HOME メディア AIアナウンサー 「ナナコ」の導入に各ラジオ局が興味津々!【 ラジオ レコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】~ ラジオってこんなにおもしろい! AI活用の可能性と、ラジオの進化論 ~
2018.10.19

AIアナウンサー 「ナナコ」の導入に各ラジオ局が興味津々!【 ラジオ レコメンダー“ やきそばかおる ”の I love RADIO】~ ラジオってこんなにおもしろい! AI活用の可能性と、ラジオの進化論 ~

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若者に ラジオ を聴いてもらうには

―では選曲はAIに置き換わっていくのでしょうか?

すべての選曲作業を置き換えてしまうと、味気なくなってしまう可能性があるので、あくまでも部分的に活用するのが良いと思います。現在、 ラジオ のライバルのひとつが音楽配信サービスです。若い子は「音楽聴くならそっちでいいじゃん」ってなってしまいます。
ラジオ の良さは曲紹介の仕方や、「この人が選んだ、みんなの知らない曲」といった感じで、音楽に付加価値をつけられることだと思います。

音楽配信サービスとの差別化という意味では、最近はレコードをかけるラジオ局が増えています。自分で買ってきたレコードをかけたり、レアなレコードを集めている人が注目されたり。レコードの音をそのままかけて、ノイズもそのまま流す。それは音楽配信サービスにはなくて、若い人には新鮮に感じるようです。

― ラジオ なりの“味”をつけるということですね。

そうですね。あくまでも一案ですが、音楽に詳しい人に放送局のレコード室を見てもらって、価値があるものなどのタグ付けをするのはいかがでしょうか。それをデータ化しておけば音楽に詳しくない人でも活用できると思います。中にはレコードを処分してしまうラジオ局もあるそうで、それはもったいない…。

AIをラジオに活用するには、膨大なデータが必要になりますが、そのデータを作るのはキュレーターといわれるような人間。今は何をデータにして、どういう人間をキュレーターにすべきか、ということを吟味する段階なのかもしれません。

―確かに、音楽や雑誌も過去のアーカイブに価値がありますよね。今がその仕込みをやっておくタイミングなのでしょうね。

テレビや映画はタイトルや出演者などでは検索できるけど、「誰が何をするシーン」といった検索はできません。今後、検索すると映像がポンと出てくる時代になるかもしれませんね。ラジオでも検索キーワードで番組の特定の部分を取り出せるようになるとか。「◯◯さんが◯◯の話をしてるところ」とか。深夜番組ファンのリスナーのなかには、ある番組でどんな話をしていたか、Twitterで分かりやすくツイートしている人がいます。

重要なのは、できるだけ大盤振る舞いでやること。動画配信サービスなんかもそうですが「セコイな」って思われたら勝負できません。Netflixに流れてしまうかも…。

ラジオの場合、若い子に「ラジオ聴きましょう」って言っても、まず受信機を持っていません。受信機を渡したとしても、ザーザーと音が入っていると、もう聴いてくれなくなる。建物の中では受信できないとなると、「ダメじゃん」と思われてしまいます。

あくまでも理想ですが、radiko.jpも、せめて自分が住んでいるブロック(北海道&東北、関東、北陸…など)は無料で聴けると、より浸透するんでしょうけどねぇ。

―そこまで環境が整わないと、動画配信サービスと同じ土俵には上がれないというわけですね。

radiko.jpもプレミアムに入りたいけど月額350円も払えないという10代の子が多いのも事実です。ただ、子どもが親に「ラジオを聴きたいから350円くれ」と言っても、親がラジオを聴かない人だとOKしてくれないと思います。10代に人気のアーティストが東京のラジオ番組に出ると知ったものの350円が払えないから「無料で聴ける3分間だけ聴く」という話を聴いたこともあります。

10代にラジオを聴かせるのが難しいのは、親がラジオを聴いてこなかったということも要因の一つです。特にradiko.jpが登場する前の2000年から2010年は、ラジオにとってとても厳しい時代でした。どんどん聴かれなくなっていって、この時期にラジオを聴いていなかったのが今の20代。この世代は大人になった今もラジオを聴きません。親にラジオを聴く習慣がないと、その子どもも聴かない可能性があります。

これが30〜40代だと課金してでも聴いてるんですよね。40~50代の方は喜んでradiko.jpを使ってくれる。4世代によってすごく差があります。

―ラジオを聴かない世代にラジオを聴いてもらうために、他にクリアすべき課題はありますか?

「ラジオはダサくてもいい」という考え方を薄めること。「ラジオはノスタルジックなもの」という40~50代のイメージが、若い世代がラジオを聴く上での壁になっている気がします。ラジオは自由なもののはずなのに、考えに柔軟性がなくて「ラジオとはこうあるべき」という考えが強すぎると、新しいものは生まれにくいと思われます。

やきそばかおる

 

 ラジオ の“多様性”を伝えたい

―やきそばさんが今、注目しているラジオ番組について教えていただけませんか?

ニッポン放送はユーチューバーのゲーム実況者を起用した番組を作っています。「ゲーム実況者わくわくバンド」っていうゲーム実況のチームです。最近は再びユーチューバーが注目されつつあり、ユーチューバーを紹介したムック本も発売されています。新しい領域で話題になっている人たちをラジオでどう使っていくか、未知数ではありますが、楽しみです。

あとは、沖縄のRBCiラジオ『動画配信型才能発掘バラエティ にんきもんラジオ』。若手のお笑い芸人ハイアップローが動画配信をしながら放送しています。2018年4月に始まったばかりで、まだまだ試行錯誤といったところですが、今後が楽しみです。

この2番組はアナウンサーでもアーティストでもないけれど、一部の熱心なファンがいる「インフルエンサー」がパーソナリティーを務めているのがおもしろいです。

また、これらの番組とは方向性が違いますが、Date fm(エフエム仙台)の『響鳴乱舞!仙台 DATE-MON』は、伊達政宗とその家臣が番組を進行しているというのがユニーク。CBCラジオの『名古屋おもてなし武将隊 戦国音絵巻』には織田信長、前田慶次らが出演。作りこみがすごいです。

―radiko.jpの話で出た、若い人にどう聴いてもらえるかという課題に挑む感じがありますね。

ラジオ番組は多様性があるのに「 ラジオ =深夜番組」「 ラジオ =声優さんの番組」とか「受験生がこっそり聴くもの」といったイメージが強いのも確か。すると、そこに興味がない人に引っかからない可能性があります。ラジオ には色々な番組があるということを知ってもらうことも大事だと思います。ステレオタイプとの戦いです。

福山雅治さんは、「サラリーマン時代に営業車の ラジオ で流れていた『吉田照美のやる気MANMAN!』を聴いているうちにハマってしまった」というお話をされていました。Mr.Childrenの桜井和寿さんもそういう人のひとり。

ラジオのアピールポイントは「ラジオの醸し出す空気感がおもしろい」というところ。そのあたりをアピールできたら、ラジオに縁がなかった人にも、もっと選んでもらえるメディアになるのではないかと思います。
例えば「FM802をつけたらいつでも楽しい音楽が流れている」といった空気作り。そういう点をもっとアピールしたいですよね。

―やきそばさんのように、ラジオをここまで聴きこんでいる人はなかなかいません。おすすめできる範囲が限られてしまっているんでしょうね。

いろいろな番組があるのに、そこを伝えないですよね。私が「沖縄の番組、おもしろいですよ」って言うと、同業者のライターさんも「そうらしいですね」ってなるんですけれど、実際には聴いていないことも。ラジオを聴いてくれる人を増やしていくには、ラジオの多様性をみんなに知ってもらわなければと思っています。

10代におすすめのラジオ番組はコレ!

―やきそばかおる さんが作成された「「10代も楽しめるラジオ番組 分布図」があるのですが…これ、すごいですね!


<画像をクリックで拡大>

10代向けの番組を紹介するときも先ほどの話じゃないですが、TOKYO FMの『SCHOOL OF LOCK!』とか、文化放送の『レコメン!』は知ってるけど「それ以外は知らない」と言われてしまうことがあります。

いくつかご紹介すると、まずはInterFM897の『TOKYO DANCE PARK』。これはダンスキッズのための生ワイド番組。ダンスにピッタリな曲を中心にかけています。ゲストに10代のダンサーを呼んだり、海外に行ったときに役立つダンス関連の英語を教えたりして、夢を持たせてくれる番組です。出演する子どもたちが、少し緊張しているところは微笑ましいです。

FM FUKUOKAの夕方のワイド番組『Hyper Night Program GOW!!(ガウ)』には、「クロちゃんのホームルーム」という小学生限定の投稿コーナーがあります。小学生がその日の出来事を投稿するコーナーで、投稿内容が紹介されなくても名前だけは必ず呼ばれます。学校の出席確認みたいな感じで。夜の7時45分からの放送で、家族で夜ご飯を食べながら聴けます。ラジオと小学生との接点をうまく作っています。

FMとやまの『西村まさ彦のドラマチックな課外授業』もいいですね。富山県内の中学生限定で出演者を募ってラジオドラマに挑戦する番組で、演出はアノ、西村まさ彦さん。素敵な番組です。

BSSラジオの『JAZZ PARK』はさらに挑戦的。ジャズが好きな一般の人に番組を任せてしまっています。鳥取大学医学部ジャズ研究会の男性3人が出演した回が特に面白いんです。3人ともジャズに詳しいのなんのって。同世代の子が聴いたら「スゴイ!」って思うかもしれません。知識だけでなく、しゃべりもしっかりしています。一般の人がなかなかしゃべれませんよ。3人でワイワイやっていて自由です。
ちなみに、この番組はアナウンサー的な人もいません。事前にディレクターが出演者と打ち合わせをして番組進行をコントロールしているそうです。たとえば、こうした内容の番組を自分たちでネット配信すると、話が取っ散らかる可能性があるし、なによりも著作権の問題で曲が流せない。その点、ラジオはディレクターが整えてくれることもあり、ちゃんとカタチになります。

最後に、これは絶対ハズせないのがK-mix(静岡エフエム放送)の『FOOO NIGHT ピンソバ』。バカボン鬼塚さんと高橋茉奈アナウンサーが週4回放送している番組で、公開スタジオから放送しているのですが、常時10~20人ぐらいの常連リスナーの方が見に来てるんです。ところが、高橋さんは敢えて後ろ姿しか見えない配置に座ってるのがポイント。たまに振り向いて手を振るぐらい。その距離感がちょうどいいんです。「常連が集まるカーショップは潰れる」という言葉がありますが、距離が近すぎるとうまくいかない危険性があります。
この番組はバカボンさんの手綱捌きによるところが大きくて、選曲にしても「他の番組ではかからない、“耳心地”が良いものをかけよう」とコンセプトを決めて、バカボンさんご自身で曲を選んでいます。

先日、『ピンソバ』が、ビアホールで公開生放送のイベントをやったのですが、数千円のチケットがあっという間に売り切れていました。
それに、この前、radiko.jpで「インタビューしてほしいラジオ番組のパーソナリティー」のアンケートをとったところ、ローカル番組では圧倒的に『ピンソバ』の二人が1位。リスナーは“静岡ローカル”という意識があまりないのかもしれません。ちなみに、バカボンさんは「(K-mixがある)浜松はラジオの首都」とおっしゃっています。
こうした盛り上がりを、東京の人はあまり把握していない気がするのがちょっと残念。

radiko.jpに掲載したインタビューで、バカボンさんが教えてくれた「番組がヒットするコツ」、「高橋さんを起用した理由」について明かしています。全国で10代向けの番組を作っている人におすすめです。

―それは、先ほどおっしゃった“多様性の話”につながっていきますよね。

「日本民間放送年鑑」という刊行物があって、全国の放送局の動きをまとめたものが毎年出版されています。2017年版のラジオの欄は私が書かせていただきました。北海道から沖縄までいろんな番組があることを、みっちりと書きましたよ。
よく、聴取率などのデータの数字を列挙して「ラジオがピンチ」といった話が雑誌やネットの記事に載っていることがありますが、エンターテイメントはイメージが大事。映画やドラマだって「この作品は大コケ!」なんて書かれたら、「これから観よう」と思っていた人は作品に触れる前に離れていってしまいます。
ラジオに関して面白いことはたくさんあるので、これからもラジオにプラスになることを、たくさん発信していきたいです!

やきそばかおる

―やきそばかおる さんのラジオ愛に触れることができて、こちらも思わず熱っぽくなってしまいました。本日はありがとうございました!

(了)

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