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2018.8.9

【ラジオレコメンダー”やきそばかおる”のI love RADIO 】~ リスナーのそばに寄り添うラジオ~

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ラジオレコメンダー”やきそばかおる”のI love RADIO  第9回

やきそばかおる

ライター・構成作家、そして大のラジオファン。1975年山口県生まれ
radiko.jp」をはじめ、雑誌やWebなどでラジオに関するインタビューやコラムを執筆中。
全国のユニークなラジオ番組を紹介するツイキャス『週刊ラジオ情報センター』は毎週火曜21時~生放送中。


2018年6月18日7時58分頃、大阪府北部の深さ約13㎞を震源とした、M6.1の地震が起こりました。この地震により、大阪府下5市区で震度6弱の揺れが起きるなど、広範囲で揺れがありました。
ABCラジオ、MBSラジオ、ラジオ大阪OBCは、少しずつ明らかになってくる状況を、リスナーからの情報を交えながら伝えていました。中でもABCラジオ『おはようパーソナリティ 道上洋三です』(月曜~金曜6時30分~9時)の道上さんは、キャスターから伝えられた交通情報を自らゆっくりと復唱するほど、冷静かつ丁寧に伝えていました。続く『ドッキリ!ハッキリ! 三代澤康司です』(月曜〜金曜 9時〜12時)では、リスナーから寄せられた情報を、送信された時刻とともに紹介していました。

FM OH!(エフエム大阪)、FM802、FM COCOLOは音楽をかけながら、随所で情報を伝えていました。印象的だったのは、DJ自身も「私も一人暮らしなので、正直にいえば余震がくるのが怖い」と本音を漏らしていたこと。DJの本音は、同様に一人暮らしをしている大学生や社会人の中にも「私もそう!」と思った人も多いのではないでしょうか。私も東日本大震災の発生後から5年ほど、深く眠れない日々が続くようになってしまいました。ラジオからは昔であれば「頑張ってください」という言葉が飛び交っていたと思いますが、今は「無理をしないでくださいね」「困ったことがあったら言ってくださいね」という言葉が発信されるようになった気がします。さらに、FM802は地震が発生した日の夕方に、その時間に局内にいたDJ 4人がスタジオ前で撮影した写真を添えてSNSで、「FM802は、DJ &スタッフみんなで、元気に音楽を届けていきます!」と被災した方々にエールを送りました。

 

 

ラジオ各局は、夜の時間帯も情報とエールを送り続けました。こういう時に感じるのが、地元のラジオ局が生放送の番組を届けているという心強さです。FM802『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-』(月曜〜木曜 21時〜23時48分)では“オチケン”こと落合健太郎さんが不安を感じている人々を励まし続け、今リスナーが聴きたい曲を問い、流し続けました。FM802は朝まで生放送が続くため、『Night Groomin’』(月曜〜木曜 24時〜25時)、『REDNIQS』(月曜 25時〜28時)、『LNEM−エルネム−』(月曜〜木曜 28時〜30時)と続けてリスナーに寄り添いました。

緊張が続く状態に一服の笑いを届けていたのが、ABCラジオ『ダイアンのよなよな…月曜日』(月曜 22時〜25時)でした。パーソナリティのダイアンは今年4月に東京に進出しましたが、この番組は大阪のABCラジオのスタジオから生で放送をするスタイルを続けています。この日は二人とも新幹線で東京から大阪にやってきました。二人は別々に移動してきたため、大阪に到着するまでの顛末についてトークを展開。大阪に着くまで大変だったうえ、新大阪から梅田まで大勢の人々と一緒に歩いたことなどを語りました。リスナーへの気遣いも忘れず、情報も入れつつ、笑える投稿ネタコーナーは通常通りに行いつつで、人々の緊張をほぐすような3時間となりました。続くリクエスト番組『with you』(月曜〜金曜 25時〜28時15分)では癒しに繋がる音楽を届けていました。私はひとりで仕事をしながら、東日本大震災の時に、ラジオと一緒に朝を迎えていた日々を思い出していました。

 

 

さらに7月、西日本を豪雨が襲いました。7月6日、西日本は午前中から激しい雨に見舞われました。そして、土砂災害の恐れが出てきた福岡では、RKBラジオ、KBCラジオが予定されていたナイター中継(巨人-広島戦)を中止して、報道特別番組を22時頃まで放送。その後、豪雨の範囲は東に移動。22時からは広島のRCCラジオが翌朝までの全ての番組を変更して報道特別番組を放送。ラジオ関西はSNSを通じて、夜通し情報を伝えていました。8日には愛媛の南海放送、岡山のRSKラジオなども報道特別番組を放送しました。

私は6年間広島に住んでいたこともあり、微力ながら募金をしつつ、ラジコプレミアムでRCCラジオを中心に状況を見守っていました。被害が大きかった地域のひとつ、坂町は土砂災害で道路が寸断され、取材陣がフェリーで迂回をして災害現場に向かうほど、到達するのも困難な状況となっていました。

そんな広島のラジオの中でも注目は、連日、全国からメッセージが届く、朝の人気ラジオ番組『平成ラヂオバラエティ ごぜん様さま』(月曜〜金曜 9時〜11時30分)のメインパーソナリティ、横山雄二アナウンサー。(2015年、第52回ギャラクシー賞のラジオ部門DJパーソナリティ賞を受賞)「朝からこんなに自由に喋っていて、大丈夫なのだろうか」と聞いている側が心配になるほど自由奔放なトークが人気です。しかし、広島が豪雨の被害に遭遇して以降は、番組の状況が変わりました。情報を届けつつも、ラジオ番組、ラジオ局として果たして何ができるのか、何を届けるといいのかを自問自答しながら放送に向かい合っているように思います。災害が発生して数日後の放送では、次のようなことを訴えました。

 

 

横山:皆さんの地域のことで、刻々と動く出来事についていけないことはいっぱいあります。 RCCは全社員を合わせて200人しかいないので、できることが限られています。なので、逆に皆さんが僕らに情報を寄せていただくと、僕らはそれで動くことができます。よくありがちな「うちの地域に全然取材が来てくれない。どうなっているんだ」ということを言う人もいますが、教えてくれたらその情報を発信して色々な方々の心を動かしたり、色々な方々の行動を起こす手助けができる可能性もあります。とにかくRCCラジオや『ごぜん様さま』などの人間を利用してください。利用してもらうために、平生のお付き合いがあるはずです。

さらに、横山さんは被害が大きかった地域を訪れ、そこで分かった情報を伝えました。

・連日、酷暑が続いていることもあり、被災した地域の粉塵がひどい。車が少しだけスピードを落とすだけで、粉塵の被害はかなり防げる。
・ボランティアに来る人の存在はありがたいが、自分の食料を確保してきてほしい。食料は提供されるものと思って来る人がいるが、避難所の食料は避難所で生活する人のもの。
・避難所によって格差が大きいのも事実。食料がふんだんにあるところもあり、かき氷が振舞われるところもある。(とはいえ、ボランティアの食料は自分で確保しましょう)
・大きな道路沿いは被害状況が把握しやすいが、一歩小さな道に入ると、人の目が行き届いていない。
・番組にはリスナーからたくさんの情報が届く。番組に対して「頑張ってください」というメッセージはありがたいが、いらない。(SNSでのツイートを含む)
・ボランティアに参加できず、申し訳ない気持ちになっている人達、募金しましょう。

さらに、大きな被害に遭った地域に住んでいる、番組のアルバイトの学生から届いたメッセージを紹介しました。「野菜を置いてくれた人もいるが、そもそも水が出ないため調理ができない」「救援物資は、要求している物を持ってきて欲しい」「電波障害でネットがうまく繋がらないことがある」「正直にいえば、声をかけられたくない時もある」といった声も放送を通じて伝えました。

横山さんが貫いているのは、正確な情報と応援、さらに笑える話を交えること。「笑いのない雰囲気になるほうが危ない」とは分かってはいても、どんよりとなりがちななかで、笑える話をすることは容易ではありませんが、随所にユーモアのある話をしています。
横山さんは広島を「被災地」とは言わず、「被災地と呼ばれることになってしまった広島」という表現をしているのも印象的です。「災害は他人事ではない」ことを改めて考えさせられます。

 

7月22日放送の『サンデー・ジャポン』(TBSテレビ)では横山さんがVTR出演して、被害が大きかった地域のひとつ、広島市安芸区から現状を伝えました。実はこの機会は、爆笑問題の太田光さんが『サンデー・ジャポン』側にお願いして実現したものでした。実は太田さんは『ごぜん様さま』のヘビーリスナーなのです。太田さんが聴き始めたきっかけは、広島出身で横山さんファンの、アンガールズの山根良顕さんが、3年前に「面白い番組がある」と太田さんに『ごぜん様さま』を紹介したことにあります。太田さんは、横山さんがラジオで毎日のように被害の状況を伝えているのを聞いていて「広島は辛くて悲しくて、頑張ってて、でも笑ってるって、伝えて欲しい」と横山さんにメールを送ったそうです。そして、横山さんが引き受けると「出演依頼受けてくれて、ありがとう」と返信が届いたとか。(横山雄二アナウンサーのツイッター参照)。

RCCラジオはラジオカーも大活躍しています。各地の災害ボランティアセンターをはじめ、シャンプーの無料サービス支援をしている美容院、ボランティアで避難所に焼き立てのパンを届ける店、助産院など、連日さまざまな場所から生の声を伝えていて頭が下がります。同様にRSKラジオのラジオカー「ラジまる」も岡山県内をくまなくまわっています。

大きな被害を受けた地域は、鉄道は復旧した箇所も多いものの、路線によっては復旧に1年以上かかる箇所もあるとのことで、いかに今回の豪雨が大きな爪あとを残したかが分かります。とはいえ、広島の宮島をはじめ、岡山、愛媛には被害の出なかった観光地も多くあります。観光客が大幅に減ったところもあるため、今までの賑わいが戻ることを願うばかりです。

ところで、災害に関する番組は各地のラジオ局で放送されています。その中から一部を紹介します。

IBC岩手放送『気象と防災 マメ知識!』(土曜 17時50分〜17時55分)では、気象予報士・防災士の資格を持つ神山浩樹アナウンサーが、東北の現状を発信。岩手だけでなく、宮城や福島に関する話も細かく伝えている姿勢に脱帽。防災に関する問題点も鋭く指摘しています。放送はもうすぐ500回。番組のサイトでは放送内容の全文を読むことができ、非常に貴重な資料となっています。

宮城県にあるTBCラジオでは『3.11みやぎホットライン』(月曜 20時〜20時30分)を放送。震災体験を国内外に伝えている人、津波で店を流されてしまい新たに店を構えた店主、復興支援活動を通して起業家活動を学んでいる学生まで、いろいろな人の声を細かく取材しています。大阪北部地震でブロック塀が倒れて小学生が犠牲になってしまった事故を受けて、宮城の現状を取材するなど、他人事で済ませない姿勢が伝わってきます。ちなみに、40年前に起きた宮城県沖地震ではブロック塀や門柱の倒壊で18人が犠牲になりました。番組では、「なぜ、こうした教訓が生かされないのか」と落胆していました。

Date fm エフエム仙台では、2012年3月から復興応援プロジェクト「Hope for MIYAGI」を立ち上げ、番組やイベントなどを通して、被災地の「今」を発信し続けています。『Hope for MIYAGI』(月曜 12時〜12時25分)では、3年前から石巻専修大学とコラボ。一歩ずつ前に進む石巻の人々を学生が丁寧に取材。それをもとにラジオCMを制作します。このCMは力作揃いです! そのほか、震災復興応援番組『「がんばろう宮城」希望のラジオ』(火曜 18時30分~18時45分)、『繋ごう明日へ』(火曜 11時30分〜11時50分)も放送されています。

茨城放送は2012年12月11日から、毎月11日を“茨城放送防災の日”と題し、毎月11日に防災啓発キャンペーンを展開。防災にまつわる話題を届けています。

ニッポン放送は、東日本大震災が発生した2011年から『サンドウィッチマンの東北魂』(日曜 21時50分〜22時)を放送。笑いを交えながら、東北の今を明るく伝えます。各地のラジオ局でネットされていて、東北のみならず、遠くはラジオ沖縄でも放送されています。

Inter FM897は『P.S.A.』(月曜〜金曜 5時30分〜5時39分)を放送。生活情報や災害時の避難場所などの案内を含め、在日外国人に向け、日本での生活に役立つ情報を各言語でお届け。月曜は中国語、火曜は韓国語、水曜はタガログ語、木曜はスペイン語、金曜はポルトガル語で発信しています。知り合いの外国人に教えてあげたい番組。

静岡のSBSラジオでは『緊急地震速報告知番組』(土曜 5時30分〜5時35分・日曜 6時40分〜6時45分)を放送。緊急地震速報に関する説明、報知音の紹介、報知音が鳴った時の対応の仕方について、お知らせしています。また『鉄崎幹人のWASABI』(月曜〜木曜 10時〜13時55分)では第2・4火曜に「防災プロジェクト Team Buudy」を放送しています。

 

東海ラジオ『きくち教児の楽気! DAY』(土曜9時~11時)では、9時台に「南海トラフ巨大地震 どうなる?どうする?」を放送。災害に関するクイズをもとに、震災への備えが分かるコーナー。毎月、月初めには、名古屋大学 減災連携研究センター 特任教授の新井伸夫先生に話を伺います。

西日本豪雨災害の被害が出た地域のひとつである岐阜県、岐阜放送『お茶の間ステーション2時6時』(月曜~金曜14時~17時57分)では月曜 17時40分から岐阜県との共同企画で「備えて命を守るプロジェクト」を放送。「減災」をテーマに、過去の災害事例から、地震、火災、落雷、豪雨などへの備えに関する話を届けています。

wbs和歌山放送『南美枝子と歌っチャオ』(日曜 18時〜18時10分)は、防災をテーマにした番組ではありませんが、南さんは『11月5日はツナミの日』というオリジナルソングを歌っています。1854年11月5日、和歌山で津波が発生しました。そこで村人は自ら収穫した稲村に火をつけて避難することに成功したそうです。そこで11月5日が「世界津波の日」に制定されました。南さんの歌では「津波がきたら高い所に逃げて!」と訴えています。犠牲者を出したくないという南さんの思いが込められています。南さんは、和歌山各地のイベントに出演して歌っています。ちなみに、南美枝子さんは、有田南病院を一代でつくりあげた人物でもあります。

MBSラジオ『ネットワーク1・17』(日曜 5時30分〜6時)は、阪神・淡路大震災から3ヶ月経った1995年4月15日に放送開始。「震災の記憶を語り継ぎ、次なる災害への備えを呼びかける」をテーマに伝えています。
キャスターの千葉猛さんは、仙台市出身。小学5年生だった1978年に宮城県沖地震に遭遇し、地震の恐ろしさを知ったそうです。阪神・淡路大震災発生時は神戸市に入り、災害対策本部からリポートを続け、2011年に発生した東日本大震災以降は、宮城県を中心に被災地の取材を続けています。
DJの西村愛さんは、高校時代に阪神・淡路大震災の被災者向け仮設住宅を訪問したことをきっかけに、DJになったあとも、東日本大震災の被災地でボランティア活動に参加。東日本大震災・熊本地震の被災地の復興を支援するイベントの企画に携わっています。

この番組は現地取材を細めに行っており、さまざまな人の想いを丁寧に伝えています。MBSの気象情報部やさまざまな分野の専門家を迎えて、マルチなアングルから現状や問題点を指摘。事例をもとに「これからどうすればいいのか」を問い続けています。早い時間の放送ですが、生放送なので、放送を聴いたリスナーからのメッセージや疑問が反映されるのもポイント。特に、7月29日の放送で話題となった、日本とイタリアの避難所の違いは非常に考えさせられるものがありました。

2018年1月15日に放送された『ネットワーク1・17スペシャル〜伝えるために必要なこと』は「平成30年日本民間放送連盟賞」の近畿地区審査で、報道番組部門の「最優秀」を受賞しました。

FMKエフエム熊本では『FMK熊本地震復興応援プロジェクト~with~』 (日曜 9時45分〜9時55分)を放送。発生から2年以上が経過した熊本地震。仮設住宅の現状をレポートしたり、地震からほどなくして、子ども食堂をオープンさせた方の話を伺ったりと、熊本の今が分かります。
宮崎県在住の映像ディレクター、久保理茎さんは、熊本地震で益城町と同じく震度7を観測した西原村をおよそ2年にわたり撮影し続けました。復興に向かって奮闘する姿、慣れ親しんだ土地に自宅を再建するのか、移転するのか…。葛藤する姿などを追い、製作されたドキュメンタリー映画『西原村』が完成。著作権などは、久保さんから西原村へ譲渡され、熊本市でも上映されました。ほかの地域でも広く公開されることが望まれています。

 

TOKYO FMを含む38局ネットで放送されている『LOVE&HOPE~ヒューマン・ケア・プロジェクト~』 (月曜〜金曜 6時25分〜6時30分)では、岩手・宮城・福島・熊本など、被災地の今と、これからに向けた取り組みを取材して紹介しています。

今回挙げた番組以外にも、防災にまつわる番組は各地で作られています。防災に関する番組は、ほかの地域で災害が起こるとそれを取り上げたり、取材をして状況を伝える傾向があります。これらの番組をまとめて聴くことができたり、コラボしたような番組ができるといいかもしれませんね。

(了)

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