡や愛知のFMラジオ局でパーソナリティーを務めており、音楽関係者の繋がりも多いことから、パーソナリティーはもちろん、アーティスト、音楽・雑誌関係者などとSNSで対談。中でも、くまきさんが「アーティストの皆さんとも面白いことをしたい」とつぶやいた時に真っ先に手を挙げてくれたのがAnlyさんでした。

二人の出会いのきっかけは、くまきさんがパーソナリティーを務めていた『おひるま協同組合』(K-mix)にAnlyさんがゲスト出演したときのこと。Anlyさんの力強い歌声に勇気をもらったというくまきさん。ライブに足を運ぶほか、番組でAnlyさんがくまきさんにギターを教える企画も行われました。

そんな中、コロナ禍でくまきさんがインスタライブをするようになり、「興味がある方がいたら声かけてください」と発信したところ、いちはやくリアクションをしたのが親交のあるAnlyさんだった...というわけです。詳しいことをくまきさんにお訊きしました。

くまきさん:Anlyが「一緒にインスタグラムで配信しましょう」って言ってくれて、すぐに日にちを決めました。Anlyは即興で曲を作るのが得意なので、インスタライブでは曲を作ることにしました。静岡の番組で初めてお会いした時も弾き語りをしてくれたんです。凛としていて格好良くて、年下とは思えませんでした。

やきそば:即興ソングのテーマは「ラジオ」でしたよね。

くまきさん:皆さんからテーマを募集した上で、私とAnlyが出会ったのはラジオだったこともあって、テーマを"ラジオ"にしました。私の雰囲気をイメージして明るい曲調にしてくれて、ラジオに関するフレーズを歌詞に入れてくれました。私はAnlyがギターを弾きながら作っている姿をみながら「すごいね!」って感心するばかり。

インスタライブが終わったあと、私が映像を見ながら耳コピをして、その音をAnlyに送ったらすごく感激してくれました。しかも、翌朝には「一緒に配信をしてくれたお礼!プレゼントです!」って音源が送られてきたんです。

やきそば:早い!

くまきさん:すぐに作ってくれて、こんなに素敵な曲になると思わなかったのでビックリです。その後、歌いやすいように少しだけ歌詞を変えました。1番の歌詞はラジオをテーマにAnlyが作詞してくれたので、2番は私がリスナーだった頃と今の想いを重ねて作詞をしてみました。

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▲くまきさんとAnlyさんで作った歌詞(クリックすると拡大)

やきそば:作詞してみていかがでしたか?

くまきさん:作詞の大変さが分かりました。例えば"誰"に向けて書いているのか、という思いを一行で表わさないといけないんです。作詞をしたことで、アーティストの歌詞を読んだ時に「この一行にどんな意味をこめたんだろう」と改めてじっくりと考えるようになりました。

やきそば:そこから毎日歌とギターの練習をしてたんですよね。

くまきさん:『HAPPYパンチ!』で私がスタジオに復帰した日(6月24日)まで練習している姿を、33日間毎日撮影してAnlyに送りました。嬉しいことに歌の指導もしていただきました。

かくして6月24日、ついに『HAPPYパンチ!』で『Listen to the radio』を披露する日がきました。

やきそば:くまきさんは静岡時代から"味のある歌声"としてファンの間でおなじみですよね。その点も含めてグッとくる歌でした。

くまきさん:ありがとうございます(笑)。IBS茨城放送の方も「披露していいよ」って言ってくれると思わなかったので本当に感謝です。放送ではいつも以上に緊張してしまいました。Anlyも聴いてくれて、LINEで「あんなに練習したのにほんとにごめん」と打ったら楽しんでくれていたみたいで、本当に優しかったです(笑)。

『Listen to the radio』の今後の展開は未定ですが、またどこかで披露できることを願っています。

#ラジオチャレンジ

くまきさんは「#ラジオチャレンジ」という企画も提唱しました。

DAY1「初めて聴いたラジオ番組」からDAY30「メッセージが読まれたことがある番組」まで、毎日のお題に答えていくというものでした。

#ラジオチャレンジ
▲#ラジオチャレンジ(クリックすると拡大)

くまきさん:海外の方が「フィルムチャレンジ」という企画を提唱していたのを見つけたんです。毎日ひとつお題があって、それに答えていくというもの。映画を見つめ直す良い機会になります。この企画のラジオバージョンがあったら面白いのではないか、と思って名古屋のパーソナリティーの酒井直斗さんとも相談して企画することにしました。

やきそば:くまきさんは「フィルムチャレンジ」を提唱した方に許可をいただくためにメールも送ったそうですね。

くまきさん:勝手にやってしまうのは申し訳ない気がしたので、提唱した方に「日本で『フィルムチャレンジ』のラジオバージョンを作らせてください」と英語でメッセージを送りました。すると「最高! 日本語は分からないけど、完成したら見せて!」って言ってくれました。
その後、たくさんのラジオファンが「#ラジオチャレンジ」に参加しています。自分のペースで参加すればいいため、順番も無視して答えやすいお題にだけ答えてもいいとのこと。ハッシュタグを追っていくだけでも楽しいので、ぜひ、番組選びの参考にしてください。 最後に、色々な企画を考えているくまきさんに今後の展望を訊きました。


▲たかとりじゅんさん(左) と同時にマスクを装着。息もピッタリ。

くまきさん:『HAPPYパンチ!』では引き続き茨城の楽しい話題と、いつも温かいたかとりじゅんさんとのトークを繰り広げるほか、アーティストを迎えてココだけの話を引き出す番組や、芸人さんとのラジオ番組もやりたいです。

やきそば:いいですね! 愛知で音楽番組のパーソナリティーを務めていた時には、ご縁があってくまきさんの番組にスピッツのメンバー全員が生出演したこともありましたよね。お話をしてみたい方は?

くまきさん:さだまさしさんです。母が大ファンで、母の影響を受けて私もファンになりました。コロナ禍で泉谷しげるさんと特別番組を放送して温かい番組を届けたり、歌詞を読んでいても若者に何かを届けようとしてくれているのがすごく伝わってきます。若者のこともきちんと見てくれていることがすごく嬉しいです!

やきそば:では、芸人さんとラジオ番組をするとしたら?

くまきさん:夢は、いつか東京03の飯塚悟志さんと番組をすることです。昔からよくライブに行っていて、好きが高じて学生の頃は友達と一緒にネタをコピーしていたこともあります(笑)。

愛知で1年間ラジオをやらせて頂いた時の合言葉のひとつ「言ったら叶う」に従うとしたら...いつかラジオの相方としてあの愛のあるツッコミを受けられますように!(笑)。

◯オンライン飲み会、進行役の極意:源石和輝アナウンサー

ラジオ局では新型コロナウイルスの感染拡大を防止するべく、多数のイベントが中止されました。その一方で、パーソナリティーとのオンライン飲み会も行われるようになりました。

私は5月に行われた『ラジオBar 南国の夜』(RBCiラジオ)のパーソナリティー、よこちゃん(與古田忠さん)の誕生日を祝うオンライン飲み会(「I love RADIO」第30回参照)に続いて、東海ラジオ『源石和輝 ひるカフェ』の源石アナウンサーの飲み会に参加しました。金曜の夜7時から開催され、およそ1時間強の間、源石さんを含めた19人(仕事のため1 人不参加)で楽しみました。

飲み会終了後、源石さんに話を伺いました。

やきそば:およそ70分、楽しくてあっという間でした!

源石アナ:私がアナウンサーなのでギャラがかからないのもいいですよね 。会社の業務で堂々とお酒が飲めるという実績もつくりましたから、個人的にはwin-winです(笑)。

やきそば:源石さんが参加者全員とコミュニケーションをとっていて、そのやりとりを見ているのも楽しかったです。

源石アナ:みなさん、キャラクターが立ってましたね(笑)。子どもを連れている人もいれば、家では居心地が悪いのかガレージで飲んでいる人もいましたし(笑)。

はじめに挨拶を兼ねて、一人ずつ簡単なやりとりをしましたが、その時の雰囲気や僕が昔の番組について喋った時の反応などを見て、どんな人なのか、どのくらいラジオにハマっているのか、といったことがなんとなく分かりました。中には僕が20年前に放送していた『流石の源石』を聴いていたコアな方もいたりして(笑)。

もともと、東海ラジオはパーソナリティーと遊びに行くツアーをよく開催していました。お客さんと一緒に観光を楽しんだり、飲んだり食べたりするんですけど、オンライン飲み会はその感覚に似ていました。全員とまんべんなく話すのはツアーの経験が生かされていると思います。ひとりひとりの表情を見ながら次の言葉を紡ぎ出すという点では公開放送的。ただ、オンライン飲み会は参加者以外のことを気にする必要がないから気持ちは楽です。

やきそば:参加者とコミュニケーションを図る上で心がけたことはありましたか?

源石アナ:たくさん喋りたい気持ちをなるべく抑えました(笑)。開催する前はこちらがある程度喋ったほうがいいと思ってたんですけど、一方的に喋ると"番組"になってしまうし、なるべくリスナーの皆さんの声を聴くようにして、リスナーさん同士で会話が発生したらそちらに誘導することを考えていました。

それともうひとつ、昔から僕の番組を聞いてくれていた人も複数いらっしゃった一方、最近、僕を知ってくれた方もいたので、置いてきぼりにしないようにしました。

やきそば:参加者が20人なら、パソコンの一画面で全員の表情が分かるため、ちょうど良いですね。

源石アナ:プライベートでも飲み会をやってみて、進行役がまんべんなく話をふっていくことが大事だということが分かったんです。子どもの頃に笑福亭鶴瓶さんの『ヤングタウン日曜日』(MBSラジオ)の公開収録を聴いていて、ホールに集まったリスナーを鶴瓶さんがいじっていって、面白い人を主役にしながら番組を進めていく様子を知っていたので、それが原体験ですね。

オンライン飲み会では「家にあるものの中から、一番古いものを探して紹介してください」という指令が出ました。全員が知恵を絞りながら家の中を探索。およそ100年前の貴重な切手、50年モノのカメラ、鉄道が好きな源石さんも興味津々の鉄道グッズまで、参加者が画面を通じて紹介しました。

やきそば:個性的なものばかりでしたね。

源石アナ:このアイデアは何か"フック"があった方がいいと思いまして、飲み会の1週間ぐらい前にふと思い浮かびました。電話口でお風呂をチャプチャプさせる音を聞かせてもらうといった、深夜番組のようなノリの企画をやってみようと思ったんです。

誰かがスマホを持って家の中を移動してくれるといいなと思っていたら、大きな仏壇を紹介してくれた人もいて非常に盛り上がりました。

やきそば:参加者の皆さん、ノリがいいですよね!

源石アナ:ラジオが好きな人の中には直接集まるとなかなか盛り上がれない人もいて、ネット上の飲み会はうってつけだと思うんですよね。

昔、東海ラジオの近所の公園でリスナーが集まる会を開いた人がいたので僕も途中から様子を見に行ったことがあって、20人ぐらい集まっているのにみんな恥ずかしがって誰も会話してなかったんです(笑)。僕が呆れて「会話したらどうなの?!」と言って入っていきました。ラジオネームを紹介し合ったら有名な人もいて盛り上がるんです(笑)。

だからZoomはリスナーが集うのにちょうど合ってるんだと思います。今回のオンライン飲み会でも、終わった後に退出せずに二次会を始めた人が数人いましたから(笑)。


作品を送りたいラジオ番組

ところで、くまきさんのようにコロナ禍で何かの作品を作った方もいらっしゃるのではないでしょうか。リスナーが作った音源を中心に作品を募集しているラジオ番組が各地にあります。 今回はその中から5本の番組をピックアップ。作品を送ってもいいし、他の人が送った作品を放送で聴いて、講評を聴くだけでも勉強になります。

J-WAVE『SPARK』(月曜〜木曜 24時〜25時)では特に月曜のSHISHAMO、木曜の今市隆二さん(三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)の放送回で作品を募集中。SHISHAMOの月曜はSHISHAMOに関するクリエイティブ作品を募集。楽曲をイメージして作った漫画や絵本、小説などが届きます。ただし、送ればいいというわけではなく、時には辛口に作品を評価します。今市隆二さんの木曜はオリジナルステッカーや、音源を募集中。

FM FUKUOKA『松隈ケンタの「スクランブル ロック シティ」』(水曜 20時25分〜20時55分)では、BiSH、BiSをはじめ、数多くのメジャーアーティストに楽曲を提供、新進気鋭のサウンドチーム「SCRAMBLES」の代表でもある松隈さんが、音楽事情の話はもちろん、音楽制作のお悩み、質問にも答えるほか、リスナーから寄せられたオリジナルの音源もオンエア。

最近はバラバラのジャンルでバラエティに富んだ楽曲が選ばれています。しっかりと作りあげられていて"いかにもプロ"といった作品が選ばれる時もあれば、かなり荒削りな楽曲が選ばれることも。そんな時でも「気持ちは分かる」と言わんばかりに、そっと手を差し伸べるかの如く前向きなアドバイスを送ります。

名古屋のZIP-FM『FIND OUT』(日曜 20時〜22時)は東海地区のアマチュア・インディーズシーンをはじめ、全国の邦楽から多彩な才能をもったニューカマーを発見。ナビゲーターの白井奈津さんがその曲に声援を送るように元気よく紹介します(金曜は頑張っている人を応援する『HOORAY HOORAY FRIDAY』のナビゲーターも務めています)。番組では東海エリアで活動中のバンド(ユニット/シンガーソングライター)の音源を募集しています。

2020年4月にスタートした、ぎふチャン(岐阜放送)『1スタは!? 夜もZawaZawa』(火曜〜金曜 22時〜24時)。テーマに沿ったメッセージを紹介したり、リスナーと電話をつないで話したり、食レポに挑戦したりする生ワイドバラエティです。木曜はオリジナル音源を募集しています。プロ級の作品から摩訶不思議な曲まで紹介。

木曜のパーソナリティーを務める「ジャーマネ」さんは謎だらけ。毎回私の頭を混乱させています。自己PRによると「宇宙船のトラブルにより、たまたま墜落したのが地球の中の岐阜のとある場所。以来、地球のみなさんに触れることが虜となり、毎週ぎふチャンラジオに出現! 人間界の皆さんと沢山戯れて、親交を深めたいと思っています」とのこと。キュートな声の持ち主で、リスナーからのメッセージに対するコメントがコミカル。リスナーも変わった人が増えています。

福岡のRKBラジオ『デモテープ〜福岡音楽時代〜』(水曜 23時〜23時30分)でも音源を募集中。パーソナリティーを務める加藤淳也さんご自身、福岡の有名な「Live&喫茶 照和」に出ていたことがありました。そのため、送られてきた音源に対してじっくりとテイスティングするかのようにアドバイスします。温かいエールを贈るものの、歌詞や歌唱について気になる点を発見すると指摘。「商業音楽の世界は厳しいです!」「的確なアドバイスをする人がいないと、食っていける音楽はできない!」とハッキリと言うところにも好感がもてます。

毎回、ひとつの曲について注目すべきポイントをしっかりと解説する「カトジャム」にも注目。聴いていて勉強になる30分です。

<了>

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