HOME メディア お笑い芸人から転身!YouTubeを通じて投資の素晴らしさを発信したい 株式会社Zeppy CEO 井村俊哉さん
2019.11.26

お笑い芸人から転身!YouTubeを通じて投資の素晴らしさを発信したい 株式会社Zeppy CEO 井村俊哉さん

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株式会社Zeppy CEO 井村俊哉


経済・投資に特化したYouTuberのプロダクション業務や、WEB動画コンテンツの制作などを行う株式会社Zeppy。CEOを務める井村さんは、元芸人という異色の経歴の持ち主でもあります。投資について「利己的に『儲けたい』気持ちだけで市場に入ってきても、その欲望が循環して社会が豊かになる素晴らしい仕組み」と表現する井村さん。彼が投資を始めた意外なきっかけや、芸人からの華麗な転身、そしてYouTubeの今後の可能性についてまで、広く伺いました。

 

 

本業のお笑いより、株のほうがうまくいっちゃった

 

── まずは、今までのご経歴をお聞かせください。

一言で言うと、元は“売れない芸人”です(笑)。10年ほど芸人をやっていて、他の芸人と差別化するポイントを作ろうと“株大好き芸人”という肩書きを背負って攻めていたんですけど、お笑いの方はあまりうまくいかず、投資ばかりうまくいってしまったんです。2011年に100万円で始めた株は2017年に1億を越え、今はその倍になりました。レバレッジを高める(元手の何倍もの資金を投資する)こともなく、順当にやってきた結果です。

 

── そもそも、株を始められたきっかけはなんだったのでしょうか?

本格的に始めたきっかけは、妻との出会いです。妻とは芸人3年目くらいの頃に出会いました。それまでは他の芸人と同じように居酒屋やファストフード店でアルバイトをしていて、すでに軽い気持ちで株も始めていたんですが、ただ買って置いていただけ。投資で食べていけるとはまったく思っておらず、キャラづくりのために買っているようなレベルでした。

ただ、彼女と結婚したいと思った時に「この収入じゃさすがに無理だよな、でも芸人はもうちょっと続けたいな」ということで、お金を稼ぐ術として「バイトを辞めて本格的に株を始めよう」と思いました。当時は、月10万円の利益が目標でしたね。

 

── 例えばの話ですが、一般企業に就職して結婚するというような思考にはなりませんでしたか?

実は本格的に株を始めた2011年は、芸人を辞めようかなと思った時期でもありました。でもそんな時に限って、キングオブコントで準決勝までいっちゃったんですよね。いつも一回戦負けだったので、今回も同じならもう辞めようと思ってたんですけど(笑)。そのとき、これはいけるなと感じたんですが、キングオブコントバブルも2ヶ月ほどで終了しちゃって、すぐに仕事がなくなったんです。

 

── それが、真のお笑いを辞めるきっかけに?

トリオ芸人だったので、相方が辞めるタイミングもあって。「芸人以外で、もう一回何かにチャレンジしてみたい」と思ったんですね。

また、投資が好きで続けていると、その先にいる企業やビジネスモデルにも興味が湧くようになりました。例えば、最初社員数30名ほどだった会社が、100名、200名と増えていって、株主総会の会場も大きくなり…という様を見て、そういうダイナミズムに憧れを感じたんです。この社会に、実際に形あるものとして価値を与えているって、すごいなって。それで芸人を辞めた後に会社を作りました。

 

 

買い物はコスパ最優先。それは投資でも同じ

 

──今の日本であれば総資産が億を超えているならあえて起業せず、守りに入ってもよかったのでは?

なんとかいけますよね、物価も安いし。僕、友人に「コスパ男」と呼ばれるくらい、あらゆるものを安く買うタチなんですよ(笑)。このジャケットだって古着屋さんで780円ですし、株主優待券を使って買っているので、ほぼタダみたいな感覚。その他、身につけているアイテムの中にも優待でもらったものは多いです。いままで払った家賃の最高額でもせいぜい月3万円程度。ぜいたくにも興味がないので、芸人時代の月の生活費は10万円もかからない。株で稼いだ分のお金が増えていくだけの状態です。
ちなみに投資の勉強も、図書館で借りた本を読んだだけで、ほぼ独学です。

 

──そういった感覚が、投資にも活かされたりはしますか?

ありますね。僕が株を買うにあたって一番大切にするポイントは、ズバリ“お得かどうか”。日々のお買い物と一緒です。スーパーマーケットには数千点の商品が並んでいますが、東京証券取引所にも3,700点の銘柄があります。

例えば、関連株として「トマト」がいいと思ったらトマトコーナーに行きますよね。そうすると、ミニトマト、大玉のトマト、黄色いトマトやフルーツトマトなど、たくさんの種類がある。どれが一番お得か?と考えて、銘柄を選ぶわけです。いいものでも、高く買ってしまうと損をします。いいものが安く買えて、初めて儲かるんです。甘いトマトが500円、すっぱいトマトが20円だとして、後者のフェアバリュー(適正価格)が50円だとしたら、30円儲かる。買い値の倍以上ですから、20円のトマトの方が儲かる可能性がある。しかし一方で甘いトマトは500円と高いけど、いろんな調査の結果、実は2,000円の価値があるとわかった。そうしたら、こっちを買ったほうがお得ですよね。

目利きの技術は、いろんな会社を見比べることで身につくと思います。
注意点としては、中長期的に企業の成長を見る「投資」と、値動きを見て利益を狙う「投機」、それによって判断が違ってくるので、自分がどちらの目的なのか最初に決めておくことが大事ですね。

 

──なるほど、お買い得かの見極めが大事ですね。ちなみに、失敗することもありましたか?

それは当然あります。株を始めて6年目の頃、1年かけてコツコツ積み上げてきた1千万円以上の利益を、2〜3日で全部失ってしまいました。これで借金を背負ったわけではないので、お金に困ったという話ではないのですが。ただ、取引に対する反省は大きくあって、今まで積み上げてきたことを1回の意思決定で全部失ってしまったことがめちゃくちゃショックでした。その日は5〜6時間くらい外を徘徊して、頭の中で「なんであんなことをしたのか…」と反芻しました。ストレスからか、右のまぶたが数ヶ月ピクピクと痙攣して止まらなかったほどです(笑)。

 

──失敗談も笑い話にされている様子を拝見すると、楽しんで投資をしていらっしゃるのだなと感じます。

楽しいですし、株は仕組みとして素晴らしいものなんだよ、ということを世の中に伝えたいという気持ちは大きくありますね。もちろん例外もありますが、基本的な投資の思想は、あらゆるステークホルダーが「全員うまくいく仕組み」なんです。

投資というと、「汚い」「金儲け」「怖い」「ギャンブル」「難しそう」などと、どうしてもネガティブなイメージが大きいのですが、投資があるおかげで生まれたものもたくさんあります。わかりやすいところでいうと医療用の薬です。新薬が生まれるためには100億円程かかるといわれていますが、そのお金を出すのが投資家です。100億集まって無事に新薬が完成したら、患者さんもハッピーになるし、薬が売れると収益が上がって会社も儲かる。投資したお金と引き換えにもらった株券の価値も上がり、投資家も儲かります。“三方良し”の仕組みですね。

もっというと、投資家はそんな小難しいことを考えずに「利益が欲しい」という欲望を持ってマーケットに入ってくるだけでも、このいい循環を作る一端を担える。要は“win-win”になれるということも僕が投資を好きな理由です。

 

 

意外と少なかった“経済・投資系YouTuber”

 

── 芸人を辞めて起業する際、どんなビジネスをしようと考えられていましたか?

実は最初に考えていたのは蒸しパン屋でした(笑)。市場や利益率、フランチャイズ化などの面からビジネスとして可能性を感じていたのですが、ある人から「まずは蒸しパン作ってみたら」と言われたんです。作ってみるかと思ったんですが、全くやる気が起きなくて。そのとき、仕事にするには“儲かる”だけではなく、思い入れが無いと難しいと感じて、自分ならやっぱり投資系だなと考えがシフトしました。

それに、上場株を見ていると、成長していく会社はたくさんあるのに「世の中に知られていないな」とヤキモキすることも多くて。「こんなにすごい会社に対してなぜ投資をしないんだ?」という中で、ふと「自分で大きな事業を興すのではなく、このすごい会社の数々を紹介するようなことができないか?」と考えました。では、どこで伝えるのがベストなのか、と考えたら、YouTube以外になかった。7,000万人が見ている巨大動画共有サイトなので、そこで数字を取りにいったら、投資の喜びも伝え放題、いい会社も紹介し放題だと思い、YouTuberのプロダクションを興そうと考えました。

 

──その当時、投資系のYouTubeチャンネルはどのような状況でしたか?

これが、ほとんど育ってなかったんですよ。そこも狙い目だと思ったんですね。

当時、YouTuberではトップのHIKAKINさんや、はじめしゃちょーさんが500万とか600万の登録者数を誇っていました。もう、巨大なひとりテレビ局のような感じですね。一方で、投資系だとオレ的ゲーム速報JINさんが、12万人ほどでトップ。10万人以上登録者数のいるYouTuberがその時点で千数百人いたので、明らかに突出して王者が決まっていたわけではなく、そのうち誰かが“投資系のHIKAKIN”になるんじゃないかと思っていました。

 

──では、その位置を狙おうと?

僕自身がなるというより、投資系のYouTuberたちを自分の会社に入れたいと思いました。そして、自分たちで投資系HIKAKINを育てようと。

2019年3月末にTwitterで募集したところ結構集まり、今では20名くらいのYouTuberが所属しています。

 

──動画の配信内容などは、基本的に所属するYouTuber個々人に任せているんですか?

そうですね。僕は芸人時代に事務所に所属していたんですけど、活躍している芸人さんを見ていると、結局は個々の努力によるところが大きいんですよね。いいネタを考えるのは芸人さんの方で、それはYouTuberでもおんなじです。事務所ができることは、できる限り気持ちよく活動できるようにサポートしてあげて、伸びる芽が出てきたら徹底的に伸ばしてあげること。

初期の頃から所属してくれている「たんたん」さんという、おじさんのFX YouTuberがいて、毎日休まず「たんたんFX 日足予報ちゃんねる」で配信しているのに登録者数は50〜60人もいかない日々が半年近く続いていました。ブログを書いたり、そこからの流入も狙ったりしているんですけど、結構厳しくって。どうすればいいんだろうと悩んでいたんですが、ふと、「まずは自分がやらなければいけないのではないか?」と思い立ち、2019年6月に自社チャンネルを作りました。

ちなみに、たんたんさんはその後も決してあきらめずに、それこそたんたんと動画を出し続けた結果、登録者数は100人を突破し、200人に到達しています。ぜひ応援してあげてください。

 

──井村さん自身は、当初は黒子に徹するつもりだったということですか?

はい。YouTube上でのインフルエンサーマーケティングをリードするようなことがしたくて、要はUUUM株式会社の蒲田社長になりたかったんです(笑)。なのに、いつの間にか自分も出ることになって。とはいえその後は幸い運にも恵まれて、株式投資系チャンネルの中では弊社の 「Zeppy投資ちゃんねる」の登録者数の伸びも良く、現在2万5,000人以上です。

オレ的ゲーム速報JINさんのご厚意でチャンネル立ち上げ時からコラボさせてもらい、しかも信じられないことにJINさんのチャンネルにも出させて頂きまして、初動から一気に登録者数が数千人という流れを作らせていただきました。その勢いのままトントン拍子に1万人超えて…という感じで、その後もありがたいことにいろんな方とコラボをさせていただいています。

 

──コラボ戦略はYouTubeでは一般的なのでしょうか?

チャンネル登録数を伸ばすやり方としては、王道中の王道ですね。カジサックさんなどは、完全にコラボ戦略です。でも普通は、登録者数ゼロのYouTuberが登録者10万人の人に「コラボしてください」と頼んでも、実現しないことのほうが多いと思います。その点は、僕が投資でちょっとした成功をしていたり、マーケット専門チャンネル『日経CNBC』に週1で出演するなど、活動実績を評価してくださったのかもしれません。

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