【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】〜やきそば流ラジオ沼のハマり方解説〜SBSラジオ『まだ帰りたくない大人たちへ チョコレートナナナナイト!』等

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【ラジオレコメンダー

ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO 第30回

「私、40年ぶりにラジオを聴きました。ラジオってこんなに面白いんですねぇ〜」

先日、とある50代の新聞記者の方(Aさん)からラジオに関する取材を受けている時にAさんが仰った一言です。Aさんは学生時代にラジオを聴きながら受験勉強をして以来、40年ぶりにテレワークのお供にradikoでラジオ番組を聴くようになってハマったそうです。「テレワーク」という言葉がすっかり広まるなか、radikoでラジオを聴いている人は増えており、特に平日9時から18時の時間帯にradikoでラジオを楽しんでいる人が多いとか。

実際にさまざまなラジオ局の方に聞いたところ、ほとんどの方が「新規リスナーが増えた」と仰っていました。しかも3〜4月に関しては次のような傾向が見られるそうです。

・一文が長いメッセージが増えた。

・番組で紹介してほしいから送ったというよりは、パーソナリティーに手紙を書く感覚で今の心情を綴ったものを見かける。

リスナーとパーソナリティーの独特の距離感だからこそ、自分の今の悩みや不安を打ち明けたくなる気持ちは分かる気もします。そのような中、日中や夜の番組を聴いていても「初めてメールを送った」という10代の学生がチラホラ登場します。


そもそも、皆さんは何をきっかけにラジオにハマっていったのでしょう。4月にツイッターの「#ラジオを聞くようになったきっかけ」(タイプミスのままツイートした「#ラジオに聞くようになったきっかけ」も含む)で投稿を呼びかけたところ、およそ150人から寄せられました。多種多様で、ひとつひとつを読んでいるとそれぞれの家庭が浮かんできます。気になる方はハッシュタグをたどってみてください。

投稿の内容を大まかに分けると次の8つのパターンになりました。

・家にあったラジオ(ラジカセ)をたまたまつけた。

・技術の授業でつくったラジオの受信機で聴き始めた。

・友達に面白い番組を勧められた。

・親がラジオファンで、小さな頃から家でラジオが流れていた。

(もしくは親が運転する車のカーラジオで聴くようになった)

・好きな芸人やミュージシャン、声優のラジオ番組が放送されているのを知って。

・営業で外回りをしていて社用車で聴いた。

・ラジオ講座を聴くようになった。

・書店の店内で流れていた。

中には「母が子どもに標準語を話させようと、家でラジオを流していた」というユニークなものもありました。ラジオをラジオの受信機でしか楽しめなかった頃に比べると、現在は「radiko」やそのほかのアプリ「JFN PARK」「WIZ RADIO」「ラジオクラウド」もあり、ラジオ番組に触れやすい環境が整っています。


では、ラジオを聴き始めてからハマっていく段階をみていきましょう。

段階1:好きなパーソナリティーから入る。好きな芸人、ミュージシャン、歌手、アイドル、アナウンサー、そのほか著名人がいて、ツイッターやインスタグラムなどの告知で知って聴き始める。

音声メディアの手軽さや面白さを感じて、ラジオCMやSNSなどで他のラジオ番組の存在を知るようになると...

段階2:徐々に他の番組にも触れるようになる。1本、また1本と点を打つように他のラジオを聴く。

クラス替えがあって、なんとなく話の合いそうな人をひとり、またひとりと見つけたような感覚です。ここまでくると「未知との遭遇」の始まり。"ラジオの沼"にゆっくりとズブズブハマり始めた状態です。

段階3-A:好きなラジオ局を自覚するようになる。

気になる番組が少しずつ増えていくと、ある時期からラジオ局による雰囲気の違いを自覚するようになります。番組やアナウンサー、パーソナリティー、ラジオDJの雰囲気だったり、ラジオ局の時報の音やジングルだったり。そうすると「あれ、自分はこのラジオ局をよく聴いているな」と気付くようになります。

段階3-B:好きな音楽のジャンルの番組を聴くようになる。

好きな音楽のジャンルがある人は、自分に合った音楽番組はないか、気になるようになります。ポップス、ジャズ、民謡、レゲエなど思いのほか、たくさんのジャンルの番組があることに気付きます。

ここまでくると、忙しくてアプリを立ち上げる余裕すらない人以外は、あとに引き返せなくなっていることに気が付くでしょう。

ちなみに最終段階は

「ラジオがついているだけで幸せ」

となります。


そこからラジオをもっと楽しむためにはさまざまな方法があります。

・ラジオ番組表を眺める

どのラジオ局にも「ラジオ番組表(TIME TABLE)」が用意されています。一日にどんな番組が放送されているかが一目で分かる表です。私は中学2年の時(もう30年前です)に番組表の存在を初めて知りました。これがなかったら私はさまざまな地域のラジオ番組にここまでハマらなかったかもしれません。「北海道ではこういう番組を放送しているのか」「沖縄では...」と思いながら見るだけで旅をしている気分になります。時刻表を眺めているようなもの。番組表は各ラジオ局のホームページでも公開されています。PDF化されているため、プリントアウトして壁に貼っている人もいるとか。三才ブックスからは全国のラジオ番組表を掲載した、その名も『ラジオ番組表』が年に2度(春・秋)発売されています。

さまざまな番組表をずっと眺めていると、AMとFMとでは同じ時間帯の番組でも傾向の違いがあることに気付きます。中でも特徴がよく表れているのが月曜から金曜の17時台。

例えば東京・千葉・埼玉・神奈川の場合

TBSラジオ『ACTION』(月:宮藤官九郎、火:尾崎世界観 ※クリープハイプ、水:DJ松永 ※Creepy Nuts、木:羽田圭介、金:武田砂鉄 各曜日アシスタント:幸坂理加)

文化放送『斉藤一美ニュースワイド SAKIDORI!』

ニッポン放送『草野満代 夕暮れWONDER4』

ラジオ日本『夏木ゆたかのホッと歌謡曲』

TOKYO FM『Skyrocket Company』(マンボウやしろ・浜崎美保)※月〜木

J-WAVE『GROOVE LINE』(ピストン西沢)※月〜木

bayfm(千葉)『The BAY☆LINE』(月:きゃんひとみ・里崎智也・島村幸男、火:有村昆・駒村多恵、水:岡田ロビン翔子・林家たま平・島村幸男、木:伊津野亮、鈴木あきえ、金:森久保祥太郎、浜口順子)

FM NACK5『THE SEITARO★RADIO SHOW「1700」』(大野勢太郎)※月〜木

FM ヨコハマ『Tresen(とれせん)』(月〜木:植松哲平、月・火:Saku、水:サイプレス上野、木:ファーストサマーウイカ、金:じゅんご、高橋茉奈)

NHKラジオ第1放送『にっぽん列島夕方ラジオ』

NHK FM『ゆうがたパラダイス』(月:金田哲※はんにゃ、欅坂46、日向坂46、火:三森すずこ、水:津野米咲※赤い公園、木:青山テルマ)

同じ時間帯でもニュースワイド、情報バラエティー、歌謡曲、リスナー参加型のトークバラエティー、学生向けの音楽番組などに分かれています。聴いている番組でその人の特徴が出そうです。関西や中部、北海道、福岡などのラジオ局が多い地域でも同じ時間帯にさまざまな雰囲気の番組が放送されています。ラジオやradikoで適当にラジオ局を替えていき、番組のテイストが自分に合っているのを感じて聴くようになったというケースが多いのではないでしょうか。民放ラジオ局の数がAM1局、FM1局のエリアだと、夕方はAMでは情報とトーク中心の番組を、FMでは音楽とリスナー参加型の番組を放送している地域が多いです。

平日の一日の流れを大まかに分けるとこのような感じです。少々無理やりにまとめたところがあり例外は多々ありますが、この流れがなんとなく実感できるようになると自分の生活の流れとラジオをマッチングしやすくなります。

日中はずっと音楽を聴いていたい方にはラジオNIKKEI第2がおすすめ。平日の朝8時30分から夜8時まで音楽を流しています。オンエアされる曲の雰囲気やテーマは1時間ごとに変わります。「1日を元気にスタート〜ハッピー&パワフルミュージック」「音楽でほっと一息〜リラックス&おやつタイム」「音楽のディナーで心の栄養を!〜ディナーを彩るミュージック」などに分かれています。


好きな番組を見つけるために、ラジオ局のオンエアリストを活用するのもおすすめ。FMのラジオ局(一部を除く)と一部のAMラジオ局のホームページや、radikoでは放送された曲の一覧が表示されます。「オンエアリスト」を眺めていると、自分が好きなジャンルや「なんだこの音楽は?」と思うような音楽が流れる時間帯が浮かび上がってきます。興味をもったら吉日。早速、番組を聴いてみましょう。


パーソナリティーの雰囲気を知るにはツイッターの「#ラジオリレー」も参考にしてみてはいかがでしょう。リレーは4月8日にCBCラジオ『酒井直斗のラジノート』『推シマシ』のパーソナリティー、酒井直斗さんが「全国のパーソナリティーが繋がってくれたら」という思いを込めてスタート。短い動画を通じて「ラジオあるある」「ラジオの魅力」を伝えました。

酒井さんは、初めはどのあたりまで広がっていくのか不安がっていましたが、名古屋をスタートしたバトンは予想外の速さで渡されていき、僅か1日でROKラジオ沖縄『山原麗華の元気なナツメロ(爆笑)』の山原麗華さんに渡りました。その後も勢いは止まらず、笑福亭鶴光さんと田中美和子さんのペア、春風亭一之輔さんにも渡りました。"レモンさん"こと山本シュウさんはレモンの格好で登場。既に数十人が参加しています。

皆さんが個性溢れる動画で参加するなか、パーソナリティーやリスナーが騒然となったのが、MBSラジオの福島暢啓アナウンサーの動画でした。33歳、民放のアナウンサーながら、どこか昭和のNHKのアナウンサーの雰囲気が漂う福島アナ。実際に高校時代はNHKラジオ第1放送『ラジオ深夜便』にハマっていたというNHKっ子でもあります。

その福島さんがラジオスタジオに昭和っぽい雰囲気の簡易セットを組み、いかにも昭和のNHKのアナウンサーっぽい口調で「ラジオあるある」を発表していくというものでした。福島アナは「誰も手伝ってくれないから」と撮影、編集、スーパー入れ、イラスト、フリップ作成の全てを一人で担当。昭和風のフリップ、画像もブラウン管テレビやVHSのビデオを見ているような画質にわざと加工。どんなことでも真面目に楽しく取り組む福島アナの特徴が表れていました。

福島アナがバトンを託した人の一人は後輩の三ツ廣政輝アナウンサー。福島アナの動画のあまりの出来の良さに「なんというクオリティの高さ...! 先輩が『(安住紳一郎の)日曜天国』(TBSラジオ)にピンチヒッターで出演した際の名言を引用させていただきます。『高すぎるハードルはくぐるだけ』。自分なりの全力をぶつけ、全速力でくぐります!」と驚いていましたが、果たしてどんな動画に...。(とはいえ、バトンは強制しているわけではありません)


ところで新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ラジオでは3月下旬からスタジオ内にアクリル板を設置したり、紫外線照射殺菌装置を設置したり、スタジオに入る出演者の数を制限したりとさまざまな対策がとられてきました。そのひとつがリモート生放送やリモート収録。よりクリアな音声で届けるべく試行錯誤が繰り返され、週を追うごとに音質がクリアになっていった番組もあります。マイクを変えるだけでもかなり改善されると言われています。

今はさまざまなことが変化しつつある時期。コロナウイルス収束後のラジオのヒントになるような動きも多々ありました。

3月30日(土曜)に放送されたJ-WAVE『SATURDAY NIGHT VIBES』(4月より土曜 25時~27時)はナビゲーターを務めるDJ TAROさんの事務所から3時間の生放送。自宅からの放送も考えたそうですが、事務所がJ-WAVEから近いこともあり、事務所からの放送にしたそうです。5月現在は自宅から生放送を行っています。

Zoomを活用して放送を行ったのがFMヨコハマ『FUTURESCAPE』(土曜 9時~11時)。4月4日より小山薫堂さん、柳井麻希さん、ゲストのそれぞれの自宅、FMヨコハマにいるディレクターの4ヶ所を繋いで放送。5月現在もZoomを使用して放送しています。Zoom背景をFMヨコハマのスタジオの画像に変えるお遊びも。スタジオの写真はリスナーも使えるようにSNSで公開されています。今でこそ「Zoom飲み会」という言葉が広く使われていますが、「Zoom」が広がっていったのはほんの1〜2ヶ月前のこと。同様のシステムを使った放送もあっという間に広まっていきました。

静岡のSBSラジオ『まだ帰りたくない大人たちへ チョコレートナナナナイト!』(火曜 19時~21時)では4月7日よりアルコ&ピースの酒井健太さんが東京からリモート出演。酒井さんとスタジオの矢端名結アナウンサー(やばたん)とお喋りをしたい人を募り、動画ビデオシステムに出演してもらっていました。お互いに画面を見ながらパーソナリティーと話せるという夢の展開です。この企画は現在も続いています。


「電リク」ならぬ「音リク」という言葉も生まれました。4月29日にTOKYO FMで放送された開局50周年特別番組『LIFE TIME MUSIC 80 ~こんな時こそ音楽のチカラ~』ではメールでリクエストをしたリスナーのなかから選ばれた人をスタジオとビデオ通話で結び、パーソナリティーと直接お喋りしてリクエストをする企画を実施。これは「音リク」と呼ばれました。中には新婚さんの参加もあり、画面越しに二人で登場した夫婦も。画面越しにやりとりができる利点を生かした企画です。

4月13日に放送されたFMヨコハマの番組『YOKOHAMA RADIO APARTMENT 「ドア開けてます!」』(月曜 22時~23時30分)ではパーソナリティーを務める人気バンドwacciのヴォーカル、橋口洋平さんが粋な企画を実施しました。この日は橋口さんの自宅から放送。オープニングで近況を話した後はミュージシャン仲間3人を、リスナーにはサプライズで順番に呼び込み、それぞれの自宅からリモート出演。4人もいれば一斉に喋り始めそうなものですが、お互いの表情を見ながら話すため、発言がかぶることなく会話がポンポン進んでいきました。雰囲気は"公開Zoomトークライブ"といったところ。今後、音質が更に向上すればビデオ会議システムを使って色々なコラボ企画が実現しそうです。


長崎のNBCラジオでは5月5日に7時間におよぶ特別番組『おうちで聴こう!つながるラジオ~まけんぞ長崎・まけんぞ佐賀~』を放送。長崎、佐賀にゆかりのあるさだまさしさん、髙田明さん、EXILEのTAKAHIROさん、はなわさん、E-girlsの鷲尾伶菜さん、同局の番組でおなじみ、さらば青春の光ほかが出演。

この時世により披露宴を延期したカップルに素敵な一日をパーソナリティー陣が演出する「ラジオウエディング」、子どもが主役の電リク、大人の疑問に子どもがこたえる「子ども相談室」、さらにNBCラジオ『ラジオDEビブリオバトル』(金曜 21時15分~21時30分)の特別バージョン、「ライブDEビブリオバトル』などが行われました。『ライブDEビブリオバトル』は4人の学生をオンラインで繋ぎ、書評バトルを開催。リスナーの人気投票により1位を決めるというもの。ラジオとYouTubeチャンネルで同時に放送(生配信)されました。今までなら電話を繋ぐだけだったものが、これなら4人が同時に会話に参加してお互いの顔を見ながら話すことができて、リスナーもその様子を見たりコメントしたりすることができます。このシステムを応用すれば色々なことで遊べそうです。


パーソナリティーが行ったリスナー参加のオンライン有料飲み会も行われました。沖縄のRBCiラジオ『ラジオBar 南国の夜』(土曜 22時〜23時)のパーソナリティーで「Bar南国の夜」のマスター、與古田忠さん(よこちゃん)の誕生日を祝う「與古田忠Online誕生会!」が5月3日の21時から行われました。「有料にしたけど、果たして何人が集まるだろうか?」とよこちゃん自身心配していましたが、蓋を開けてみると120人を超える参加者が集結。地元はもちろん、各地のリスナーやパーソナリティーも参加しました。

Zoomの利点は顔出しの有無が選べるほか、名前も変えられるところ。実は某局の人気パーソナリティーも参加していた...などという種明かしをしてリスナーもビックリ!...という展開もできます。前述のwacciの橋口さんの番組のように、サプライズゲストとして呼び込むこともできます。

よこちゃんが秀逸なのは、Zoomを使ったことがない人のためにZoomの参加の仕方を事前にレクチャーしていたこと。このマメさが大事。「Bar南国の夜」が開店して今年で25周年。よこちゃんが愛されるのもよく分かります。新型コロナウイルスが収束すればビデオ会議システムを使った企画はラジオ番組のみならず、有料の音楽イベントやトークイベント、お笑いライブなどで一層広がっていくと思われます。ライブハウスも苦境に立たされていますが、地域の音楽文化を守るためにもなんとかして今を乗り切ってほしいものです。

<了>

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