HOME マーケ 「丁寧に生きたいという3 0〜4 0代の女性に長く輝き続けてもらうために。」 ニュウマン 中尾利孝さん
2017.11.5

「丁寧に生きたいという3 0〜4 0代の女性に長く輝き続けてもらうために。」 ニュウマン 中尾利孝さん

SHARE ON

このエントリーをはてなブックマークに追加

ニュウマン

新宿店営業部長
中尾利孝

1993年、株式会社ルミネ入社。ルミネ大宮店で6年間現場経験の後、本社の業態マネジメント部の前身となる部署に配属。16年間、開発に携わり、ルミネエスト新宿、ルミネマン渋谷の新規立ち上げのほか、都心や郊外のルミネ全店を見てきた実績を持つ。2016年3月25日に新宿駅新南口にオープンした商業施設「ニュウマン(NEWoMan)」の立ち上げも担当。

※本記事は2016年9月に発売したSynapseに掲載されたものです。

 


 

女性をリピーターにするためには、新しいことを提供し続ける必要がある。

 

― 中尾さんは16年間、ルミネ各店舗の開発に携わってこられたそうですが、具体的にはどういったことをされてきたのでしょう。

「既存のルミネのリノベーションという手法で、フロアやゾーンごとにMDを再構築していました。当時のルミネは、多様なお客様がいらっしゃっていたので、もう少しセグメントされた開発の必要性を感じ、例えば働く女性たちのためのゾーンを増やして、彼女たちへの提案ができるショップを誘致し、施設全体を活性化させるような仕事をしていました」

 

― 最も記憶に残っている開発を教えてください。

「ふたつあります。まず新宿駅東口のルミネエストです。マイシティというビルがルミネ傘下に入ることになり、コンセプトプランを新たに作成しました。当時、渋谷は109さんの全盛で、新宿界隈はファッションの好きな若い女性が少なかったと記憶しています。ですので109さんを追い越す気持ちで大規模なリノベーションを実施しました。5〜6年かけて“日本のファッションのトレンドはルミネエストから”と言っていただけるくらいに集約できたと実感しています」

 

― その時、若い女性に響いた施策はありますか?

「109第2期世代が活躍し、すでに有名ブランドも多数いらしゃいましたが、ルミネエストはあえて新業態にこだわりました。マークスタイラーさんと協業しエモダというブランドを開発するなど、こちらから逆提案をさせていただいて新しいお店を増やしました」

 

― 新宿にしかない新たな価値をつくり出すことで、女性を惹きつけたということですか?

「80 〜90年代、新宿はビジネス街のイメージも強く、働く場所で、買い物をするのは渋谷というイメージがありましたが、働く女性をサポートするというコンセプトを打ち出して、新宿駅南口のルミネ1とルミネ2が順調に推移してきた経緯がありました。そんな状況でのルミネエスト構築でしたので、ルミネ1と2のお客様の予備軍の育成を目的に、ルミネエストはより若い人にフォーカスした背景があります」

 

― もうひとつの記憶に残る開発は?

「ルミネマン渋谷の創造です。渋谷駅から離れた場所にあるJR東日本さんの資材置き場を、以前から有効利用したいという話がありました。渋谷には丸井さんや109 さんがありましたので、わざわざ駅から歩いてきてくれるのは男性だろうと仮説を立て、当時の上司にかけ合ってチャンスをいただきました」

 

― そこで、どのように女性への知見を活用させたのでしょう。

「もともと女性に特化していたつもりはありませんが、ルミネ自体、8割が女性のお客様なので、必然的に女性目線になっていたところは確かにあります。メンズのマーケットでの売上は分母でいうと小さいのですが、男性はひとつのお店を気に入るとなかなか浮気をしませんので、リピーターになって頂ける傾向があります。女性の場合、新しい提案を継続しない限り、すぐにほかのところに移ってしまうんですよね(笑)」

 

 

お客様に寄り添い、見えない欲求を引き出して、買う体験を楽しんでいただく。

 

 

ブランド志向から、自分にとって本当に価値のあるものを求めるように。

 

― ニュウマンの企画は最初、どのようにして立ち上がったのでしょう。

「甲州街道の高架下開発に伴い、JR東日本さんが駅舎の再開発及びエリアの活性化を図ることになり、商業施設を新設することになったのが始まりです。私自身は2013年からニュウマンの立ち上げに携わりましたが、ルミネが今までやってこなかった新しい事業領域にチャレンジするという会社の意思が根底にありましたので、これは責任重大だと痛感しました」

 

― コンセプトはどのようにつくられました?

「ルミネエストのターゲットは18〜20代前半なのですが、その卒業生には20代後半がコアなルミネ2に来ていただき、さらにそこを卒業したら30代前半がコアなルミネ1に来ていただく、というふうにある程度包括的なMDをすでに提案できていました。ですのでルミネ既存店とはバッティングしない、新しいニーズを提案したいという思いがまずありました」

 

― ニュウマンという名前に込めた思いを教えてください。

「ルミネは分かりやすく言いますと、通勤通学の帰りにトレンドのものがリーズナブルに買える、“今”を表現しているビルです。女性を輝かせるために様々な提案をするのがルミネだとしたら、ニュウマンは輝き“続ける”ためのビルという位置付けです。

ターゲットは、自己プロデュースしたり、輝き続けるための努力をしたり、いろんな生き方を模索しながら自分で道を見つけられているような、新しい生き方をしている女性たち。こうした人たちをサポートするビルにしたい、というコンセプトからつくった名前です」

 

― “新しい生き方をしている女性”という想定ターゲットは、調査などで見つけたのですか? それとも感覚的に?

「どちらかというと感覚ですね。新宿のルミネ1や有楽町のルミネの卒業生などは、好みや体型の変化により、昔の服が今はいらなくなってしまったという問題を抱えていると思います。そんな方々や、普段はルミネにご来店いただけない、いわゆるファッショニスタのお客様も取り込みたいと考えました。ただ、感覚を大事にしつつ、女性の友人たちをはじめとした、世の中の女性たちにヒヤリング調査もして、実際にどういう暮らしをしているのか仮説を立てて動きました」

 

― 中尾さんから見ても、40代の女性は新しい生き方をしている印象を受けますか?

「非常にアクティブで人生を謳歌されている方が多いと感じます。40代女性には、既婚者、未婚者、お子さんがいる方もいない方もいる。結婚しても仕事をしている方もいたりして、ライフスタイルが多様化しているなかでいろんな提案をして、様々なお客様にお越しいただきたいと願っています」

 

―30代の女性はどうですか?

「30代は節目だと思います。結婚や出産をされる方が増えますし、でも子どもが生まれたからといって自分の生き方を変えず、子育てをしながら好きなことをする人が今は多くなっていると感じます。ただしママになったことや、体型が変わることによって、洋服などの好みに関しては自分が本当に着たいものや気持ちのいいものにどんどんシフトしていく傾向があります。モード云々ではなく、シンプルでリラックスできて、でも上質で見た目も品があるようなものに」

 

― そういう女性には、何が刺さるのでしょう?

「若い時はトレンドのものやブランド品を欲しがる人が多いですが、今の30〜40代の方は本当にいいものを求めていると思います。いいものだからといって必ずしも高価ではなく、本当に価値のあるものや値段に見合うもの、自分にとってプラスになるものなどが複合的にあると思います。なのでニュウマンには、価値と価格のバランスが見合ったものを取り揃えて、“ハイクオリティ・ファインプライス”と呼び、洗練されていながら心地良いお店づくりをしています。ルミネはファッションに特化してきたのですが、ニュウマンはファッションの構成比が半分、残りを飲食・食品にしています。衣料品ばかりのフロアではなく、カフェやコスメのゾーンも設け、お客様に様々なライフスタイルを選んでいただける打ち出し方をしています」

 

― 館内の香りがいいなと思ったのですが……。

「空調機にアロマを設置しています。ニュウマンにいらっしゃるお客様をイメージし独自に香りを配合しました。館内には木や緑を多用しており、親しみやすく快適な空間を目指しました。香りもそのひとつで、音に関してもハイパーソニックサウンドを導入しています。超高周波成分が基幹脳を刺激し、心地良さや安心感を感じることや、高揚感を味わうなど精神的・肉体的にポジティブな作用が期待されます」

 

ネットでなんでも買える時代だからこそ、体験型の買い物の魅力を打ち出す。

 

― 女性のタイプが細分化・多様化すると、ブームを起こしにくくなりますよね?

「非常にハードルが高いと感じます。以前、安室奈美恵さんがバーバリーを着た際に、瞬間的にその商品が完売してしまったようなことはなくなりましたし、アイコンに憧れる時代ではなくなってきたと思います。以前はブームの火付け役であった雑誌の影響がとても強く、それが現在はSNSに変わってきたわけですが、現状ではキュレーターやインフルエンサーの影響もどんどんトーンダウンしてきている状況です。行き着くところは友だちからの情報や、口コミなどではないかと個人的には推察しています」

 

― きめ細かい施策を打たないと難しそうですね。

「そうですね。“個対個”のOne to Oneマーケティングも重要であると考えています」

 

― 女性の心を捉えるためには最終的に何が大事になってくるのでしょう。

「接客をする“人”ではないでしょうか。モノももちろん大事ですが、生産背景や歴史、文化などをきちんとお伝えするのは、店頭に立つショップスタッフです。その人たちが、お客様に対していかにきめ細やかな提案や話ができるかが大事だと考えています。

今はネットで簡単にものを買うことができますが、わざわざご来店いただかなければできないこともあります。例えば普段買わない色を提案されて、試着したらすごく似合っていた、というような体験型の買い物であったり、ふらりと来ただけなのに、ショップスタッフと話をするうちに、相談に乗ってもらったりして、気持ちよく買い物をしていただくとか。そうしたコミュニケーションが常に大事だと思っています」

 

― いろんなショップの方がいらっしゃるので、ある程度の教育や何かしらのシェアが必要ですね。

「各ルミネごとに教育プログラムを作成しており、ショップスタッフが店頭に立つ前には必ず研修を受けていただきます。その後もステップアップの研修などフォローアップに努めています。特にニュウマンは、ターゲットに設定しているお客様が30代後半から40代で、且つ経験もあり本物を知る知的な大人の方たちといえます。

言葉づかいや所作などのマナーももちろん大事ですが、今まで培った経験をもとに提案できることやお客様に合わせた対応ができる知識・技術を持っている人材の確保を、各ショップに依頼しています」

 

― その“提案力”というのを、もう少し噛み砕くとどういったことなのでしょう。

「 “寄り添う”ことだと思います。やはり上目線で高圧的にお薦めしたり、予算達成のために売る姿勢が顕著に表れると、お客様は逃げてしまいますので、きちんとお客様と会話をし、何を求めているのかを会話のなかから引き出す力が重要です。

買い物をする体験を楽しみたいという方も、非常に多くいらっしゃると感じます。購入したもののクローゼットに入れたままだったり、気づいたら同じようなものを買っていたりなんてことは、実際にみなさんも経験ありますよね」

 

― 確かにありますね。お客様にどういう体験をしてほしいとか、こういう気持ちになって帰ってほしいなどのお考えはあるのでしょうか?

「生き方の提案をコンセプトに掲げています。“いま”のニーズに応えることはもちろんですが、お客様がまだ気付いていない潜在的な欲求に応えていき、使うことによってその方が長く輝き続けるための提案をしています」

 

― 女性のタイプが細分化・多様化しているなかで、逆に共通項みたいなものはあるのでしょうか?

「30〜40代の方は“丁寧に生きたい”ということではないでしょうか。以前なら遊ぶためにはお金も使ったし、夜も寝ずに時間を楽しまれていましたが、今はお肌のためにきちんと睡眠をとって、少しでもおいしいものや身体にいいものを食べたい。

以前ならヴィトンやグッチなどブランドものの洋服やバッグにこだわっていたけれども、今は日常でお茶を飲むための素敵な陶器が欲しい。などのように、お金のかけ方や時間のかけ方がどんどん変わってきている印象があります。

以前はご自身の欲求だけで買い物をされていましたが、今はこれを買うとどこかの国に寄付されるというような、自分の購買体験が社会に貢献することを望む傾向もあります。女性の多様化に対応する一方で、共通項も意識することが、これからますます重要になると確信しています」

 

関連記事


調査人「伊勢神宮の参拝者はなぜ増えたのか?」 Synapse編集部

PREV

私のつくり方 「『つくり方』のつくり方」 PARTY 川村真司さん

NEXT

人気の記事

RANKING

最新の記事

WHAT'S NEW

MORE