エフエム青森 ワイド番組『ラジMott!』他【 ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】?異色の経歴をもつ人たちの番組?

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エフエム青森 ワイド番組『ラジMott!』他【 ラジオレコメンダー

ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO 第12回

「プロフィールをたくさん書いている人って、格好悪いよな~」

以前、10代の学生がSNSに書いているのを見て「ギクッ!」と思った一言です。

私はフリーランスで活動していることもあり、ツイッターのプロフィール欄には、「ここでアピールせずして、どこでアピールするんだ」と言わんばかりに、ビッシリと書いています。確かに"小説家"や"プロデューサー"など、一言だけ書かれてあると「たくさんアピールしなくても、たくさん仕事がきますから」という"余裕"すら感じますが、まだまだ私には、そんな余裕はありません。

ネット社会で、ラジオのパーソナリティの顔やプロフィールがすぐに分かるようになりました。そんな中だからこそ、"謎"は非常に大事です。番組を聴いていて、"この人はどういう人なんだろう?"と思って検索しても、ほとんど情報が出てこないことにカッコよさすら感じます。


エフエム青森のワイド番組『ラジMott!』(月曜〜木曜 16時55分〜18時55分)に「そふえの母さんの釣り情報」というコーナーがあります。

先日、MBSラジオ『次は〜新福島!』(火曜〜木曜 20時〜22時)の「やきそばかおるの全国ラジオキコウ!」のコーナーで紹介したところ「なんと、マニアックな!」「どうやって見つけるんだ」「青森に住んでいるけど、知らなかった」などの反応がありました。福島アナウンサーからも「いつもどうやって、そういう番組を見つけているんですか?」と聞かれましたが、この番組に関しては、エフエム青森の番組表から発掘しました。

コーナーのタイトルを見つけた時に「"そふえの母さん"って誰だろう?」「ワイド番組の中で自分のコーナーをもつということは、只者ではないはず」と、"そふえの母さん"の7文字から、良い香りが漂ってくるのを感じました。そこで、色々と調べてみると、彼女のさまざまな偉業が明らかになってきました。

祖父江 弘子さん、79歳。青森市内にある創業48年を誇る「そふえ釣具」 の社長。青森の釣りファンにとっては、まさに"お母さん"的な存在です。

釣具店を始めたのは、大の釣り好きだった旦那さんの影響。旦那さんの家は呉服店を営んでいましたが、釣り道具が増える一方で、気がつけば店内にも道具を置くようになる始末。青森は釣り道具がなかなか手に入らないことから、いっそのこと釣具店を始めてしまおうとのことで、昭和45年に釣具の店として営業するようになったそうです。

旦那さんは他界してしまいましたが、そふえの母さんはお客さんを第一に考え、アクティブに行動。新鮮で安い餌を仕入れるために独自のルートを開拓したり、青森でももっと釣具を買えるようにと、2010年には大規模な展示即売会「フィッシングショー inあおもり」を開催。1日になんと1万人以上が集結しました。さらに、タクシー50台を借りて無料送迎を行なったり、参加メーカーのスタッフには大間のマグロをご馳走したりと大盤振る舞いです。

「そふえの母さんの釣り情報」では、釣り場の情報や釣りに関するイベント情報などを伝えます。締めは、毎回恒例の一言「みなさ〜ん! 大漁してきてくださ〜い!」で終わります。

そんな母さんの願いは、自治体と相談しながら釣り場を増やして釣り客を増やすこと。釣り客を増やすことで、近隣の旅館や飲食店に波及効果をもたらすことができるからです。そのためには、釣りファンのマナーも良くなくてはならないと、ゴミ拾いを呼びかけるほか、清掃活動を実施して、参加した大人には帽子を、子どもには放流に使うバケツをプレゼントしています。

釣りに対する愛で溢れている母さん。このことを踏まえて「そふえの母さんの釣り情報」を聴くと、また違った印象を受けるかもしれません。


そこで、今回は10月以降にスタートしたばかりの番組から、少し変わった経歴をもつ人の番組を紹介します。


福岡のLOVE FMでスタートした『野性に還ろう。』(木曜 19時30分〜20時)はフォトグラファー、ヨシダナギさんの番組です。名前を聞いてピンとこない人でも松本人志さん、設楽統さん(バナナマン)、小池栄子さんのテレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS)にたびたび出演している、少数民族の写真を撮り続けている女性、といえば思い出す人も多いのではないでしょうか。

ヨシダさんは1986年生まれ。独学で写真を学び、2009年に単身アフリカへ。英語が話せないため、通訳を介したり、ボディランゲージでコミュニケーションをとってきたそうです。相手が裸だからと、自分も裸になって撮影したこともあります。

彼女の好きな民族はマサイ族。頭の形をはじめ、全身のフォルムに憧れています。ちなみに、マサイ族は「カリスマ性が凄く、矢沢永吉みたいだった」とか。たとえば"撮影時間は半日"という約束で立ち位置を指示していた時のこと。どうやら指示されることを良しとしていないようで、急に「お前は誰にものを言っていると思っているんだ。俺はマサイ族だ」と言って、2〜3時間で帰っていったとか。普通の人なら落ち込んでしまいそうですが、ヨシダさんは「なんてカッコいいんだ」と感激したそう。

しかし、これはまだマシで、ヨシダさんのトークライブに足を運んで話を聞いたり、著書を読むととんでもないハプニングに次々に遭遇したことが分かります。

番組では、『野性に還ろう。』のツイッターにアップした写真をもとに、撮影の裏話を展開。さらに、リスナーからのお悩みにこたえるコーナーもあります。仕事に関する相談が多く、ヨシダさんはシビアに意見を伝えます。

今後はリスナーから届いた悩みを、少数民族に直接相談する企画も行われるそうです。これは楽しみ。


J-WAVEでスタートしたのは『OTOMESHI』(火曜 26時30分〜27時)。この番組は、料理が作られる過程の美味しい音が主役。美味しい音を味わい尽くす30分。これまで、すき焼き、とんかつ、ハンバーガー、餃子の名店にお邪魔して、"グツグツ""ジュ〜""トントン"というお腹が空く音と、その音の雰囲気にピッタリな音楽をお届け。

ナビゲーターの市島晃生さんは『料理の鉄人』のディレクターを務めていたこともあります。さらにユニークなのが「崎陽軒のシウマイ」の大ファンで崎陽軒の「シウマイ弁当」の食べ方の本『食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編』を自費出版した点。これが単なる弁当の解説本ではありません。弁当のおかずをどんな順番で食べるかを解説した本なのです。シウマイ弁当はシウマイのほかに、かまぼこ、鶏のからあげ、タケノコの煮物、さかなの照り焼、 昆布&しょうが、あんず、ゴマかけごはんなどが入っているため、確かに興味深いものがありますが、まさか自費出版してしまうとは。しかも、崎陽軒の野並直文社長をはじめ、人気食雑誌『dancyu』の植野広生編集長、作家で料亭「下鴨茶寮」主人の小山薫堂さんなどの錚々そうそうたる著名人が登場するところからして、市島さんの本気度が伝わってきます。ちなみに私も購入しました。

そんな市島さんが関わっているからには、普通の番組ではない香りが漂ってきます。


11月3日にスタートしたばかりのTOKYO FM『入江彩乃 お主の耳にドロップキック!!』(土曜 27時30分〜28時)。入江さんは北海道上富良野町出身の22歳。声優を目指しているプロレスラーです。

いろいろな要素が入っていて混乱しそうですが、ラジオ番組を始めるきっかけとなったのは、今年の8月に同局の新世代の声優を育成する番組『mysta presents コエチャン!-VOICE CHAMPION GRANDPRIX-』(金曜 23時〜23時55分)の初代グランドチャンピオンに輝いたこと。目標は声優になることですが、入江さんが所属している事務所の社長に連れられて女子プロレスを観に行ったところ、選手の一人ひとりにストーリーがあることに感銘を受けて、プロレスラーとしての活動もスタート。今年の10月28日に両国KFC Hallでデビューを果たしたばかりです。

普通であれば事務所の社長が止めそうなものですが、所属したプロレス団体「アクトレスガールズ」は"女優によるプロレス"がコンセプト。女優、歌手などの芸能系の女性が参加しているのでありました。とはいえ、体と声のことが心配ではありますが。

番組では、コントチックなラジオドラマのほか、リスナーからの相談に対して「Siriに聞いたこたえ」と「入江さんのこたえ」の役に立つ度合いを競うコーナーなど、楽しいコーナーが並びます。

果たして今後、プロレスラーとして、はたまた声優として、どのような活躍をしていくのか、要注目です。


ラジオの制作現場には若い人が少ない...といわれていますが、南海放送ラジオ『釣りガール始めました!』(土曜 16時35分〜16時50分)は、最近、釣りにハマっている新人ディレクター、岡内ひかりさんが「どうしても、釣りの番組を始めたい」という思いで実現した番組。岡内さん自ら釣り人にインタビューしたり、釣り初心者としていろいろなことを教わったりと、釣りをやらない人も聴いていてワクワクする15分です。

鹿児島のMBCラジオ『上園歩美の釣りラジ!』(日曜 5時〜5時20分)の上園さんや、そふえの母さんと対談ができたら面白そうです。ちなみに、上園さんは釣りが好きな祖父と父の影響で、4歳の頃から釣り好きに。"釣りガール"を4歳で始めた大先輩です。中学の頃には川釣りにハマり、近くの竹やぶの竹を採ってきて、お父さんの針と糸を借りて、よく釣りに行っていたそう。一昨年には"幻の魚"といわれているイシダイを、総額60万円以上かけて釣りました。3.5キロの大きなイシダイの魚拓をとり、部屋に飾ってあるそうです。友達6人を呼んで"イシダイ・パーティー"をしたとか。


KBS京都ラジオで始まった『サウンド版 ハンケイ500m』(土曜 7時30分〜8時)にも注目。パーソナリティは円城新子さんと、原田博行さん。

円城さんは、京都のフリーマガジン『ハンケイ500m』の編集長。毎回、とあるバス停から半径500mを徹底リサーチして、そのエリアの"すごい人"にスポットをあてています。「ストイックでハードルの上げ方がすごい」と思って調べたところ「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2015」ライフスタイル部門 最優秀賞受賞、「第3回京都女性起業家賞(アントレプレナー賞)」にて京都府知事賞 優秀賞を受賞したそうです。

原田博行さんは、シンガーフォークソングライター&ティーチャー、サウンドロゴ・クリエーター、役者など、数々の肩書きをお持ちです。自身の楽曲以外にもテレビCMや社歌、企業PRなどを多数手がけているほか、同志社中学・高等学校キリスト教学嘱託講師を20年以上続けています。最も分かりやすいのは、グリコ「カフェオーレ」のCMで使われている「カフェオーレのうた」の作曲を担当したことでしょう。そんなユニークなコンビの二人。円城さんは取材のこぼれ話を、原田さんは、ばんばひろふみさんなどのゲストを迎えて音楽の濃い話を展開しています。


ROKラジオ沖縄で始まった、いかにもおめでたい新番組が『おひがらサンデー 月下笑人』(日曜 13時〜15時30分)。パーソナリティは、披露宴の余興でも大活躍している芸人、ゆうりきや〜。

注目は、自分で行なったり、披露宴で見かけた余興にまつわる情報を投稿してもらうコーナー「わったー余興センター」。二人が遭遇した余興の話や、"ROKラジオ沖縄の皆さんに聞いた、披露宴でかけた曲&かけたい曲"など、切り口もユニークです。


最後は、ゾッとしつつも注目している番組、ラジオ関西『松原タニシの生きる』(隔週 日曜 25時〜25時30分)を紹介。タイトルからして堅苦しいイメージがありますが、松原さんの肩書きは"事故物件 住みます芸人"。事故物件に滞在し、日常で発生する心霊現象を日々検証しています。

過去には、北野誠さんのテレビ番組の企画で事故物件に住むことに。番組では部屋に多数のカメラを設置して、異変が起きないかを確かめていました。これまでに暮らした事故物件は6件。不動産屋から「どうしてもやめておいたほうがいい」と、契約させてくれなかった物件もあるそうです。

2018年6月に発売された著書『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)は発売1ヵ月で4刷を記録しました。

そんな松原さんの番組ですが、おすすめはお便りコーナー。実はアドバイスの内容が深く、悩みに対してためになる言葉を添えていて、聴いていて感心するほどです。"事故物件に住む"という覚悟を持つような彼だけに、自分なりの哲学を持って日々の困難を乗り越えているのでしょう。無事を祈るとともに、いずれの番組も長く続くことも祈ります。


(了)

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