HOME マーケ 最適でタイムリーな情報発信と、‟LTV向上”に繋がるデジタルマーケティングを アサヒビール株式会社 デジタルマーケティング部 田村真基さん
2019.7.26

最適でタイムリーな情報発信と、‟LTV向上”に繋がるデジタルマーケティングを アサヒビール株式会社 デジタルマーケティング部 田村真基さん

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アサヒビール株式会社 デジタルマーケティング部 田村真基氏


メーカーやリテール企業にとって、消費者との顧客接点作りは長年の課題ともいえる。アサヒビールでは部署間でタッグを組み、より効率的なデジタルマーケティングを通じたアプローチを行っている。現場営業経験や社外武者修行で得た知識をもとに、‟ LTV向上”につながるためのデータ獲得、そして情報発信に挑むデジタルマーケティング部の田村 真基さんに話を伺った。

 

 

営業に邁進する4年間を経て

―これまでのご経歴をお聞かせください。

2010年4月にアサヒビール株式会社に入社して、その年の9月から4年間は大阪で飲食店さんやお酒屋さんを回る業務用営業をしていました。その後、当社の「社外武者修行」という制度を使って、2014年の9月から1年間、大手インターネット広告会社に出向することになりました。1年間社外で修行をさせていただいた後、2015年9月にアサヒビールに戻ると同時にデジタルマーケティング部に入り、現在に至ります。

 

─現在所属されているデジタルマーケティング部の業務内容は?

ホームページの更新、LINEやTwitter等SNSの運用全般に携わっています。LINEのメディアも担当することになってからは、LINEを使ったデジタルプロモーションの企画をしたり、営業と一緒に商談に行ったりすることもあります。
広告はあまりやっておらず、オウンドメディアの運用が中心です。

 

─業務用営業時代はどんな毎日を過ごされていましたか?

午前中は担当市場にあるお酒屋さんを回り、商品の案内や情報収集、担当の飲食店さんで昼食を食べ、その後も市場を回ります。15時くらいから飲食店さんを回って、ここがピークタイムですね。17時半くらいに一旦会社に戻り、車を置いてから視察に出かけます。
実際の営業現場を見て、なにか新たに提案出来る糸口を探したり、店主の方とコミュニケーションを図ったりします。担当していたエリアは大阪府の京阪沿線あたりで、お得意様の数で数百店にのぼります。

 

─出向の経緯について教えてください。

入社から4年間ずっと業務用営業に邁進した結果、ふと立ち止まって自分を見つめ直してみたくなりました。昼は人に会って夜は飲む…という生活が続いていたので、何かを勉強するのに時間を割くことが難しく、「4年間同じように社会人をやってきた人たちと比べて、自分はどうなんだろうか?社会人として足りないものは何なんだろうか?」と不安になったんです。
入社後、会社からキャリアデザインを問われたらずっと‟営業”と書いていましたが、5年目で「会社を出たい」と思うようになりました。「社外武者修行」という制度があることは知っていたので、一度アサヒビールという会社や自分のやってきたことを俯瞰的に見てみたいと思い、希望を出しました。

 

 

働き方が変わった社外武者修行時代

―出向先の大手インターネット広告会社ではどのような業務を担当されたんですか?

広告企画部という、広告商品の企画立案・販売推進を行っている部署に配属されました。母の日、父の日、クリスマスなど‟世の中ゴト“のイベント時に、それぞれ企画を立ち上げ、各企画ごとの売上目標を達成するために商品の構成や枠組みを考えます。
企画が始まった後も、誘導が足りなければどこから引っ張ってこようとか、流入と吐き出しについての誘導調整をタイムリーに行うといった業務をしていました。

 

―これまでと全く違う業務内容ですね。

業務用営業時代は一日中椅子に座っていることは皆無でしたが、今度は逆に外にでることが無くなりました。何回か「営業商談に行かせてください」と言って、数回営業同行をさせてもらいましたね(笑)。あとはずっと座って企画を作ったり、運用をしたりという日々です。
ただ、約1年という短い期間でしたが、この1年間でアサヒビールに居続けるだけじゃ絶対に学ぶことのできない、とてもたくさんのことを学ばせていただきました。今でも行って良かったなと思っています。

 

─初めて携わるお仕事で、戸惑いも多かったのでは?

最初の数ヶ月は結構しんどかったですね。打ち合わせに出ても何を話しているのかわからないことも多く、ほぼネットで調べていました(笑)。それでもわからないこともたくさんあったので、その時は周りの人によく聞いていましたね。周りは親切に教えてくれる雰囲気でしたので。
最初の数ヶ月はずっとインプットをしていたような感じです。社外武者修行は基本的に1年と言われていたので、1日1日が本当に貴重な時間なので、日々最終ゴールを意識しながら過ごすようにしていました。「ゴールが見えている状態で働く」というのは、社外武者修行時代に初めて体験したことですね。

 

─その中でご自身に変化はありましたか?

一番大きな変化は、働き方に対する意識が変わりました。「限られた時間の中で成果を出すためには、意味のないことをしている暇はない」ということを強く思いました。また、自分で調べてもわからないことや、理解しきれなかったことは、誰彼かまわず積極的に質問しに行きました。わからないことをわからないまま悩んでいる時間が無駄なので、こういう点が業務の効率化につながっていたような気もします。
それに、会社としての考え方や企業風土については、武者修行先の会社から学ぶことや感銘を受けることも多かったです。

 

─風土の違いとは、具体的にどういうところですか?

書類ひとつにしても、うちはまだまだ紙が多かったのですが、武者修行先の会社はほぼペーパーレス。その会社は、私が武者修行に行ったときはまだ設立から20年も経っていないような時期だったので、色々なことが当社よりフレキシブルでダイナミックなイメージでした。

また、競合他社から来た人がたくさんいるなど、我々の業界では考えられないようなこともありました。市場との向き合い方も当社とは違い、武者修行先では「競合他社と戦うのではなく、一緒になって、インターネットビジネスの市場を広げていく」という考え方が強かったように感じました。
ビール業界にいると、競合他社とのシェア争いに勝つという考え方になりがちですが、‟市場を広げる“ということを意識すれば、違う打ち手を考えられるなということを感じました。

 

 

デジタルマーケティング部の意識改革

─出向の後、アサヒビールに戻られてからのことをお聞かせください。

武者修行先での経験を活かすべく、デジタルマーケティング部に配属されました。基本的なインターネットまわりの知識は身についていたので、入りはそんなに苦労しませんでしたが、同じデジタルを活用する仕事でも、会社の立場の違いからギャップを感じることもありました。
アサヒビールはメーカーとして‟物づくり”でお客様に商品を届ける会社、インターネット広告会社はプラットフォーマーでメーカーとは違った仕事内容なので、当然デジタルに対する考え方も異なりました。

 

―デジタルマーケティング部について教えてください。

僕が入った頃は10名弱の部署でしたが、現在は15名。配属当初は洋酒のホームページやFacebookの運用を担当していました。そこからTwitterやInstagram、2~3年前くらいからLINEを担当するようになりました。
2018年まではオウンドメディアの運用を中心に行っていたので、あまり営業現場に携わる機会はありませんでしたが、今年からは営業現場にも積極的に足を運ぶようにしています。SNSと連動したデジタルプロモーションの提案のため、量販・業務用どちらの営業商談にも同行したりしています。

 

─営業現場との連携が活性化したのは何かきっかけがあるんですか?

最近になって顧客の実購買のデータを活用した1to1コミュニケーションや、CRMの必要性が高まってきたことが起因しています。今までも顧客のアンケートデータ等はありましたが、アンケート結果だとどうしてもバイアスがかかってしまったりと、信憑性に欠ける部分もあって、それらを払拭するために「実購買証明を活用したキャンペーン」を実施しました。
商品毎のユニークなコードをLINEで読み込んでもらったり、商品を買ったときのレシート画像や商品を飲んでいる時の写真を送ってもらうだけというシンプルなキャンペーン参加方法を取り入れています。アンケート等では取得出来ないデータを集めることで、実購買データをKeyとしたCRMを推進することが目的でした。

2017年頃までのデジタルマーケティング部は「いかにオウンドメディアの顧客を増やすか」を目標に活動しておりましたが、今は顧客データを蓄積し分析を行い、個客ごとの最適なコミュニケーション・CRMを実現し、LTVの向上を目指すところまで担うようになり、当部のタスクの幅が拡大してきています。
一方で、流通側も、デジタル技術を活用して自チェーンや店舗を利用いただいている顧客を囲い込み、継続的に購買していただくような取り組みに対するニーズが高まっており、当社のデジタルマーケティングの取り組みと合致するケースが増えてきたことが大きいと思います。

 

―データの分析はどうやってされているのですか?

CDP(Customer Data Platform)とBIツールを活用しながら外部パートナーに委託しつつ、当社の担当者も一緒にやっています。 取得したデータの傾向を把握した上でどういう情報発信やプロモーションをしていくかを考えるのが目的で、そのためのデータ収集・分析を必死にやっている段階です。
大まかなデモグラフィックデータと、量販店での実購買や外食利用等の行動データを組み合わせながら、各コミュニケーションやプロモーションごとに使い分けをしています。

 

─データ収集に関する方針はありますか?

過去には色々な議論もありましたが、最近は「見るべきものは‟LTV”」という考え方が徹底されてきています。
我々の考えたデジタルプロモーションや情報発信によって、どれだけブランドユーザーが増え、LTVが向上し、アサヒビールやブランドのロイヤルユーザー(=ファン)になっていただいているかを日々検証しながらOODAループを回しています。

CPCやCTR、リーチ数等の中間指標を積極的に求めていた頃は、社内で我々だけ違うものを追っていたような気がします。しかし、ブランドユーザー数やLTVをKGIとしている現在は、今まで以上に営業現場と足並みを揃えて物事を考えられるようになりました。
収集するデータに関しても、CRM戦略のGOALであるブランドユーザー数やLTV、ロイヤルユーザー数につながり得るデータを選別して収集し、CDPで管理しています。

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