HOME 広告 時代の変化とともに進化する シネアド 。その新たな取り組み「 ブランデッドムービー 」とは? 株式会社サンライズ社 田中 恒男さん
2018.10.23

時代の変化とともに進化する シネアド 。その新たな取り組み「 ブランデッドムービー 」とは? 株式会社サンライズ社 田中 恒男さん

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株式会社サンライズ社 田中 恒男氏


1955年の設立以来、60年以上にわたって映画館広告事業に従事してこられたサンライズ社。映画館で上映するスクリーン広告( シネアド )の形式も、紙芝居のようなスライド(静止画)からムービー(動画)へ、フィルムからデジタルへと、時代の移り変わりとともに大きく変化しています。そんな中、サンライズ社は「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」に今年から参加し、企業のブランドメッセージを生活者に向けて発信する「ブランデッドムービー」という新たな動画マーケティング手法で注目を集めています。今回はサンライズ社の代表である田中さんに、まだ始まったばかりの「ブランドデッドムービー」の取り組みを中心に、シネアドを中心とする映画館広告事業のこれからの方向性についてお話を伺いました。

 

時代とともに進化する シネアド

― シネアド に馴染みのない読者のために、先ずはサンライズ社の中心事業となる「シネアド」について教えてください。

簡単に言えば、その名の通り映画館のスクリーンで上映される商品や企業CMのことです。
多くの映画館では本編の上映前に、必ずと言っていいほどシネアドが流れるので、誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。
当社は、このシネアドの他にも、映画館内でのアンケートやサンプリング、イベントの企画などのインシアタープロモーションなども行っており、幅広い映画館広告事業を展開しています。

 

―田中さんがサンライズ社に入社された経緯は?

大学を卒業して社会勉強のために別のことを2~3年した後、サンライズ社に入社しました。学生時代は映画が好きで、よく映画館に通っていたのですが、当時は本編上映前の広告で最初にサンライズ社が出てきていたので、漠然とですが記憶に残っていたのかもしれませんね。
入社後は、主に総務や経理などの管理系の仕事が中心で、先々代の社長の時代から事業や経営の企画を担当することが多かったです。

 

―当時のシネアドはどんなものだったのですか?

私が入社した頃のシネアドは、今のように動画ではなく静止画を使ったスライド形式のものが多く、今思えば牧歌的な時代でしたね。その後まもなくして動画が中心となりましたが、それから現在に至るまでもフィルムからデジタルへと大きく移り変わってきました。

 

―御社の歴史の中でも、デジタルへの移行は大きなトピックでしたか?

そうですね。2006年頃から始まり、2010年代を通じて急速に進んだデジタル上映の波は、私たちにとっても大きな出来事でした。
というのも、それまでのシネアドの多くはテレビCMの素材を使ったものが多く、そのため、都度ビデオテープから35mmフィルムへと変換する、業界用語で言うところの「キネコ」の作業が必要でした。しかも、上映館ごとにフィルムを用意しなければならなかったので、プリント費や搬送費などのコストも手間の負担も大きかったです。また、元がテレビCM用の映像素材なので、フィルムに変換して大きなスクリーンで上映すると、どうしても映像が粗くなってしまうのです。
しかし、フィルム時代のこうした問題のほとんどは、デジタルに移行することで解消できるので、私たちにとってはある意味で大歓迎だったわけです。

 

―とはいえ、デジタルに移行するのは映画館にとってはコストがかかる話ですよね。

その通りです。ゆえに映画館自体はデジタルへの移行には慎重で、今から15年ほど前までは、上映設備のほとんどがフィルムで、デジタルでの上映ができない映画館がほとんどでした。
そこで、当社ではシネアドの部分だけでもデジタルで上映できるように、興行会社にお願いして一部の映画館にデジタルの上映設備を置いてもらいました。

 

―その費用はサンライズ社さんが負担したのですか?

そうです。興行会社にご負担いただくことはありませんでした。
実際にデジタルで上映してみると、思った通り映像はクリアで、上映も比較的簡単、「これは良い」となって、配給や興行会社の人たちへも、デジタルの良さが伝わったと思います。

 

―まさにデジタル化の波を見越して先行投資されたわけですね。

当社としてデジタル化は避けられないだろうと思っていました。当時はまだ、映画館として大きな設備投資になるため消極的でしたが、上映も簡単になり、フィルム代やプリント代が抑えられるといったデジタル化によるメリットも大きいので、そのうち、全てデジタルになると読んでいました。事実、私たちが先行してシネアドのデジタル上映に踏み切った後、デジタル上映に移行する映画館もだんだんと増え、シネコンの隆盛とともにあっという間に広がりました。

 

―シネアドも時代とともに大きく変化してきたのですね。

そうですね。映画自体が3DやIMAX4Dなど、どんどん進化しています。時代に合わせ、シネアドも進化し続けなければいけないと思います。

 

 

「ブランデッドムービー」とは

―「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2018」(以下「SSFF & ASIA2018」)で賞を新設したと聞いていますが、具体的に教えてください。

「SSFF & ASIA」は、今年で20周年を迎える米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭で、俳優の別所哲也さんが代表を務めています。数多くの若いクリエイターが世界に羽ばたく映画祭として世界中で注目されています。
この映画祭には2016年より、企業・団体のサービス・活動、ブランディングにおける顧客とのコミュニケーションを目的として制作された作品を集めた「BRANDED SHORTS」という部門があるのですが、この度、当社の選考による『SUNRISE CineAD Award』という賞を設立し、公募作品の中から当社が考える最高の「ブランデッドムービー」作品を表彰することになりました。

 

―「ブランデッドムービー」とはどのようなものでしょうか?

「ブランデッドムービー」とは、主に企業や商品のブランディングを目的に制作された映像コンテンツのことで、「生活者(観客)にとっての価値(エンターテインメント性や有益性)」と「企業やブランド側からのメッセージや理念」の浸透を両立できる動画コンテンツとして位置づけています。
分かりやすく言えば、企業やブランドのメッセージを伝えるために作られるショートムービーと思っていただければいいのではないでしょうか。

 

―なるほど、CMというよりもメッセージ性が強いものなのですね。

私は、シネアドも映画本編と同じように観客の共感を呼んだり、感動を与えたりするものという意味で、同じ表現メディアであると思っているのです。ですから、単に商品や企業の紹介をするだけのCMではなく、ひとつの作品として見ることのできるコンテンツとして「ブランドデッドムービー」を考えています。
これからの広告は、企業や商品のブランディング戦略ますます重要になってくると思いますし、今まで以上にシネアドではその傾向が強まってくるはずです。観客が、映画館でメッセージ性の高い「ブランドデッドムービー」を観ることで、企業との距離が近くなり、より良いコミュニケーションがはかれると思っております。
その意味でも、創業以来「映画をコミュニケーションメディアに」という経営理念を掲げてきた当社に合致したコンセプトであると考えています。

 

―具体的には通常のテレビCMとは何が異なるのでしょうか?

特に決まりはないのですが、一般的な違いは尺の長さで、通常のテレビCM1530秒のものが中心で、長くても60秒程度。「ブランデッドムービー」は最低でも1分、長いもので10分以上の作品もあります。通常のCMよりも長くなるので、ストーリー性やドラマ性が不可欠です。
単なる長尺CMと思われるのは避けたいので、我々は「ブランデッドムービー」というネーミングにこだわっています。

 

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