HOME メディア ラジオの売り方、作り方は データの進歩と共に変化する TBSラジオ 原田俊亮さん、小池洋さん
2019.10.3

ラジオの売り方、作り方は データの進歩と共に変化する TBSラジオ 原田俊亮さん、小池洋さん

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知識レベルと営業レベルの向上

 

ビデオリサーチから出している三媒体(※テレビ、ラジオ、インターネット)広告統計やラジオ広告統計について、率直なご意見をお聞かせください。

小池 営業の人数が少ない分、より効率化していきたい気持ちもありますし、データの重要性が高まる世の中で生き残っていくために、営業マンも営業以外の部署の人間も詳細なデータを把握して、知識レベルを上げていかなければなりません。その上で物事を考えたり顧客との商談に臨んだりしないと、良い提案はできないし、本当の意味で強いチームになれないですよね。ビデオリサーチさんのような統計会社からデータを見せていただいて、それを会社の人間が全員使っていけば、自ずと社内全体の知識レベルが上がります。よく考えている人間と、あまり知識がない人間を比べたら、前者のほうが良い企画を生みそうじゃないですか。

 

反響や効果についてはいかがですか?

小池 弊社のリスナーファインダーは、もともと主に制作のほうで活用するためのものだったので、セールス分野ではラジオ365データの活用が盛んです。ラジオ365データってセールスにすごく向いていて、リーチがどれだけあるか等、効率を示す裏づけになるんです。昔からラジオ業界に根付いている時報CM等についても、ラジオ365データに基づいて数字的根拠を付けていくという作業を進めています。三媒体広告統計やラジオ広告統計については、対外的にというよりは、自社の知識レベルの向上と、我々自身を可視化して、より良い提案ができるようにするために活用させていただいています。

 

原田 ラジオ広告統計では広告主ごとの出稿データ等を非常に見やすく出していただいているので、手間が大幅に減りました。これまでは、一つずつ情報を集めていた情報ですからね。事実ベースのデータがこれだけ手軽に入手できることで、スピードが圧倒的に上がった気がします。

 

小池 データを求めていくと、データの加工や可視化といった雑務に追われがちなので、そういった課題を解決してくれるパートナーがいるのは、とても嬉しいことです。僕ら企画チームも営業も、どういう提案をするかという点にこそ、力を注いでいきたいですから。

 

データが深まると発想も変わる

 

データまわりのことで、今後「こうしていきたい」という青写真はありますか?

原田 今はまだデータを扱っている各社がそれぞれの特色を持つという意味もあり、いろんなところにデータが散在している状態だと思うのですが、皆がデータを持ち寄って同じ指標で広告の価値を分析できるようになったら、僕らもどこかに必ず独自の立ち位置があるだろうという自信があります。なぜなら、ラジオにはメディアとして特殊な役割や価値があると感じているからです。世の中の人々が働いている時間帯や運転中等にも接触できるわけですから、日中にアプローチできるメディアとして、必ず他のメディアではリーチしにくいシチュエーションでリーチできるし、深みもあります。

今は代理店やクライアントに合わせて、お返しできるデータが違ってくるようなところもありますが、どこにでも共通の指標でデータを戻せるようになれば、納得度も上がってくるのではないかなと。今は各メディアがそれぞれの姿勢でやっているような感じですが、クライアントからしてみれば、どれを信頼していいかわからないような状態になっていると思うので、共通化できたらいいと思います。

 

具体的にはどのようなデータについてそう思われますか?

原田 たとえば購買データ。ラジオはエンゲージメントが高いメディアだというお話をしましたが、それがどう購買に影響しているのか、純粋に興味があります。特にTBSラジオは熱狂的なリスナーが多くいてくださるのですが、購買はもちろん、ファンになってくれた人や、ずっとファンでい続けてくれている人がどれくらいいるのかについても、実証できるものはなかなかないので、想像するしかないんです。でも、購買データや位置情報などを通して、そういった濃度を共通のデータで示すことができたらいいなと、思っています。編成チームがこのあたりに力を入れ始めているみたいなので、ゆくゆくは営業でも活用していきたいと思っています。

 

クライアントからも購買データを求められていたのでしょうか?

原田 元々言われていたというよりは、技術的に追いついて「こういうデータが出せるようになりました」と提示すると、やはりそこにニーズがあったという感じです。これまでは「できる」と思われていなかったゆえに声もかからなかったものが、今は「これもできるんじゃないか」というネタが集まり始めています。データの深度を深めながら、活用する場を広げていけたらと思っています。

 

小池さんの課題意識や希望・目標をお聞かせください。

小池 抽象的になりますが、データを見た上で会話や議論をすることが、ごく自然なことになるような状況を作りたいです。かつては2ヶ月に1度の聴取率をもとに議論していたところから、今はリスナーファインダーやradikoのデータをメインの指標にして、「今週の推移はどうだった?」という会話になってきています。自分たちが放送したものや売ったものの結果が、手元にデータとして存在することを当たり前の状態にしたいですね。

 

社内での会話の軸も変化していますか?

原田 一筋縄ではいきませんが、社長の牽引もあって急激に変化していく予感がしています。リスナーファインダーをはじめとして編成側でのデータ活用も進んでいるので、新しい流れは生まれていると思います。

 

小池 「昨日の放送に比べて今日の放送はこうだったから、こうしよう」というだけではなく、もっと違う視点も持てるようになるといいですよね。リスナーファインダーやラジオ365データよりもさらに発展して、このエリアの人が聞いている、こういうものを買っている人が聞いてくれている等、詳細が分かるようになれば、本当の意味でのデータ活用になってくるのではないかと思います。データ自体がもっと先に進めたら、更にいろんな着想や発想が生まれるんじゃないかな。

 

 

新しい営業スタイルでさらなる飛躍へ

 

業界全体を盛り上げていくための提案や、データに関する要望をお聞かせください。

原田 業界のHubになってくれるのがradikoやビデオリサーチのデータなのではないでしょうか。欲を言うと、もっと使いやすくなるといいですよね。今はデータの抽出や作表を担うデスクがいて、専門職のような位置付けになっています。これを営業マンが知りたいと思ったときに、自分で躊躇なく操作して欲しいデータを抽出できるレベルまで行けたら、非常に良いと思います。マニュアルを読まなくても触れるシステムってあるじゃないですか。そういうレベルまで行ってもらえるとありがたいですね。

 

小池 操作面に加えて、利便性の面でも良くなることを期待しています。あとは構造上、2ヶ月のレーティングがないとラジオ365データが出てこないというのはわかっているのですが、「ラジオ365データだけあれば十分」という声も上がりがちなので、そこもなんとか(笑)。

 

データ以外の部分でも、御社で面白い動きはありますか?

原田 一つの動きとして、「トータルTBS」みたいな動きが始まっていると感じます。メディアが増えて、人の動きも読みづらくなってきている世の中で、BS-TBSとTBSラジオが連携する企画が立ち上がるなど、面白くなってきたなと思います。

また、TBSラジオの“色”も変わってきているように思います。今までは、やはりシニア層が強いので、若者を獲得しにいくことに対する是非が問われていましたが、ナイター中継をやめるという大きな動きがありました。今後もこれまでのTBSラジオのイメージを超えた企画案も出始めているので、ぜひご期待いただけたらと(笑)。

 

小池 改編に慣れてきたようなところもありつつ、変わっていきたいという思いと気概が社内にあります。放送局は「社会の課題を解決するための答えを出していく」という機能を持っていますが、その理念に則った企画も始まっています。働き方改革や男女共同参画にもとづいて“家族の時間”をテーマにした企画を設けたり、再生可能エネルギーにスポットを当てたり。「社会のなかの機能の一つとしてのラジオ局」という意味で、新しいチャレンジを進めていきたいと思っています。

 

今後の目標をお聞かせください。

原田 インサイドセールスの本格運営が4月末に開始しまして、ここ1ヶ月ほどでようやく毎週のアポイントにもつながるようになってきました。ラジオは検討に大体3ヶ月くらいの時間がかかるので、その所要時間を鑑みると、既に顕在化している話は多いですし、具体的なものが増えてきている気がします。直近の売上げも大事ですが、先々の展望が持てることは大きいですね。人と人とのコミュニケーションは引き続き重視しつつ、作業の効率化にむけては、積極的にオートメーション化していきたいと考えています。

 

ー本日はありがとうございました。

<了>


原田 俊亮(はらだ しゅんすけ)

(株)TBSラジオアカウントプランニング部所属のプランナー。

新卒で㈱エフエム東京に入社し、広告営業や新規インターネット事業に計16年間携わった後、2018年7月にキャリアプラットフォームを展開するベンチャー企業に転職。この転身がラジオの魅力を再認識する契機となり、2019年4月に(株)TBSラジオへ。ラジオとデータマーケティングを融合することで、さらなるラジオ業界発展の道を探る。

 

小池 洋(こいけ ひろし)

(株)TBSラジオアカウントプランニング部所属のプランナー。

新卒でTBSラジオに入社して以来、約13年間スポットデスクや営業などの“売り”の部分に徹底して携わる。2017年7月にインターネット事業推進部に異動し、デジタル領域と関わりを持つことに。2019年1月には統括デスクとして営業推進部へ移動し、その後、社内の組織改変を経て、現在のプランナー職に。

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